2019/02/13

有機農業ではたい肥を使い土作りをしていると聞きました。それでは日本の慣行農業ではどのような土作りが一... | レファレンス協同データベース

有機農業ではたい肥を使い土作りをしていると聞きました。それでは日本の慣行農業ではどのような土作りが一... | レファレンス協同データベース




提供館
(Library) 国立国会図書館支部農林水産省図書館農林水産技術会議事務局つくば分館 (1430002)管理番号
(Control number) NDL農会筑-2007-017
事例作成日
(Creation date) 2007年12月14日登録日時
(Registration date) 2007年12月14日 10時36分更新日時
(Last update) 2013年09月25日 15時58分
質問
(Question)
有機農業ではたい肥を使い土作りをしていると聞きました。それでは日本の慣行農業ではどのような土作りが一般的なのでしょうか。書籍などを教えて下さい。
回答
(Answer)
ご指摘の通り、畑か水田か、また作物や栽培地の気象条件によっても必要な土壌の条件は変化しますので、最適な土壌づくりに必要な肥料の施肥量、施肥の時期等も変化します。
 基本的な土壌の改善目標については、「地力増進基本指針」としてまとまっております。
  http://www.maff.go.jp/j/study/kankyo_hozen/03/pdf/ref_data2.pdf
をご参照下さい。

 また、各都道府県では、施肥量の目安になる施肥の基準値や方法を策定しており、これらの情報を技術指導者等を通じて農業者の方に伝えるために技術指導書として施肥基準を作成しています。都道府県の施肥基準には、施肥の具体的な方法の他に、施肥の基本や関連情報等がまとめられており、農業技術や栽培品種等の状況の変化に応じて適宜見直しがされています。

各都道府県毎の施肥基準については、農林水産省のWebサイト
ホーム > 生産 > 環境保全型農業関連情報 > 都道府県施肥基準等 
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/
にまとまっております。
具体的な施肥量や使用する資材についても記載されておりますので、詳細はこちらをご参照下さい。

全般的に解説した資料としては以下があります。

○堆肥・有機質肥料の基礎知識
西尾 道徳 著
定価:2,200円 (本体2,095円、税105円)
A5、216
ISBNコード:9784540071973
発行日:2007/07
出版:農文協
・解説
 さまざまな原料の堆肥、多様な有機肥料を、効果的で害の出ない使い方の
基礎としてまとめたのが本書。養分の過剰やアンバランス化を防ぐ、連年施
用での毎年の施用量、化学肥料の削減量の計算方法もわかりやすく紹介。
・目次
第1章 堆肥と有機質肥料の基本
第2章 堆肥の効果
第3章 堆肥の過剰害と利用の課題
第4章 堆肥の適正施用量の計算
第5章 有機質肥料の適正施用量の計算

○肥料の施し方便覧
鎌田嘉孝、国武正彦 編
定価:1,155円 (本体1,100円、税55円)
B6、280頁
ISBNコード:9784540760334
発行日:1976/12
・解説
 作物の側から肥料の施し方を引く本。肥料の効き方は、田畑のクセやその年
の気候、作物の性質や作型などによって様々に変わる。ムリ、ムダのない効果
的な施肥法を作物ごとに解説した
(注:版元で品切れのため、図書館等でご確認下さい。当館でも所蔵しており
ます。)

○肥料の事典
尾和尚人 [ほか] 編集
朝倉書店
B5/400ページ/2006年01月28日
ISBN978-4-254-43090-5 C3561
定価18,900円(税込)
・概要
世界的な人口増加を背景とする食料の増産と,それを支える肥料需要の増大
によって深刻化する水質汚染や大気汚染などの環境問題。これら今日的な課
題を踏まえ,持続可能な農業生産体制の構築のための新たな指針として,肥
料の基礎から施肥の実務までを解説。〔内容〕食料生産と施肥/施肥需要の
歴史的推移と将来展望 /肥料の定義と分類/肥料の種類と性質(化学肥料
/有機性肥料)/土地改良資材/施肥法/施肥と作物の品質/施肥と環境
・編集部から
 日本では,少子化問題や人口減少の危機などがずいぶん前から叫ばれてい
るが,世界的にはなお,とどまるところを知らない人口増加が続いている。
そのため,地球規模で見た場合,もっと多くの食糧が必要であり,それには
農業生産性の向上のための施肥の強化が不可欠でもある。
 その半面で,肥料は環境問題そのものである。
 先進諸国での過剰な施肥が,環境,とくに土壌,水,大気に影響を与え,
人の健康を損なっている事例は増加の一途をたどっており,また,発展途上
国では不適切な施肥や土壌管理によって,かえって土壌の劣化や砂漠化を進
めているケースも少なくない。
 本書は,化学肥料から有機肥料まで,肥料そのものを解説し,さらに作物
別の施肥の方法についても詳しく述べた実用性の高い事典である。肥料とは
コヤシのことだろう,と単純に考えていた一般人にとっては,作物の味や品
質をも操作する肥料と施肥の,農業における多面的な力を教えてくれる。一
方で,「環境劣化をもたらさない肥料と施肥法の開発」や「施肥と環境」な
ど環境問題そのものを扱った章はもとより,実務的な記述の中にも,「環境
保全型生産システムとしての適合」「どうやって肥料を少なく使うか」とい
う視点が垣間見られ,我々の依って立つ食糧生産の基盤と,環境保全の両立
─「持続可能な農業生産体制の構築」の困難さがにじむ一冊でもある。 
(瀧原)
・目次
1. 食糧生産と施肥
 1.1 施肥に対する考え方の歴史的推移
 1.2 化学肥科の歴史
 1.3 食糧生産における施肥の役割
 1.4 環境劣化をもたらさない肥料と施肥法の開発の必要性
2. 肥科需要の歴史的推移と将来展望
 2.1 世界的にみた人口増加に伴う食糧生産の増加と肥料消費の推移
 2.2 各大陸の主要国における人口増加に伴う施肥量と食糧生産の推

 2.3 わが国における食糧生産と肥科需要の推移
 2.4 将来展望
3. 肥料の定義と分類
 3.1 植物の必須要素とその役割
 3.2 肥科取締法と肥科の定義
 3.3 普通肥科と特殊肥料
 3.4 肥科の成分
 3.5 肥科の登録と検査
 3.6 肥科の包装容器
 3.7 肥料分析法と鑑定法
 3.8 肥料の分類
4. 肥料の分類と性質
 4.1 化学肥科
 4.2 有機性肥料
5. 土壌改良資材
 5.1 土壊改良資材の定義
 5.2 地力増進法で指走する土壌改良資材
 5.3 地力増進法で指定されていない土壌改良資材
6. 施肥法
 6.1 施肥法の基礎
 6.2 診断技術と施肥法
 6.3 作物と施肥
 6.4 日本の伝統的な施肥用語
7. 施肥と作物の品質
 7.1 コメ
 7.2 畑作物
 7.3 野菜類
 7.4 飼料作物
 7.5 果樹類
 7.6 チャ(茶)
 7.7 花き類
8. 施肥と環境
 8.1 地域環境の汚染
 8.2 地球環境の汚染
 8.3 不良土壌における緑化と施肥
索 引

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なお、 「有機農業」については、日本農林規格(JAS)では、以下が条件となっています。

○有機農産物
・種まき又は植え付け前2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用していない田畑で栽培する。
・栽培期間中も禁止された農薬、化学肥料は使用しない。
・遺伝子組換え技術を使用しない。

なお、生産物を販売する等の場合は、有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていることを登録認定機関が検査し、認定された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます。
この「有機JASマーク」がない農産物と農産物加工食品に、「有機」、「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止
されています。
使用可能な農薬など、これら有機JASについての詳細な情報は、
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html
をご参照下さい。

慣行農業で化学肥料などを使用していた土壌を有機農業へ切り替える場合については、「有機農業ハンドブック」に以下の記載がありました。

農薬や化学肥料で痛めつけられていない休耕地などを選ぶべきである。
仮にその条件がなければ、もともとある雑草を活かしたり緑肥作物を導
入して、土壌微生物や土壌動物、昆虫の復活を図るとよい。
栽培を軌道に乗せるには、良質の堆厩肥の確保と入れ方、土質の改良、
適期の管理、品種の選択などの条件を整えるとともに農薬や化学肥料の
使用は絶対に避けなければならない。
(p.11-)

また、実践例としては、農業者大学校を卒業し有機農業を手がけられている「霜里農場」のWebサイトが参考になるかと思います。 http://www.shimosato-farm.com/ (20110930)堆肥作りについての例が 霜里農場 > 堆肥 で紹介されています。

その他、参考になると思われる書籍については以下の通りです。

○有機農業ハンドブック 土づくりから食べ方まで
日本有機農業研究会 編、発行
定価:3,800円 (本体3,619円、税181円)
A5、366頁
ISBNコード:9784540981333
・解説
日本有機農業研究会会員の二七年にわたる無農薬・無化学肥料栽培探究の集
大成。米麦など主食穀物・雑穀・野菜・果樹・茶の栽培から、有機農産物を
活かす加工・調理法まで、自然と共生する健康な暮らしを丹念にガイド

○有機栽培の基礎と実際 肥効のメカニズムと施肥設計
小祝政明 著
定価:2,700円 (本体2,571円、税129円)
A5、271
ISBNコード:9784540031977
発行日:2005/03
出版:農山漁村文化協会
・目次
なぜ、有機質栽培で失敗するのか―思いちがいから探る
有機栽培って何だろう?
作物の生長と有機栽培
有機栽培の土つくり
有機栽培と肥料 アミノ酸肥料とミネラル肥料
土壌分析の考え方とその実際
有機栽培の作目別施肥設計とその実際
堆肥・アミノ酸肥料(ボカシ肥料)のつくり方

○基礎講座 有機農業の技術 土づくり・施肥・育種・病害虫対策
日本有機農業研究会 編集
定価:1,750円 (本体1,667円、税83円)
A5、168
ISBNコード:9784540071768
発行日:2007/09
出版:日本有機農業研究会
・解説
農学のそれぞれの分野の第一人者が語った有機農業の課題と可能性。経験や
事例の報告ではなく、科学として有機農業を理解したい人、また実際にこれ
から有機農業を始めようとしている人に、確かな示唆を与える入門書。
・目次
I これからの有機農業-土と栄養について
1 物質循環の「要」としての土
2 近代農業における施肥技術
3 リービヒと農業界論争
4 植物と有機物の吸収
5 硝酸の問題
6 吸収される窒素の質と量
7 これからの有機農業、環境保全型農業
II 土壌微生物と作物-有機栽培の基礎技術
1 有機農業のコンセプト
2 多様な有機農業
3 なぜ堆肥化するのか
4 堆肥の施用量をどのように調節するのか
5 作物による有機物の直接吸収の可能性
III 有機農業のための育種と採種の体系
1 考え方の基礎
2 これからの育種目標の最重要課題-有機農業に適した品種育成のため
の七つの設問
3 有機農業と植物育種
4 有機農業育種の体系
5 まとめにかえて-今後の展望(レジメより)
IV 病害虫に負けない作物づくり
1 病害虫との戦いだった園芸生産
2 環境保全型農業とは?
3 病害虫密度を低下させるための技術
4 病害虫に対する植物体の抵抗反応
5 作物と病害虫の遺伝的多様性
6 作物の病害虫抵抗性と環境条件
7 耐病性、耐虫性育種
8 病原菌や害虫と共生する技術
回答プロセス
(Answering process)
農林水産省Webサイトにて、都道府県施肥基準及びJAS規格 http://www.maff.go.jp/j/jas/index.html での有機農業の定義を確認。
農林水産関係試験研究機関総合目録 http://library.affrc.go.jp/ で省内所蔵資料を確認したほか、農山漁村文化協会のWebサイト、「田舎の本屋さん」 http://shop.ruralnet.or.jp/ で関連資料を検索。
事前調査事項
(Preliminary research)

NDC
作物栽培.作物学 (615 9版)
農業基礎学 (613 9版)

参考資料
(Reference materials)

農林水産省. 有機食品の検査認証制度. http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html

日本有機農業研究会 編. 有機農業ハンドブック 土づくりから食べ方まで. 日本有機農業研究会, 1999, 366p. ISBN 9784540981333. (当館請求記号 R615--024798)

小祝政明 著. 有機栽培の基礎と実際 肥効のメカニズムと施肥設計. 農山漁村文化協会, 2005, 271p. ISBN 9784540031977.

日本有機農業研究会 編集. 基礎講座 有機農業の技術 土づくり・施肥・育種・病害虫対策. 日本有機農業研究会, 2007, 168p. ISBN 9784540071768

西尾道徳 著. 堆肥・有機質肥料の基礎知識. 農山漁村文化協会, 2007, 216p. ISBN 9784540071973.

鎌田嘉孝、国武正彦 編. 肥料の施し方便覧. 農山漁村文化協会, 1976, 280p. ISBN 9784540760334. (当館請求記号 R613.4--2
版元品切)

尾和尚人 [ほか] 編集. 肥料の事典. 朝倉書店, 2006, 400p. ISBN 9784254430905 (当館請求記号 R613.4-Owa-2006)

キーワード
(Keywords)

有機農業

有機農法

有機質栽培

緑肥作物

日本農林規格

JAS

有機JAS

環境保全型農業

有機食品

有機畜産物

有機加工食品

施肥

土づくり

照会先
(Institution or person inquired for advice)


寄与者
(Contributor)


備考
(Notes)
URLへの最終アクセス日は2013年9月25日
調査種別
(Type of search)
文献紹介内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number) 1000040266解決/未解決
(Resolved / Unresolved) 解