2021/04/21

Amazon.co.jp:Customer Reviews: パチンコ 上

Amazon.co.jp:Customer Reviews: パチンコ 上

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パチンコ 上
パチンコ 上
byMin Jin Lee
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斉藤高史
TOP 100 REVIEWER
5.0 out of 5 starsこれからは旦那さんと住む家があなたの故郷になるの
Reviewed in Japan on August 4, 2020
 今、「パチンコ "Pachinko"(上・下)」(ミン・ジン・リー 文藝春秋)を読み終えました。表現が良いか悪いか悩むところですが、3世代に渡る「在日コリアン」家族を描き切った壮大で、鮮烈な物語がチャールズ・ディケンズの著作のようにある「公平性」と透徹した現実認識の下、過度に感傷に流されない文体によって描かれているように思えます。多くのテーマ性によって物語が彩られ、構築されているにも関わらず書き過ぎていないことは或る種の<奇跡>のようです。

 第一部、その物語は1910年(日韓併合条約締結時)に始まりますが、朝鮮、釜山、影島にて、勤勉に下宿屋を営む夫婦の間に生まれたソンジャが、16歳の時に出会った<男>コ・ハンスに誘惑され妊娠してしまいます。私にとっては、日本に妻子のいるハンスからの「結婚はできないが面倒はみる」という申し入れを決然と拒否しつつ、前を向くソンジャのその凛然とした姿からこの物語が怒涛のような感情のブレをもたらしながら始まったと言ってもいいと思います。
 その物語は、第二部、1939年の大阪・猪飼野での物語に引き継がれ、第三部、1982~1989年の東京、横浜へとうねりながら相伝していくわけですが、そのストーリーを詳述するつもりはありません。「在日コリアン」の視点から描かれる歴史認識、一致団結して世の中が何一つ変わらないようにしている「日本」というこの国、多くの差別、偏見に多くの憤りと人物たちへの共感、適度に訪れる違和感を感じながらの読書になりましたが、この物語を蕩蕩と流れ切る地下水脈のような<霊性>の透明度は、やはり計り知れないものがありました。何故なのでしょう?それは、ソンジャの夫になるプロテスタントの牧師イサクと「やくざ」でもあるコ・ハンスという二人の男の間で、世界中で居場所を無くしたはずの「在日コリアン」のひとりの女性・ソンジャが体現する「聖母」としての凛とした姿と、一人の男として成長し、何も変わらない「在日コリアン」という己がアイデンティティを確立させたソンジャの息子、モーゼスの姿に圧倒的な「よきもの」を浴びせられ、心の底から浄化された私自身を見つけることができたからなのでしょう。よって、この困難な時代にあってこの小説が読めたことを深く感謝したいと思います。
 反面、登場するすべての女性たちがある懐かしさをもたらし、豊満で懐深いその「母性」へと導く物語でありながら、コ・ハンスとその息子・ノアの生き方に戸惑いつつも、魅了されている自分がいることも認められるような気もしました。
 読み終えてみて、ある時、ある女性が私にこう言っていたことを即座に思い出しました。
 「子供の頃のわたしから見た時、40代、50代の大人と言われる人たちは、みんなしっかりしていて、立派に見えたものだったわ。でも、私も大人になって、この年になって言えることは、少し悔しいけれども、人は20歳でも清々しい、立派な人がいて、40、50になってもいつまでも愚かで、不出来で、どうしようもない大人がいることに気がついた。丁度、目の前の貴方や、わたしのような・・・」(目の前の貴方は、これを書いている私(笑))
 私は、第一部で描かれた「善き人々」を今でも、いつまでも思っていることでしょう。

 この小説において、遊技機<パチンコ>があたかも「在日コリアン」を表す一つのアイコンのように取り上げられています。<瑕疵>とは言えないとは思いますが、描かれている1962年のパチンコ・ホール、パチンコ台の遊戯性には<囚われ>のような違和感を抱いたことは記述しておきたいと思います。私が知っているその当時のホールは、この国の多くの繁華街で見受けられてはいましたが、遊戯者は立ちながら、買った玉を一発ずつ流し入れ、レバーを弾き、釘の間を通ってチューリップという当たりをひくことで出玉を得られるかなり<技術介入>の高い遊戯だったと思います。そういう意味では、「客」対「釘師」の時代と言ってもいい。この小説で描かれる<パチンコ>は、1980年以降、スタート・チャッカーに玉が入るとリールが回り、数字が揃うと出玉が獲得できる「フィーバー機」をイメージして描かれているような気がします。描かれるホール、パチンコ・チェーン?の様子などと含めて考えた時に、20年ぐらいの時間のずれが感じられるような気がしましたが、いかがでしょう。とは言え、そのことがこの壮大な物語の持つ<霊性>に何らかの影響をもたらすとも思えません。
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あかちょうちん
3.0 out of 5 stars在日コリアンを考える本としては良いですが、物語としては一本の筋が通っていず感動しませんでした
Reviewed in Japan on December 26, 2020
 本書は、全米および日本の読書好きの多くの人から好評を得ているようですが、私の素直な感想としては、それほど良い本だとは思いませんでした。
 この本の良いところ、いまひとつのところ(良くないところ)を箇条書きすると次の通りです。
◆良いところ
①在日コリアンのことを知り考えるのに、サラーッとですが満遍なく情報を与えてくれています。例えば、日韓併合、土地接収、コリアンの大阪鶴橋への移住、日本での困窮と被差別、北朝鮮への帰国問題、等々です。
②本書の至る所に、人生や社会についての名言・箴言が記されています。これはおそらく、著者の洞察から紡ぎ出されたものと、著者からインタビューをされた多くの人たちの経験から発せられたものなのでしょう。
③主人公の女性のソンジャが超美人でないところが良いです。普通の顔立ち、どちらかといえばガッチリした体型、まじめに粘り強く働く人、生活の知恵も持っているという造形は魅力的でした。本書の上巻の良さはこの人物像によるところが大きいように思います。
④簡潔な表現で人間の心情や状況変化を示していて、読み手が想像を膨らませて深く感じることが出来ます。
⑤家族の絆、喜怒哀楽はどこの民族でも同じだと教えられました。
◆いまひとつのところ(良くないところ)
①いろいろな話が「継ぎ接ぎ」されていて、著者の思いが一本の筋として通っていないように感じました。苦境にめげず逞しく生きた女性を描くのか、底辺に生きる人たちが努力しても努力しても生活が良くならない状況を示すのか、頑張って理想に向かいつつある人と種々の事情から努力できず転落する人を対称的に書くのか、著者の思想を明確にした方が物語として感動を与えるものになったと思います。
②主要な登場人物の名前として、イサク、ヨセプ、ノア、モーザスという旧約聖書に出てくる名前が使われているので、それらの人生に聖書の人物の寓意が込められているはずと思って読み進みました。しかし、私の感性が悪いのか、あまり寓意が感じられませんでした。寓意を感じるストーリー展開を見る前に、主要な人物やその伴侶が次々と死んでしまいます。人物一人ひとりを丹念に描くことが大切だと思いました。
③ソンジャを韓国での愛人にしようとし、その後日本で彼女を支援するコ・ハンスという人物は、捉えようによってはマーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』のレット・バトラーを彷彿とさせて興味深いのですが、人物像が一定していません。最初は日本から韓国へやってきた仲買人、やがて鶴橋の高級焼肉店経営者、そして全国に調査網と人脈を持つやくざの後継者と描かれていきます。ノアに期待する立派な心情やセリフとやくざの生き方に、私は矛盾を感じ納得できませんでした。やくざな生き方をしている人は、多くの場合やくざな心情になりがちですから。
④下巻に出てくる同性愛者の野外セックス行為や性的な問題で一般社会から追いやられた女性のセックスシーン、および投資銀行関係者のギャンブルや不正行為などの話は、取って付けたような話で、無かった方が良いと思いました。
◆最後にまとめを言いますと、次の通りです。
①この本が全米で人気があったのは、米国人が、在日コリアンの苦労する姿に、米国へ移ってきた自分たちや親たちの苦労の姿を見、共感したからではないでしょうか。
②著者が多くの事実を調べ、大勢の人にインタビューして、本書を書き上げたことには敬意を表しますが、収集した情報を消化しきれていないと感じました。もっと、ソンジャやノアやモーゼスに的を絞って、その3人の苦労や心情や活躍に寄り添って物語を書いたら、非常に素晴らしいものになったように思います。
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斉藤高史
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5.0 out of 5 stars これからは旦那さんと住む家があなたの故郷になるの
Reviewed in Japan on August 4, 2020
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 今、「パチンコ "Pachinko"(上・下)」(ミン・ジン・リー 文藝春秋)を読み終えました。表現が良いか悪いか悩むところですが、3世代に渡る「在日コリアン」家族を描き切った壮大で、鮮烈な物語がチャールズ・ディケンズの著作のようにある「公平性」と透徹した現実認識の下、過度に感傷に流されない文体によって描かれているように思えます。多くのテーマ性によって物語が彩られ、構築されているにも関わらず書き過ぎていないことは或る種の<奇跡>のようです。

 第一部、その物語は1910年(日韓併合条約締結時)に始まりますが、朝鮮、釜山、影島にて、勤勉に下宿屋を営む夫婦の間に生まれたソンジャが、16歳の時に出会った<男>コ・ハンスに誘惑され妊娠してしまいます。私にとっては、日本に妻子のいるハンスからの「結婚はできないが面倒はみる」という申し入れを決然と拒否しつつ、前を向くソンジャのその凛然とした姿からこの物語が怒涛のような感情のブレをもたらしながら始まったと言ってもいいと思います。
 その物語は、第二部、1939年の大阪・猪飼野での物語に引き継がれ、第三部、1982~1989年の東京、横浜へとうねりながら相伝していくわけですが、そのストーリーを詳述するつもりはありません。「在日コリアン」の視点から描かれる歴史認識、一致団結して世の中が何一つ変わらないようにしている「日本」というこの国、多くの差別、偏見に多くの憤りと人物たちへの共感、適度に訪れる違和感を感じながらの読書になりましたが、この物語を蕩蕩と流れ切る地下水脈のような<霊性>の透明度は、やはり計り知れないものがありました。何故なのでしょう?それは、ソンジャの夫になるプロテスタントの牧師イサクと「やくざ」でもあるコ・ハンスという二人の男の間で、世界中で居場所を無くしたはずの「在日コリアン」のひとりの女性・ソンジャが体現する「聖母」としての凛とした姿と、一人の男として成長し、何も変わらない「在日コリアン」という己がアイデンティティを確立させたソンジャの息子、モーゼスの姿に圧倒的な「よきもの」を浴びせられ、心の底から浄化された私自身を見つけることができたからなのでしょう。よって、この困難な時代にあってこの小説が読めたことを深く感謝したいと思います。
 反面、登場するすべての女性たちがある懐かしさをもたらし、豊満で懐深いその「母性」へと導く物語でありながら、コ・ハンスとその息子・ノアの生き方に戸惑いつつも、魅了されている自分がいることも認められるような気もしました。
 読み終えてみて、ある時、ある女性が私にこう言っていたことを即座に思い出しました。
 「子供の頃のわたしから見た時、40代、50代の大人と言われる人たちは、みんなしっかりしていて、立派に見えたものだったわ。でも、私も大人になって、この年になって言えることは、少し悔しいけれども、人は20歳でも清々しい、立派な人がいて、40、50になってもいつまでも愚かで、不出来で、どうしようもない大人がいることに気がついた。丁度、目の前の貴方や、わたしのような・・・」(目の前の貴方は、これを書いている私(笑))
 私は、第一部で描かれた「善き人々」を今でも、いつまでも思っていることでしょう。

 この小説において、遊技機<パチンコ>があたかも「在日コリアン」を表す一つのアイコンのように取り上げられています。<瑕疵>とは言えないとは思いますが、描かれている1962年のパチンコ・ホール、パチンコ台の遊戯性には<囚われ>のような違和感を抱いたことは記述しておきたいと思います。私が知っているその当時のホールは、この国の多くの繁華街で見受けられてはいましたが、遊戯者は立ちながら、買った玉を一発ずつ流し入れ、レバーを弾き、釘の間を通ってチューリップという当たりをひくことで出玉を得られるかなり<技術介入>の高い遊戯だったと思います。そういう意味では、「客」対「釘師」の時代と言ってもいい。この小説で描かれる<パチンコ>は、1980年以降、スタート・チャッカーに玉が入るとリールが回り、数字が揃うと出玉が獲得できる「フィーバー機」をイメージして描かれているような気がします。描かれるホール、パチンコ・チェーン?の様子などと含めて考えた時に、20年ぐらいの時間のずれが感じられるような気がしましたが、いかがでしょう。とは言え、そのことがこの壮大な物語の持つ<霊性>に何らかの影響をもたらすとも思えません。
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匿名
5.0 out of 5 stars 人種の問題ではなく、人類が持つ永遠のテーマを題材にした小説です
Reviewed in Japan on September 27, 2020
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在日コリアン3世です。
上巻を読み終えた時、他界した祖父母が語っていた祖国での貧しい生活や父母の子供の頃の苦労話などがリンクし、読んでいて何度も涙してしまいました。それと同時に、日本に対してのあまり読んでいて気持ちよくない表現が出てきたことや、そもそも日本人になじみの薄そうな話も多かったため、この小説は果たして日本で受け入れられるものなのだろうかと不安に思いました。
しかし下巻を読んでみてその心配は払拭されました。この小説の本質があるのは在日と日本人とかいった人種間に起こる事柄ではなくて、「女性と男性」、「母と娘」という人類が向き合ってきた実に壮大な課題にありました。
脚色された部分が少なく、事象が淡々と描かれています。プロットを読むようにパラパラと読み進めることができるため、あっと言う間に読めてしまうでしょう。
この小説は1989年で終わっていますが、それから31年が過ぎました。2020年の日本では、ジェンダー観、家族のあり方、パチンコ業界、日本、韓国、そして我々のような在日の立ち位置も随分変わりました。現在も物語は日本のどこかで続いているのでしょう。本当に素晴らしい小説でした。
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渡部行雄
5.0 out of 5 stars 読み応えのある小説。翻訳もいい。
Reviewed in Japan on August 26, 2020
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長編小説はちょっと・・・・と言っていたのに、大作と言える長編小説に手を出してしまった。上下で5000円を超える小説はこれまで読んだことはない(単行本があるのを知らず電子書籍で購入したが、それでも上下で4800円)。著者は韓国風に言えば、イ・ミンジン。
 日本が韓国を併合した1910年に始まり、1989年のバブルで終わる朝鮮半島出身の一族の4世代にわたる物語。朝鮮人、在日として生きる苦難の話ではあるが、これを反日プロパガンダとみる人がいれば、その人の人品骨柄が疑われるというものだ。この手の小説にありがちな、声高に日本を非難し糾弾することなく、冷静に淡々と語ることによって、むしろ日本人にしみてくるものがあるはずだ。
 今上巻を読み終えたところだが、ここでは戦後の朝鮮戦争あたりまでが描かれている。粗末な家屋での、豚などの家畜やキムチなどの強烈な臭いに包まれた生活。日本人の忌み嫌うこの悪臭は差別の対象となるともなるものだ。そんな中でも解放された半島に帰ることでなく、日本での生活を選択した人たち。
 またこの上巻では、韓国で多く日本人には比較的なじみの薄いキリスト教的世界観も語られる。主人公の連れ合いもその義兄も牧師であり、その故に二重の差別と抑圧にさらされる。偶像崇拝を禁ずるクリスチャンとしては、神社に動員され、現人神の天皇に崇敬の言葉を発することなどできないのだ。
 この小説は冒頭に「故郷とは、ものの名前、一つの語に過ぎないが、強い引力を持つ。その力は、かつて降霊術師が唱えた呪文、霊魂を呼び寄せるまじないの比ではない」(チャールズ・ディケンズ)の引用があり、終わりの方では主人公のソンジャに不義の子を産ませた実業家(ヤクザ)のハンスに「私たちのような人間にふるさとなど存在しない」と言わせる。
 記憶喪失、出生の秘密、交通事故、不治の病、財閥の御曹司等々の、おバカな韓ドラも悪くないが、時にこんな重厚長大な話に身を浸し背筋を伸ばしても罰は当たらない。
 アメリカでは、テレビドラマ化されるようだが、メィジャーな劇場映画にも必ずなるように思われる。キャストを考えてみると、主人公で平凡な容姿のソンジャは、シム・ウンギョン、その夫でイケメンの牧師イサクは、ソン・スンホン、義姉で美人のキョンヒは、ソン・ヘギョ、実業家ハンスは、イ・ソンミンなどどうだろう?
 
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匿名希望
5.0 out of 5 stars 在日コリアン4世代のリアリティあふれる物語
Reviewed in Japan on August 26, 2020
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『パチンコ(上)(下)』読了。在日コリアン4世代の物語。淡々と書き綴られる中にも息を飲むような過酷さ、残酷さ、救いに何度も静かに涙した。着想から何十年越しの魂が籠った超大作。久しぶりに時間を忘れてあっという間に読み切った作品だった。読みながら、何度も自らの生き方、在り方を問うた。
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ゆうちん
5.0 out of 5 stars タイトルにとらわれないで読んだ方が良い。
Reviewed in Japan on November 12, 2020
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我々の身近にいても、よく分からなかった在日朝鮮人の話。被害者意識の強い、対立を煽る視点ではなく、パールバックの大地の様な視点、言うなればグローバルでキリスト教的な視点から書かれている。優秀なコリアン達は、どうやらpoorな日本人より先にこの視点を獲得していて、映画、スポーツ、芸能において世界レベルに到達している。小説として面白く、心に響き、残る。どうやら文学でも後塵を拝することになる様だ。最近の日本の小説は、残念だけれど響かない。つまらないことにこだわり、本質を見抜けず、日々の生活に追われる我々は、どんどん劣化してゆく。
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あかちょうちん
3.0 out of 5 stars 在日コリアンを考える本としては良いですが、物語としては一本の筋が通っていず感動しませんでした
Reviewed in Japan on December 26, 2020
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 本書は、全米および日本の読書好きの多くの人から好評を得ているようですが、私の素直な感想としては、それほど良い本だとは思いませんでした。
 この本の良いところ、いまひとつのところ(良くないところ)を箇条書きすると次の通りです。
◆良いところ
①在日コリアンのことを知り考えるのに、サラーッとですが満遍なく情報を与えてくれています。例えば、日韓併合、土地接収、コリアンの大阪鶴橋への移住、日本での困窮と被差別、北朝鮮への帰国問題、等々です。
②本書の至る所に、人生や社会についての名言・箴言が記されています。これはおそらく、著者の洞察から紡ぎ出されたものと、著者からインタビューをされた多くの人たちの経験から発せられたものなのでしょう。
③主人公の女性のソンジャが超美人でないところが良いです。普通の顔立ち、どちらかといえばガッチリした体型、まじめに粘り強く働く人、生活の知恵も持っているという造形は魅力的でした。本書の上巻の良さはこの人物像によるところが大きいように思います。
④簡潔な表現で人間の心情や状況変化を示していて、読み手が想像を膨らませて深く感じることが出来ます。
⑤家族の絆、喜怒哀楽はどこの民族でも同じだと教えられました。
◆いまひとつのところ(良くないところ)
①いろいろな話が「継ぎ接ぎ」されていて、著者の思いが一本の筋として通っていないように感じました。苦境にめげず逞しく生きた女性を描くのか、底辺に生きる人たちが努力しても努力しても生活が良くならない状況を示すのか、頑張って理想に向かいつつある人と種々の事情から努力できず転落する人を対称的に書くのか、著者の思想を明確にした方が物語として感動を与えるものになったと思います。
②主要な登場人物の名前として、イサク、ヨセプ、ノア、モーザスという旧約聖書に出てくる名前が使われているので、それらの人生に聖書の人物の寓意が込められているはずと思って読み進みました。しかし、私の感性が悪いのか、あまり寓意が感じられませんでした。寓意を感じるストーリー展開を見る前に、主要な人物やその伴侶が次々と死んでしまいます。人物一人ひとりを丹念に描くことが大切だと思いました。
③ソンジャを韓国での愛人にしようとし、その後日本で彼女を支援するコ・ハンスという人物は、捉えようによってはマーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』のレット・バトラーを彷彿とさせて興味深いのですが、人物像が一定していません。最初は日本から韓国へやってきた仲買人、やがて鶴橋の高級焼肉店経営者、そして全国に調査網と人脈を持つやくざの後継者と描かれていきます。ノアに期待する立派な心情やセリフとやくざの生き方に、私は矛盾を感じ納得できませんでした。やくざな生き方をしている人は、多くの場合やくざな心情になりがちですから。
④下巻に出てくる同性愛者の野外セックス行為や性的な問題で一般社会から追いやられた女性のセックスシーン、および投資銀行関係者のギャンブルや不正行為などの話は、取って付けたような話で、無かった方が良いと思いました。
◆最後にまとめを言いますと、次の通りです。
①この本が全米で人気があったのは、米国人が、在日コリアンの苦労する姿に、米国へ移ってきた自分たちや親たちの苦労の姿を見、共感したからではないでしょうか。
②著者が多くの事実を調べ、大勢の人にインタビューして、本書を書き上げたことには敬意を表しますが、収集した情報を消化しきれていないと感じました。もっと、ソンジャやノアやモーゼスに的を絞って、その3人の苦労や心情や活躍に寄り添って物語を書いたら、非常に素晴らしいものになったように思います。
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Fidel
5.0 out of 5 stars 精緻な歴史考証に基づいた圧倒的な物語、息もつかせぬ展開
Reviewed in Japan on September 6, 2020
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パチンコ読了しました。圧倒的な物語、息もつかせぬ展開で感動と深い思索の世界に引き込まれました。加えて、翻訳が素晴らしい。登場人物の多くが使用する関西弁を見事に表現しており、後追いで英語版を読み進めていますが、英語版よりも臨場感を感じます、、、。

徹底した歴史考証で強制植民地化移行の朝鮮半島と帝国日本、引いては朝鮮半島の人々、在日コリアンが抱える苦悩・不条理を登場人物達の四世代に亘る生き様に投影した大作です。李恢成や金時鐘の作品をも凌駕する素晴らしい作品です。在日コリアンのみならず今を生きる日本人必読の書と言っても過言ではありません。
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タミーゴ
5.0 out of 5 stars 日本社会の歪みが苦甘の誘惑になる
Reviewed in Japan on February 19, 2021
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在日コリアンの苦難のサーガ、五世代にわたる家族の切ない物語だった。
・・・という簡潔なまとめだと誰も本書を手にしないだろうと危惧する、
僕の場合は毎日新聞の2020年 年間推薦書籍に複数挙げれれていたことから
最近手にした次第だった、識者の選択眼に狂いはなかった。

上下巻のボリュームではあるが物語の展開の引きこまれる魅力は近年記憶にないくらい、登場人物にこれほど感情移入できることも久しぶりだった。
本書は1910年(韓国併合)から始まり1989年のバブル真っ盛りまでの大きな時代の流れを在日コリアンの視点で描くが、その舞台は主人公ソンジャが日本に渡るまでの釜山、影島での生活以外は、すべて日本。
戦前、戦中、戦後、高度成長期、そして前述したバブル経済下の日本が舞台であり、この79年間の物語の39年を
僕も同じ空気を吸っていたことにちょっと感動する。
著者の綿密な取材の結果、この79年、少なくとも39年は見事に再現されている。
在日コリアンの苦しみを傍らからとはいえうすうす感じ取っていた僕の青春時代が蘇ってなにやら懐かしさまで感じた。

物語りの概略をここに述べることは無思慮であると同時に、この大河物語を一言で括ることはできない。
在日コリアンの代名詞として掲げられたタイトル「パチンコ」を中心に多様なエピソードが五世代にわたって展開する。
小説としての面白さと日本社会の歪みが苦甘の誘惑で次の頁へと読み進ませる。
多くの日本に住む人々に読んでもらいたいと切に思った。

巻末の解説に【まるで「おしん」のような話】とあったが、僕には「風と共に去りぬ」のときのような楽しい読書経験になった、
ちなみに「風と共に去りぬ」は16歳の時の衝撃だった。
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amazon customer
2.0 out of 5 stars テーマは上手いが中身がボロボロ
Reviewed in Japan on October 12, 2020
なんでこんなに評価高いの?在日コリアンの近代史をちゃんと書いた小説がなかったから?作者はよく取材したのかもしれないけど、日本国内で育った我々からすると家族がみんなパチンコビジネスに落ち着く時点ですごい無理筋。在日コリアンが何人くらいいるかは調べて数字でわかっていても、住んで肌感覚で知っているのとは違うんだろうね。差別もされているけど普通に学校にも会社にもたくさんいて、野球選手にもアイドルにもいるし、こんなパチンコ屋とかじゃなく普通の会社社長もいるし、富士フイルムやソニー社員なんかにはいくらでもいるわ。「日本にいるのは金持ちのコリアンか貧乏なコリアンのどっちか」ってこんな、無知丸出しの記述がまかり通るなんて読む気なくすわ。アップルTVでドラマ化されたと聞いて納得。確かに太平洋戦争や朝鮮分断という激動の歴史の流れに翻弄される家族のドラマだもん。しかもかなり昼メロ。女は頭の良さとかも含め完全にイロモノだよね。
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nikataro
4.0 out of 5 stars 小説として贅沢にもすべての要素が盛り込まれています
Reviewed in Japan on January 28, 2021
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個人ではどうすることもできない大きな歴史のうねり、釜山から大阪、疎開先、そしてまた大阪というロードムービー的展開、善意と信仰に生きることの意味、勤勉によって貧窮を乗り越えて成り上がろうとする市井の人々、反抗しながらも魅かれてしまう恋愛、悪漢ながら男の魅力を漂わせる人物、爆発しそうな邪な感情、永遠に受け継がれる家族愛などもう小説としては「ビビンパ」状態だと思います。

そして、作者はこれらを上手に操って、いっさい破綻させることなく語り継いでいきます。太平洋戦争が終結してようやく安定しかけたと思う暇もなく朝鮮戦争を迎え、不幸にも南北分断に向かったあたりまでが上巻になります。今からすぐに下巻を読み始めます。
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Amazon カスタマー
5.0 out of 5 stars 人間の愛情と尊厳がテーマの米ベストセラーの傑作
Reviewed in Japan on August 16, 2020
懸命に生きる移民の家族を4世代に渡って描き切った壮大な物語である。アメリカでベストセラーになったが、移民の置かれる境遇の普遍性が全世界の共感を呼ぶのだろう。在日コリアンという日本における近世最初の移民の存在を通して日本社会を再考するきっかけともなって欲しいが、この物語が日本社会に広く共感を持って読まれるにはそれへの理解がまだ日本社会には足りないかもしれない。時代背景や社会描写に綿密な研究をしたのが感じ取れる。作者に敬意を表したい。単に差別や日韓の歴史を背景にした軽薄な物語ではなく、人間への深い愛情と尊厳がテーマの深淵な物語である。
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Amazon カスタマー
5.0 out of 5 stars 読みごたえ!
Reviewed in Japan on October 1, 2020
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刺激的で、理不尽で、興味深くて、読みごたえがあります。タイトルの「パチンコ」は上巻にはいっさい出てきませんが、上巻を読み終えるころには、「パチンコ」というタイトルの理由が、何となくわかりました。そして、下巻で登場人物によって、その理由が語られます。
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ふゆ
5.0 out of 5 stars 素晴らしい作品
Reviewed in Japan on February 14, 2021
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登場人物が素敵な人が多く、とても魅了された。貧しさが半端ないけど、今後も貧しいながらもなんとかやっていく逞しさがとても心強かった。イサクとソンジャが幸せになってほしいけど、下巻も辛いんだろうなと考えると苦しい。
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may
5.0 out of 5 stars おもしろかっあです。
Reviewed in Japan on January 18, 2021
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発送も早かったです。
おもしろかった
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ドリルさん
5.0 out of 5 stars 高いけど、大傑作!
Reviewed in Japan on August 18, 2020
レビューを何度も書き直ししながら、評論めいた事は評論家に任せて、率直に感想を述べたいと思いました。
まず、この本に出会えた事に感謝します。
それと、この本を自信を持って人に薦められる事にも感謝、アーメン!
一つ、ケチをつけます。2冊で5000円です。これは高い。こんな高い本がアメリカで100万部も売れたってすごい。わからんけど、アメリカでは5000円もしない?
オバマ前大統領が推薦といっても、オバマは本の値段を見ないでしょ。一般的に、5000円は法外でしょ。その価値はあると思いますが、この素晴らしい本が、この小説の舞台である日本でさっぱり売れなくてもそれは価格のせいです。

それと、翻訳者の文章は最高に読みやすくイライラさせません。
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みち
5.0 out of 5 stars 力強い作品。出会えたことに感謝。
Reviewed in Japan on March 19, 2021
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時代や背景を超えて、人間の強さ、弱さ、愛や苦しみなど、根っこの部分に訴える、力強い小説です。良い作品に出会えて幸せです。
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step23
5.0 out of 5 stars 読み応えのある小説
Reviewed in Japan on January 26, 2021
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3代にわたる在日コリアンの家族の生き様を描いた骨太の移民小説。3日ほどで一気に読めました。
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こううううたろううう
5.0 out of 5 stars 是非読んで欲しい一冊
Reviewed in Japan on March 29, 2021
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久しぶりに、こんなに読み応えがある本に出会えた。続きが気になり、夜通し読んでしまった。
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MM
3.0 out of 5 stars 残念
Reviewed in Japan on February 26, 2021
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展開が雑であまり面白くなかったです。
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ぽっぽ
5.0 out of 5 stars 日本の中の知らない世界
Reviewed in Japan on August 15, 2020
すごく読み応えのあるいい小説で、ここ数年で一番面白かった。
題材が「在日」であり、歴史なのでその歴史観から賛否はあるだろうし、日本で教育を受けて育った「日本人」からすると正直「ん?」と思う部分は少なからずあった。
だけど、そこ含めて在日コリアン側からの日本の見え方であり、日本の中の知らなかった世界を疑似体験することができた。

在日コリアンの方の感想もぜひ聞いてみたいですね。
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