安岡正篤『人間はまず自己を得なければいけない。人間はまず根本的に自己を徹見する。これがあらゆる哲学、宗教、道徳の、基本問題である。』
2019年8月14日2020年2月6日
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考察
『人間は自得から出発しなければならない。人間はいろんなものを失うが、何が一番失いやすいかといいますと、自己である。人間はまず自己を得なければいけない。人間はまず根本的に自己を徹見する。これがあらゆる哲学、宗教、道徳の、基本問題である。』
『自己を失う』というのは、『自分が何者であるかを見失う』ということである。例えば、ルソーのこの記事に書いた、
『生きるとは呼吸することではない。行動することだ。』
当時の私で言えば、『人からなんと言われるか、どう見られるかを気にして、自分の本性をひた隠しにし、あるいは出し惜しんでいた』というこの私の態度は、『自分が何者であるかを見失う』行為の、助長である。つまり、『本当は自分が振る舞いたい振る舞い』があるのに、それをすることによって、失うものや、代償を払うものがあることを気にしてしまい、本来の自分が埋没してしまっているのだ。
『自己を得る』というのは、そのルソーの記事に書いた、私の『勇気を出して立ち上がった』シーンを考えた時に、わかりやすい。私はつまり、それまで『呼吸』こそしていたが、『生きて』はいなかった。しかし、この人生が有限であり、唯一無二であるということを自覚し始めた時、この、たった一度の奇跡の人生を、立ち止まって真剣に考える時間を確保すべきだと確信したのである。
私はルソーのその記事に、こう書いた。
『私の人生は、あの時から始まった。』
親から強要されていたキリスト教について、余命を宣告された父親について、実に様々な複雑な事情を抱えていた私の思考は、『自己を得て』から、再稼働し始めたのだ。
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徹見の英語
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主な英訳 seeing clearly; seeing without obstruction; looking into every nook and corner
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