2021/01/08

グローバル化時代のアジア主義 中村哲の場合

 グローバル化時代のアジア主義 中村哲の場合 - 京都女子大学

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それは、古典的な意味でのアジア主義ではないが、「アジアで共 ... 中村哲・ペシャワール会の活動について、本論のような小論で、その全体像を ... 山岳地帯の寒村(これまでに近代医療施設をもたない)ダラエヌール(Dara-e-Noor)に診療 ... 自由と民. 主主義」は、今テロ報復で大規模な殺戮戦を展開しようとしている。
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要 旨
本論は、パキスタン北西辺境州とアフガニスタン北東山岳地帯における医師中村哲と、彼を
支えるペシャワール会の活動と思想を検証するものである。彼らは、1984年から今日まで、当地においてアフガニスタン難民、アフガニスタン農民、およびパキスタン貧民に向けて、医療活動と農村復興支援活動を展開してきた。本論では、第一に、中村哲とペシャワール会の20年間(1894年~現在)にわたる現地活動を、 3 期にわけて概観する。第二に、中村が、どのような言説をもって、自分たちの行動を説明し、またそれを意味づけるかを明らかにする。そこでは、中村の心情と信念、および世界認識を取り出し、彼が自己の歴史的存在を確認する認識の枠組みとして、アジア主義的な世界認識を用いていることを提示する。第三に、中村の思想をグローバル化時代におけるトランズナショナルなアジア主義として位置づける。このアジア主義は、国際的に米国中心のグローバル化に反発しながら、行動レベルで現地のトランズナショナルな活動を実践している。それは、古典的な意味でのアジア主義ではないが、「アジアで共に生きる」という信条に支えられている点では、アジア主義的である。最後に、全体の議論をまとめ、あわせて中村における平和憲法の積極的意味づけを明確にしておく。
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キーワード:中村哲、ペシャワール会、アジア主義