2023/05/09

禊(みそぎ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

禊(みそぎ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

(読み)みそぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「禊」の意味・わかりやすい解説


みそぎ

川や海の清い水につかり身体を洗い滌(そそ)ぎ、ツミやケガレを祓(はら)い清めること。「祓(はらえ)」の一種。「禊祓(みそぎはらえ)」ともいう。語源説としては、水滌(みずそそ)ぎあるいは身清(みすす)ぎの意であるとするほか、ツミ・ケガレを身体から取り去る身削(みそ)ぎの意と解する説もある。記紀神話に、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が神避(さか)りました妻の伊弉冉(いざなみ)尊を黄泉(よみ)国に訪ねたのち、その身体についた汚穢(おえ)を祓い清めるために、筑紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小戸(おど)の檍原(あわぎはら)に出(い)でまして禊祓をされたとあるのに始まるとされ、そのおりに生成した日神(なおびのかみ)、また祓戸(はらえど)神の神威により、禍津日(まがつひ)神の所為であるツミ、ケガレ、トガ、ワザワイが消除されると信じられる。『万葉集』はもとより平安以降の和歌集にも多く禊を詠んだ和歌があり、「風そよぐ楢(なら)の小川の夕暮はみそぎぞ夏のしるしなりける」(新勅撰(ちょくせん)和歌集)、「六月(みなつき)の名越(なごし)の祓へする人は千年(ちとせ)の命延ぶといふなり」(拾遺(しゅうい)集)といった和歌に代表されるように六月大祓の名越祓としての禊が広く行われた。また中世以降は水垢離(みずごり)などとも称し、修行的な要素も加わり、精神的な清浄も重視された。とくに神祇祭祀(じんぎさいし)に関しては潔斎(けっさい)の重要な行事として厳修されるが、「手水(てみず)」はその簡略化された形式といえる。近世以後、神道(しんとう)の修錬行法ともなり、明治の神道家川面凡児(かわづらぼんじ)はこれを実践提唱した。この改良形式の禊が今日も神職の錬成行事として行われる。

[佐野和史]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例