ダライ・ラマ法王. 著書『幸福論』 原題『Ethics for the New Millennium』
ベトナム人信徒たちに薬師如来の許可灌頂授与
2016年10月29日
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インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州 ダラムサラ
今日、ダライ・ラマ法王は、前回同様、法王公邸でベトナムCEOクラブのメンバー約80人と面会された。ハノイ、ハイフォン、ホーチミン市(サイゴン)、ダナンというベトナムの4都市からも、300人から500人位のグループが新たに開発されたインタラクティブなテレビ会議システムを通じてこの法話と許可灌頂に参加した。
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インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州 ダラムサラ
今日、ダライ・ラマ法王は、前回同様、法王公邸でベトナムCEOクラブのメンバー約80人と面会された。ハノイ、ハイフォン、ホーチミン市(サイゴン)、ダナンというベトナムの4都市からも、300人から500人位のグループが新たに開発されたインタラクティブなテレビ会議システムを通じてこの法話と許可灌頂に参加した。
寺というよりも会議室に近い雰囲気の部屋に集まったこれらのグループには仏教徒たちや若い人々が混ざっており、人々は法王の著書『幸福論』(原題『Ethics for the New Millennium』)と『ダライ・ラマ 宗教を超えて』(原題『Beyond Religion』)で説かれている普遍的な価値という考え方に感銘を受けていた。法王は公邸の法座から、大画面のテレビモニターに映し出されるベトナム各地のさまざまなグループをご覧になっていた。
最初に法王は、30分ほどかけて薬師如来灌頂の準備の儀式を行われた。
そして法王は、次のようにお話を始められた。「精神的な兄弟、姉妹のみなさん、 私は今日、ここにいらっしゃるベトナム人のみなさんだけでなく、あなたがたの国で地元の都市に集まっているみなさんともお話をすることができます。物理的に遠いベトナムにおられる方々も、私たちは今このとき、ひとつのグループとして一緒にいます。現代のテクノロジーのおかげで、目の前にいる方たちだけでなく、遠方にいる方たちともお話ができるのは私にとっては初めての経験です」
「私は、いつも、数限りない母なる有情、すなわち、あらゆる生きとし生けるものは皆、幸せを望み、苦しみを求めていないことを強調してお話しています。この宇宙のどこか他の場所にも生物がいるかもしれませんが、私たちに直接関係があるのはこの地球上の生きものたちです。今日、私たちは皆、お互いに依存関係を持って生きています。気候変動、地球温暖化、地震など私たちを悩ませる自然災害に対する取り組みは、私たちすべてに影響を及ぼしています。ですから、私たちはひとつの共同体として行動しなければなりません」
「あなたがたベトナム人は不屈であり、断固たる意志を持っているのですから、今からはベトナムに関することだけなく、世界全体について考える必要があります」
法王は続けて次のように述べられた。「幸せについて話すとき、私たちは喜びの本当の源である心の平和について考えなければなりません。すべての主要な伝統宗教は愛や思いやりを説いているのですから、宗教の名の下に争いや衝突が起こることなど考えられません。21世紀を迎えた今、私たちは過去における過ちを繰り返してはならないのであり、人類には新たな成熟の兆しが感じられると思います。例えば、最近では核兵器を撲滅しようという願いが広まりつつあります」
『般若心経』として一般に知られている、25偈から成る般若経がベトナム語で唱えられた後、法王はこの経典の意味を要約して説明された。釈尊はこの経典の中で「ガテー ガテー パーラガテー パーラサンガテー ボーディ スヴァーハー」(掲諦 掲諦 波羅掲諦 波羅僧掲諦 菩提薩婆訶)という真言を、ご自身の体験から説かれた。この真言は「資糧道に行け 加行道に行け 見道に行け 修道に行け 無学道に到って悟りを成就せよ」という意味であり、悟りに至る五つの修行の道を私たちがどのような順序で進んでいくべきかが説き示されている。続いて、「色即是空 空即是色」(物質的な存在は空であり、空であるがゆえに物質的な存在として成立する)という部分に言及され、法王は毎日「私は空であり、空は私である」とご自分に向かって言い聞かせている、と話された。
法王は次のように述べられた。「量子力学では、観測者がいるからこそ観測対象があり、観測者がいなければ観測対象もないと言われているが、これは唯識派の見解と共通している。従って、仏教徒たちと現代の科学者たちが「観測者とは何であるか?」「意識とは何であるか?」を議論することは双方にとって実りあるものとなるだろう。ナーガールジュナ(龍樹)の著作『根本中論頌』は中国語でも読むことができ、英語でも翻訳が出ている。もし関心があれば、26章、18章、そして24章をこの順に読むと役立つであろう。
法王はベトナム国内のグループからの質問に短く答えられた後、薬師如来の許可灌頂を始められた。儀軌次第の最初に菩提心生起の儀式を行われ、それから弟子たちに菩薩戒を授けられた。
灌頂の儀式の終わりに、ベトナムから4グループの代表が法王に感謝の言葉をお伝えするとともに、法王のご健康とご長寿をお祈りした。
最初に法王は、30分ほどかけて薬師如来灌頂の準備の儀式を行われた。
そして法王は、次のようにお話を始められた。「精神的な兄弟、姉妹のみなさん、 私は今日、ここにいらっしゃるベトナム人のみなさんだけでなく、あなたがたの国で地元の都市に集まっているみなさんともお話をすることができます。物理的に遠いベトナムにおられる方々も、私たちは今このとき、ひとつのグループとして一緒にいます。現代のテクノロジーのおかげで、目の前にいる方たちだけでなく、遠方にいる方たちともお話ができるのは私にとっては初めての経験です」
「私は、いつも、数限りない母なる有情、すなわち、あらゆる生きとし生けるものは皆、幸せを望み、苦しみを求めていないことを強調してお話しています。この宇宙のどこか他の場所にも生物がいるかもしれませんが、私たちに直接関係があるのはこの地球上の生きものたちです。今日、私たちは皆、お互いに依存関係を持って生きています。気候変動、地球温暖化、地震など私たちを悩ませる自然災害に対する取り組みは、私たちすべてに影響を及ぼしています。ですから、私たちはひとつの共同体として行動しなければなりません」
「あなたがたベトナム人は不屈であり、断固たる意志を持っているのですから、今からはベトナムに関することだけなく、世界全体について考える必要があります」
法王は続けて次のように述べられた。「幸せについて話すとき、私たちは喜びの本当の源である心の平和について考えなければなりません。すべての主要な伝統宗教は愛や思いやりを説いているのですから、宗教の名の下に争いや衝突が起こることなど考えられません。21世紀を迎えた今、私たちは過去における過ちを繰り返してはならないのであり、人類には新たな成熟の兆しが感じられると思います。例えば、最近では核兵器を撲滅しようという願いが広まりつつあります」
『般若心経』として一般に知られている、25偈から成る般若経がベトナム語で唱えられた後、法王はこの経典の意味を要約して説明された。釈尊はこの経典の中で「ガテー ガテー パーラガテー パーラサンガテー ボーディ スヴァーハー」(掲諦 掲諦 波羅掲諦 波羅僧掲諦 菩提薩婆訶)という真言を、ご自身の体験から説かれた。この真言は「資糧道に行け 加行道に行け 見道に行け 修道に行け 無学道に到って悟りを成就せよ」という意味であり、悟りに至る五つの修行の道を私たちがどのような順序で進んでいくべきかが説き示されている。続いて、「色即是空 空即是色」(物質的な存在は空であり、空であるがゆえに物質的な存在として成立する)という部分に言及され、法王は毎日「私は空であり、空は私である」とご自分に向かって言い聞かせている、と話された。
法王は次のように述べられた。「量子力学では、観測者がいるからこそ観測対象があり、観測者がいなければ観測対象もないと言われているが、これは唯識派の見解と共通している。従って、仏教徒たちと現代の科学者たちが「観測者とは何であるか?」「意識とは何であるか?」を議論することは双方にとって実りあるものとなるだろう。ナーガールジュナ(龍樹)の著作『根本中論頌』は中国語でも読むことができ、英語でも翻訳が出ている。もし関心があれば、26章、18章、そして24章をこの順に読むと役立つであろう。
法王はベトナム国内のグループからの質問に短く答えられた後、薬師如来の許可灌頂を始められた。儀軌次第の最初に菩提心生起の儀式を行われ、それから弟子たちに菩薩戒を授けられた。
灌頂の儀式の終わりに、ベトナムから4グループの代表が法王に感謝の言葉をお伝えするとともに、法王のご健康とご長寿をお祈りした。