2020/08/17

龍樹 2002 by 中村 元

 

龍樹 (講談社学術文庫) (Japanese) Paperback Bunko – June 10, 2002

by 中村 元  (著)

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Product description

内容(「BOOK」データベースより)

一切は空である。あらゆるものは真実には存在せず、見せかけだけの現象にすぎない。仏教思想の核心をなす「空」の思想は、千八百年前の知の巨人龍樹により理論化された。インド・中国思想に決定的影響を与え、奈良・平安仏教でも「八宗の祖師」と讃えられたその深く透徹した思考が、仏教学・インド哲学の世界的権威の手で、『中論』全文とともに今甦る。

著者について

■中村元(なかむらはじめ)

1912年、島根県松江市生まれ。東京大学印度哲学梵文学科卒業。1954年から73年まで、東京大学教授を務めた。専攻は、インド哲学・仏教学。文化勲章受章。1999年没。編著書に、『東洋人の思惟方法』『原始仏教』『佛教語大辞典』など多数があるほか、『中村元選集』32巻別巻8巻がある。

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Product details

文庫: 464 pages

Publisher: 講談社 (June 10, 2002)

Language: 日本語

ISBN-10: 4061595482

ISBN-13: 978-4061595484

Release Date: June 10, 2002

Package Dimensions: 5.8 x 4.2 x 0.8 inches

Customer Reviews: 4.3 out of 5 stars57 customer ratings

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yasuji

TOP 500 REVIEWER

5.0 out of 5 stars 空の思想は、現代哲学に通じる存在論哲学

Reviewed in Japan on April 9, 2019

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 〈空〉の思想は本書をおさえるべきです。有名な『般若心経』以前に般若経という経典群に〈空〉が説かれていました。本書は、この〈空〉の思想を哲学的に基礎づけた『中論』などを著した龍樹(ナーガールジュナorナーガルジュナ)の解説書です。

 私は、本書の“はじめに”の〈空〉の思想の解説で、ほぼ満足してしまいました。新しい実在論のマルクス・ガブリエル、思弁的実在論のグレアム・ハーマン、それとドゥルーズの哲学を合わせると、〈空〉の思想になるのではと勝手に思っております。〈空〉の思想は認識論ではなく、存在論であるからです。


・ニヒリズムの否定

 「何ものも真に実在するものではないp.16」を字義通りに解釈すると、そう言っているあなたも存在しないということになります。ならば、あなたは存在するが、あなた以外は存在しないという矛盾になります。この時、私以外の存在は私の認識によって存在するという認識論に到達することがあります。恐らく〈空〉の思想は、このことを否定したのでしょう。ガブリエルは、世界は存在しないが、意味のある一角獣は存在すると主張しました。ガブリエルも〈空〉の思想も、「この世に真実はない」というニヒリズムと相対主義を否定したいのだと思います。


・存在は隠れている

 「あらゆる事物は、見せかけだけの現象にすぎない....その本質を欠いているのであるp.16」は、ハーマンの退隠(withdrawal)の思想に似ています。目の前にあるものは、必ずそれ以上のものです。いくら言葉を尽くしても、その特性をいくら束ねても、それ以上のものです。本質は常に隠されているのです。硬直した論理を厳密に積み上げたとしても到達できないのです。実在する対象は常に隠れているのです。

 ガブリエルとハーマンを合わせると、存在するといったり隠れているといったり、〈空〉の思想に似てきます。


・事物の依存関係

 「空とは、あらゆる事物の依存関係にほかならないp.17」は、ドゥルーズの「リゾーム」そっくりです。一本一本の草木の根ではなく、地下茎(リゾーム)で繋がった植物の集合体のイメージです。人と物の区別なく、決まった構造もない。全ては縁で結ばれていると言い換えれば、〈空〉の思想に似てきます。

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5.0 out of 5 stars 勉強になります

Reviewed in Japan on September 6, 2018

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2世紀に生まれたと伝えられているインドの哲人のお話です。Nagarjuna氏の漢名が龍樹さんです。

著者の中村先生は、インド哲学の研究者です。大家です。

龍樹さんという漢名は、Nagarという大蛇を表すヒンディー語と、Junaという音の組み合わせだそうです。知りませんでした。

そして、本作では、空、縁起、等などの仏教用語の解釈や、様々な仏教の宗派の教えとの考え方の違いを説明して下さっています。


難しかったです。


460ページの大作で、多くの仏教概念が説明されていますが、実際のヒトや人生は、それよりさらに複雑なのかもしれないとも思います。

そのような複雑な宗教概念やヒトについて、研究者として追及された中村先生の尽力も素晴らしいと思います。

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とらぬこ

5.0 out of 5 stars 分かり易い。平易な日常語による解説で空思想が理解できる ただし、悟りも救いも得られない

Reviewed in Japan on April 29, 2017

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●とかく難解な空の思想が、平易な日常語で説明されており、比較的容易に理解できます。

●また空思想解説の他書で多分に省略される『縁起論』まで説明されて空思想の理解が深まります。

●460ページの大部ですが、第2章(250ページ)を読むだけでも功徳が得られます。

●ただし仏教のメインテーマ『生きることは苦しみであり、そこから救われて楽になろう』に対する答えは得られません。本書の守備範囲ではありません。

●著者は竜樹の空思想を全肯定しています(見落としがあればご容赦を)。空思想に疑問・反感を持つ人もいるでしょうが、東大印哲教授の膨大な知識と鉄壁の理論に裏付けられている為、生半可な覚悟では論破できないと思います。

●とにかく分かり易いので、空思想に興味のある方は是非読んでください。。


◆平易な日本語による説明:  ●私が過去に読んだ空の解説本は仏教用語・古語(中二病語)を含んだ文章なので、とにかく分かり難いものばかりでした。中には中村先生の中論の邦訳の引用をして解説とするものさえあります。●しかし本書は訳者自身が訳文を平易な日本語で解説してくれるのですから、とにかく分かり易い。更に見出しが章・節・項・目・段まで階層化されており、項・目の頭でこれから説明される事を示し、本文の後で結論をまとめるので、3~5ページごとに内容を理解できます(学術書の鑑です)。

◆『縁起』まで説明されている: ●私が読んだ他の解説本は ・言語構造の矛盾点を説明し ・『万物が実体を持たない』、『不変の実態は存在しない』という説明で終わっており、読後眼前の事物が『実体を持たない』事が理解出来ませんでした。●一方、本書では『縁起論』まで言及しているので『実態を持たない』という事が理解できます。更に『縁起を見る事がただちにニルヴァーナに入る事』、『縁起を見る智慧が諸法実相を知る智慧・般若波羅蜜である』としており、『縁起』を説かない他の解説書が中途半端なものだと知りました。

◆460ページもあるけれど、実質250ページ読めば十分です: ●暴論ですが、巻末150ページ(第3章)は竜樹の著作の訳文なので、中村先生の解説文(第2章)を読めばここを読まなくても何とかなります。更に第1章は龍樹の人物説明なので、簡単に読み流せます。●だから平易な言葉で書かれた250ページを読むだけでも功徳が得られます。


●ただ問題点が無い訳でもありません。

◆決定的な問題点: ●悟りも救いも得られません。●そもそも仏教は生きることが苦しみであるとしそこから救われる事が目的であり、空思想はその手段です。●しかし本書で空思想を理解しても、何も楽になりません。救われません。他者を救えません。空思想と現実生活をつなぐものが何も示されていません。●2章8節『否定の論理の実践』に期待しましたが、上記の疑問とは別の議論がされています。それどころか徹底した否定の論理は『ニルヴァーナは存在しない』と結論します。そして同節1項の最後の2行、中村先生の言葉で『各人の体験を通して理解するよりほかに仕方ない』と突き放されて終わりです。●おそらく現存する龍樹の著作には、答えが無いのでしょう。本書では竜樹の活動が論敵・説一切有部との論戦である事を示し、その議論に基づいて空思想が説明されています。●まあ印哲書に救いは期待してはいませんが、龍樹はあくまで仏教者であるから現存資料から何らかの知見を示して欲しかった(見落としていたらご容赦ください)(他書によれば唯識派がその役を担っており、ヨーガや禅等の瞑想により体感するらしいです)。


◆問題点みたいなこと: ●本書は龍樹の説を全肯定しています(読み落としがあればご容赦を)(説一切有部への反論で、的を外したものがあればそれを指摘しています)。●著者は古代インド哲学・初期仏教の梵語資料との比較で、空思想の正当性を示します。また紀元前後の梵語・漢語経典や過去百数十年の欧語文献における空思想に対する反論を提示し、それに反論します。著作時点で判断できない事は素直に『今後の研究が待たれる』とします。●故に本書において龍樹の空思想は現存資料の範囲で完全なものであり、欠点がありません。私の様な興味本位の読者は空思想を無批判に受け入れざるを得ません。●元々そのつもりで読んだのですが、欠点が無さ過ぎると違和感があります。それでも空思想が二千年も支持されてきた経緯と、東大印哲教授が太鼓判を押した事で納得するしかありません。本書で参照された文献だけでも相当数であり、また著者が他に諸言語の膨大な一次資料を読んだであろう事が察せられ、その事に唯々圧倒され、ひれ伏して本書を受け入れる事しかありません。

●故に、龍樹の空思想は正しいのか?論理の破綻・矛盾が無いのか?という疑問を持つ方の参考にはならないかもしれません。或いは志ある方には反論の一助となるのかもしれません。

●とにかく空思想に興味がある方は是非読んでください。

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OK

5.0 out of 5 stars しっかりと、それでいて分かりやすく中論を説明する良書。

Reviewed in Japan on May 14, 2019

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素晴らしい著作。


ただ、中論については、「ダライ・ラマの中論入門」や「掌の中の拳」など違う本を読んでからの方が良いかもしれない。


非常にしっかりと中論の考え方をまとめた良い本です。また、本書と合わせて同著者の「原始仏典」も読むと良いだろ。そうすると仏教が立体的に見えてくる。

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和木憲一

5.0 out of 5 stars 大変参考になりました

Reviewed in Japan on October 18, 2019

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大乗仏教のことが少しわかりました。大変勉強になりました。

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YAS

4.0 out of 5 stars 中論

Reviewed in Japan on October 13, 2019

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空についてとても解り安く書かれていました、とても参考になりました

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shushin

5.0 out of 5 stars 空について学ぶにはまずこの一冊です。

Reviewed in Japan on April 27, 2020

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中村元先生の知見と偉業にただ感謝するばかりです。

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小上馬 昭彦

5.0 out of 5 stars 良かった。

Reviewed in Japan on September 11, 2019

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良かった。

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