2021/10/13

Amazon.co.jp:Customer Reviews: 「人間以後」の哲学 人新世を生きる (講談社選書メチエ)

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「人間以後」の哲学 人新世を生きる (講談社選書メチエ)›Customer reviews
Customer reviews
3.1 out of 5 stars

From Japan
mountainside
HALL OF FAMETOP 10 REVIEWER
5.0 out of 5 stars 地球システムとして論じる「新実在論」!
Reviewed in Japan on October 16, 2020

①人新世(未来)に生きる人間に必要な「新実在論」である。それは「地球システム」としての哲学を論じることだ。
②新実在論は新唯物論とも呼ばれる。

人間とは別に事物で構成される世界を論じる唯物論である。
マルクス・ガブリエルは「私にとって<世界>は存在しない」と主張し、独自に存在する「事物世界」を肯定した。この事物世界にどのように関与するかという問題が「新実存主義」と呼ばれる。
③著者は、人間が関与することにより「事物世界」は「(人間によって)生きられた世界」に変容すると言う。この「生きられた世界」を「地球システム」によって「持続可能な世界」として存続させることが、哲学の使命である。
④人新世(未来)において、「地球システム」の崩壊を防ぐ取り組みが生命倫理・環境倫理として構想されるが、人間とは別個に、それ自体独自に存在する「事物世界」を解体させてはならないという道徳哲学が構築される。
⑤しかし、「地球システム」は持続しても、「事物世界」は生命体として死ぬべき運命にある。これを「地球システム」の変容なしに更新することが人新世に生きる人間の使命である。人間にとって、外的な物理的な力によって「事物世界」が崩壊する危険性もあり得る。激甚災害が典型的なものである。これを予測しながら事前に備えるリスク社会を構想する必要がある。
⑥新実在論は人間の暴力や人為的な環境破壊を防ぐ倫理学とも成りうることを本書は証明した。

参考になる論点が満載だ。
本書を読んだ後でカンタン・メイヤスー、グレアム・ハーマン、マルクス・ガブリエルの著書(邦訳)を読めば良い。
本書の広範な視点が役に立つ。
お勧めの一冊だ。
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