身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法 (Japanese) Tankobon Hardcover – October 11, 2016
by べッセル・ヴァン・デア・コーク (著), 柴田 裕之 (翻訳)
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私たちは何よりもまず、患者が現在をしっかりと思う存分生きるのを助けなくてはならない――世界的第一人者が、トラウマによる脳の改変のメカニズムを解き明かし、薬物療法や従来の心理療法の限界と、EMDR、ニューロフィードバック、内的家族システム療法、PBSP療法、ヨーガ、演劇など、身体志向のさまざまな治療法の効果を紹介する、全米ベストセラー。トラウマの臨床と研究を牽引してきたヴァン・デア・コーク博士の集大成。
■本書を通して私は、被虐待児とその親の臨床の中で疑問を感じつつそのままになっていた問題や、断片的な理解のままになっていた問題のほぼすべてに、明確な回答を与えられ、視野が何倍にも広がったような体験をした。本書は日本でも、トラウマに向き合わざるを得ない人々にとって信頼できるテキストとなるだろう。――杉山登志郎(「解説の試み」より)
■科学者の果てしない好奇心と、研究者の該博な知識と、真実を語る者の情熱が見事に融合したのが、ヴァン・デア・コーク博士によるこの名著だ。――ジュディス・ハーマン(『心的外傷と回復』著者)
■ヴァン・デア・コークは、見事なまでに明快で魅力に満ちたこの力作で、私たち読者(専門家も一般大衆も)を彼自身の旅に伴い、自分の研究、同僚や学生、そして何をおいても患者から学んだ事柄の数々を示してくれる。端的に言えば、本書は傑作だ。――オノ・ヴァン・デア・ハート(国際トラウマティック・ストレス学会元会長)
■この傑出した作品は、セラピストばかりでなく、トラウマが引き起こす途方もない苦しみを理解したい、防ぎたい、あるいは治療したいと望む人なら誰もが、絶対に読むべき一冊だ。――パット・オグデン(センサリーモーター・サイコセラピー・インスティチュート創設者)
■本書は、一般読者がトラウマの複雑な作用を理解するための最先端の作品であり、苦しみを軽減するばかりでなく、生き延びるのが精一杯の状態を抜け出して人生で成功を収めるための、科学的知見に基づいた多種多様な取り組みの案内書だ。――ダニエル・J・シーゲル(UCLA医科大学臨床教授)
■本書は、明快で、人の心を捉えて離さず、途中でページを繰るのをやめるのが難しい作品であり、胸を打つ症例記録に満ちている。トラウマ治療の大家ヴァン・デア・コークは、過去三〇年間にメンタルヘルスの分野で起こったうちでも最重要と言ってよい一連の大躍進を取り上げる。トラウマが脳内のつながりばかりか、心と体のつながりをも断ち切ることが本書で明らかになり、このうえなく深刻なトラウマを抱えた人でさえ、あらゆる部分を再びまとめ上げるのを可能にする、胸躍るような新しい取り組みの数々について、私たちは学ぶことができる。――ノーマン・ドイジ(『脳はいかに治癒をもたらすか』著者)
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内容(「BOOK」データベースより)
世界的第一人者が、トラウマによる脳の改変のメカニズムを解き明かし、薬物療法の限界と、EMDR、ニューロフィードバック、内的家族システム療法、PBSP療法、ヨーガ、演劇など、身体志向のさまざまな治療法の効果を紹介する、全米ベストセラー。
著者について
【著者】ベッセル・ヴァン・デア・コーク (Bessel van der Kolk,M.D.)
米国マサチューセッツ州ブルックラインのトラウマセンターの創立者・メディカルディレクター。ボストン大学医学部精神科教授。国立複雑性トラウマトリートメントネットワークのディレクター。ボストン在住。世界各地で教鞭を執っている。邦訳された著書に、『サイコロジカル・トラウマ』(金剛出版)、『トラウマティック・ストレス』(共著、誠信書房)がある。
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Product details
単行本: 688 pages
Publisher: 紀伊國屋書店 (October 11, 2016)
Language: 日本語
ISBN-10: 4314011408
ISBN-13: 978-4314011402
Release Date: October 11, 2016
Product Dimensions: 7.4 x 5 x 1 inches
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Table of Contents
■プロローグ トラウマと向き合う
■第1部 トラウマの再発見
第1章 ヴェトナム帰還兵に学ぶ
第2章 心と脳の理解における大変革
第3章 脳の中を覗く――神経科学革命
■第2部 これがトラウマを負ったあなたの脳だ
第4章 命からがら逃げる――サバイバルの分析
第5章 体と脳のつながり
第6章 体の喪失、自己の喪失
■第3部 子供たちの心
第7章 波長を合わせる――愛着と同調
第8章 人間関係に閉じ込められる――虐待とネグレクトの代償
第9章 なぜ愛情が重要なのか
第10章 発達性トラウマ――隠れた蔓延
■第4部 トラウマの痕跡
第11章 秘密を暴く――トラウマ記憶を巡る問題
第12章 思い出すことの耐え難い重み
■第5部 回復へのさまざまな道
第13章 トラウマからの回復――自己を支配する
第14章 言葉――奇跡と暴虐
第15章 過去を手放す――EMDR
第16章 自分の体の中に棲むことを学ぶ――ヨーガ
第17章 断片をつなぎ合わせる――「セルフ(自分そのもの)」によるリーダーシップ
第18章 穴を埋める――ストラクチャーを作る
第19章 脳を配線し直す――ニューロフィードバック
第20章 自分の声を見つける――リズムの共有と演劇
■エピローグ 選ぶべき道
■付録 発達性トラウマ障害のための、合意に基づいて提案された規準
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あきさん
5.0 out of 5 stars トラウマ研究の歴史を概観し、最新の治療方法を提案する。
Reviewed in Japan on August 26, 2018
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トラウマ研究の第一人者によるその研究の歴史と最新の治療方法を提示する。アメリカで発達した精神医学もその歴史的過程ではなかなかPTSDのことが認知されなかったことがよくわかる。とくに家庭内における虐待がさまざまな社会的なコストを上げていることに注目すべきだ。日本では凶暴な事件やテロが発生すると、狂人として処理することで社会から抹殺してしまう。せいぜい親の育て方に問題があったという程度だろう。家庭内の闇に光をあて、社会的なコストをかけていこうという視点は皆無だ。そこを解明しない限り、社会も国家もひどいしっぺ返しを食うのではないか。
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rokujigen
5.0 out of 5 stars 自分のために書かれたと思える本
Reviewed in Japan on August 6, 2017
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読み始めてすぐに受けた印象は「自分のことが書かれている」でした。これは私だけではなく、大なり小なりのトラウマをもっている人なら誰もがそう感じるだろうと想います。
付せん紙を貼りながら読み進めたのですが、すぐに止めました。付せん紙だらけになったからです。
トラウマは過去に起きた出来事ではなく、現在ただいま脳内で起きている進行形の現象だということを、文字だけではなく、画像や図で気づかせてくれます。変えることの難しい心や性格の問題ではないということに確信を持たせてくれます。
文中に出てくる多くの被治療者の症状から、それらが自分だけのものではなく普遍的なものであることを知ることができ、そこからトラウマは心ではなく修復可能な脳や体の問題であることを学べます。
脳の配線をし直すためのいくつかの技法(EMDR・ヨガ・演劇・マインドフルネス・ニューロフィードバックなど)も、効果が出る理由と共に詳しく紹介されています。
巻末に紹介されている参考文献もぜひ読んでみたいと思います。
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5.0 out of 5 stars トラウマ
Reviewed in Japan on May 19, 2018
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10代のころから30年近くも自分の精神状態に違和感を感じていました。この本を読んで原因がトラウマであったことがわかっただけでも救われました。
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ジャージー
3.0 out of 5 stars PTSD症状を理解することには役立つが治療法に対する洞察が浅い
Reviewed in Japan on May 6, 2019
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この本は全体を通して多くの患者の例をバックグラウンドも含めて一つ一つのテーマについてゆっくりと展開していく
患者一人一人の短い物語からの自然な導入により一般人向けに書かれた読みやすい本である
前半は患者の症状と実験や観察を照らし合わせることで患者の身体や脳に何が起きているかを
具体的な脳の部位について説明を交えて説明している
脳で起きている現象が突きつける事実は強烈でPTSD症状への理解は大幅に向上する
後半は様々な治療とその成功例を書いている
EMDR、ヨガ、IFS、ストラクチャー、ニューロフィードバック、演劇などの治療が症状をどのように改善したかを
成功例を観察しつつ説明している
しかしながらそれぞれの治療法の比較はしておらずただ色々な選択肢を与えているだけなのが不満である
患者にどの治療法が有効であったかを症状と照らし合わせて詳細に記述していれば治療法の理解はより深まるはずである
また治療法は奇天烈で実践が難しいものが多い印象である、それだけPTSDは奇天烈なことをしなければ改善が難しいのも頷けるが
問題なのは奇天烈な治療法が読者を置いてきぼりにするほど成功した場面ばかりで茶番のようにも思えてしまうのと
精神世界のポエムのような筆致になっており脳で実際に起きたことを示すデータが前半とは違いほとんど出てこない
脳科学的な証拠が不足している分治療法の有効性についての説明の説得力が欠けている
残念ながらこの本だけでは説明が簡略化されすぎて実際に治療をすぐ実践できず、筆者のような有能なセラピストの協力が必要であるのだがそのセラピストに出会うのが困難である
奇天烈な治療法は特に熱心なセラピストでないと見向きもされない
とはいえ長年悩まされたPTSDが様々な治療法で劇的に改善する例を見れば
薬ではなく根本的な治療の重要さを知るきっかけや改善の糸口を掴むことはできる
実践するには残念ながらまた別の本を読む必要があるだろう
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5.0 out of 5 stars ネット上にはない情報
Reviewed in Japan on May 16, 2019
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ポリヴェーガル理論入門で著者を知り、読んでみました。
そもそも、ポリヴェーガル理論に行き着くまでは、自分がPTSDだと分かっていませんでした。
読んでみると、これまで手探りで進んできた分岐点について、いくつも書いてありました。
PTSDから回復する過程での、回復と思いこみやすい状態、本当の回復として目指す状態など、とても共感しました。
これから先の人々は、私が彷徨いながら数十年の月日をかけた道を科学的根拠とともに歩ける。本当に素晴らしいことです。
私もまだ回復途中。
ずっと良い治療者にも出会えず、本当に辛かったけれど、現実にもようやく理解者に出会えました。
少しずつでもいいので、良くなっていきたいです。
道は短くはないかもしれないけれど、そのためのガイドが手元にある安心感。
たくさんの人に読んでほしい本です。
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5.0 out of 5 stars 科学的で専門的な内容がわかりやすく書いてあり、翻訳も良い!!
Reviewed in Japan on April 13, 2017
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身体が記録するとは、どういうことか?なんか怪しげなと思いつつ読んだら、脳科学の恩恵を受けた科学的な本だった。ちょっとした国語辞典ぐらいあり、かなり分厚い本だが、読み始めたら意外と進む。内容は、大変専門的だけれども、一般の読者にわかるように書かれていて、とても読みやすい。おそらく原文もわかりやすく書いてあるのだと思うが、翻訳も過不足なくスムーズできれいな日本語になっている。これだけの内容の本を原文では自力で読めないので、きれいに訳してくださり、大変ありがたい。
著者は、患者をシビアに研究対象とする研究者でありつつも、研究のための研究ではなく、徹底して患者から学ぶという立場に立っているところが好感が持てる。治療法の成果については、この本に出てくる事例のようには必ずしもうまくいくとは思わないが、選択肢は多いほうがいい。
この本のおかげで、トラウマについて、不可解だった部分が理解できた。これを読むとトラウマが別の世界の特別な問題ではなく、かなり身近なものであるとわかり、見方が変わった。トラウマから抜け出す方法も紹介されていて、そんな身近なことが?、という方法もあり興味深かった。
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worker ants
5.0 out of 5 stars 読みやすいのに、深い。
Reviewed in Japan on October 11, 2017
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トラウマの仕組みがここまで、客観的に読みやすく語られている本はそうそうないと思います。治療現場最前線の情報が豊富に紹介されており、家族の諸問題で途方に暮れていた私に、前向きに暮らすための一筋の光を照らしてくれました。
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Mozhaiskij
4.0 out of 5 stars 発達障害とPTSDの共通点
Reviewed in Japan on May 3, 2019
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発達障害特にADHDとcomplex PTSDの症状に共通点が多いことは今後の研究課題だろう。
この本で演劇を用いた治療の有効性が述べられているが、発達障害の人が声優とか演劇に興味を持ったりしがちなのは、自己治癒の側面があるのかなと思う。
なお心理療法における偽記憶に関しては、著者の態度はナイーブすぎると思います。
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