2016/09/23

突然お金という制度がなくなったらどうする?|✳︎Open the Door✳︎

突然お金という制度がなくなったらどうする?|✳︎Open the Door✳︎



お兄ちゃん的に大好きな人から「突然お金という制度がなくなったらどうする?」と聞かれたことがあった。



私はあまり恐怖みたいなものは感じなくて、「みんなで持っているものを与え合ったら生きていけるんじゃないかな」というよくわからない自信みたいなものを感じたから、「特に何もしないかもしれない」と話した。「きっと、お金をたくさん貯めている人(囲い込もうとする人)はお金の制度がなくなったら怖いだろうね」と話していたのを覚えている。



彼はお金がなくなったらどうするか考えて、『汚い水もきれいにろ過して飲めるストロー的なサムシング』を買ったらしく、ドヤ顔で見せてくれたのがおもしろかった。今思うと、それは「そこらへんの水が飲めなくなったらどうする?」の答えなんじゃないかというツッコミが私の中から出てきて、新幹線の中で思い出し笑いをしてしまった。





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8/12~8/14、三重県の鈴鹿市にある少し珍しいコミュニティ『アズワンコミュニティ鈴鹿』にお邪魔してきた。







なぜ珍しいかというと、そのコミュニティの中では、



お金を介さずにいろんな営みが行われているのだ。



まさに冒頭の状態を実践しているコミュニティであると言える。



そのコミュニティ内の企業で働いても基本的には給料は発生せず、仕事とお金が完全に分離されている。また、コミュニティ内には無料で物をもらうことのできるコンビニのようなお店があったり、無料で泊めてくれるお家があったりする。(※コミュニティ外とのやりとりはお金を介している。)



「争いのない幸せな世界」を目指し2001年にコミュニティがつくられたのだそうで、現在は「親しさでつながる安心の中で、その人らしく暮らせるコミュニティ」として運営されており、「権力・多数決がない」とか「義務・責任がない」とか「教え・押付けがない」といった、コミュニティならではの考え方『as one style』が確立されている。







なぜそんなコミュニティが成り立つのか、不思議に思われる人も多いだろう。事実、私と同じタイミングでコミュニティを訪れていた人達は「わからないことだらけだ」と話していた。



まずお金という存在はなんなのか考えてみると、人間がつくりだした『制度』に過ぎないのだけれども、現状の世の中はお金ありきで全てのモノやサービスが動いているので、「お金がなければ生きていけない」と思いがちなのだと思う。しかし、よく考えてみると、縄文時代の人はお金がなくても生きていたのだから、本来ひとはお金がなくても生きていけるのだ。



「そうはいっても争いや奪い合いが起こるのではないだろうか」と疑問に思う人もいるだろう。私が考える、争いや奪い合いが起こらない主な理由は2つだ。



1.やりたいことだけをやり、やりたくないことはやらないため。



2.自分の内面と向き合って、心の豊かさを追求しているため。





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1.やりたいことだけをやり、やりたくないことはやらないため。



一般的には、「やりたくなくても仕事ならやらなければいけない」のが普通なのではないだろうか。しかし、このコミュニティ内の人たちは、やりたくない仕事はやらない。やりたいことだけ、やれる範囲でやっているのだ。だからこそ、ストレスはほぼたまらないし、給料という見返りも必要がない。むしろ、仕事をすることが趣味のような感覚で楽しいのだ。



ストレスがたまると、私は食欲が異常発生してジャンクフードや甘い高カロリーなスイーツなどを大量に食べたり、物欲が異常発生して服を大量買いしたりしていた。しかし、今はやりたいことだけやっているため、食欲も物欲も異常発生することはない。たぶん人によってストレスによる影響は様々なんだろうと思うのだけれど、過剰な欲求が現れるのは大抵ストレスが原因なんだろうなと思う。コミュニティの人達も、過剰な欲求を抱えておらず最低限で満足してしまうため、奪い合い・囲い込みといったことが起きないのだろう。





2.自分の内面と向き合って、心の豊かさを追求しているため。



浜松のトランジション・タウン(持続可能な街)の運営をしていたという私と同年代の男性が話してくれたことなのだけれど、トランジション・タウンでは運営がうまく行っているように感じていても、ある日突然運営のリーダーなどが「もうやってられない、疲れた!」と言い放ち、去って行ってしまうことがよくあるそうだ。あまりにもよく起こるために、このような現象のことを表す『バーンアウト』という言葉が生まれたほどだという。



バーンアウトが起こる原因として、彼は「持続可能な街のシステムをつくればそのように生きられると思って、システムをつくろうとしていたけれども、本当に必要なのはシステムではなくて人間の心の豊かさなんだと気づいたんだ。街が持続可能でも、人間が持続可能じゃないと成り立たないんだとわかって、今のコミュニティに学びに来たんだよ。」と話してくれた。



このコミュニティでは、心の豊かさを追求するために、自分の心と向き合う手段を学ぶことのできるスクールが開講されている。さらに心の研究所のようなものもあって、日々スクールを開講しながらひとの本質について研究しているのだという。







コミュニティ内の里山を案内してくれた男性がこんなことを話してくれた。

「『木を見て、森を見ず』という言葉があるけれども、僕は今の世の中を『森を見て、土を見ず』だと思っているよ。表面に現れているところだけを見てなんとかしようとしているけれども、本当に必要なことは土壌の豊かさであって、目に見えないところにいかに目を向けるかなんだと思うんだ。」



私は彼らの話を聞いて本当にそのとおりだと思ったし、私と同じように考えて実践している人に出会えたことが何より嬉しかった。私に昔「お前の考えは甘いんだ。そんなに社会は甘くない。」と言っていた父親に「どうだっ!ほら見ろ!」と言いたくなったのは言うまでもない。





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最終日、時間が空いたので、コミュニティ内のお家でお昼寝をさせてもらった。台所ではその日の夜ご飯の準備がされていて、包丁で野菜を切るサクサク、トコトコという音が聞こえてきた。おばあちゃん家に遊びに来ているような感覚がして、胸がじわーっとあたたかくなった。



気がついたら、涙が出ていた。





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7月のある日、そらべあ基金というNPO法人の人に、

「私はこれから仕事をしたとしても対価としてお金を受け取りたくなくて、与えきりたいんです。相手が私に何かをあげたいと思ったときに与えてくれれば良くて、それはお金でもいいし、お金じゃなくても良いと思ってるんです。」

と熱弁していたところ、このコミュニティを紹介してくれた。



このコミュニティの存在を聞いたとき、日本にそんなコミュニティがあるのかと本当に驚いて鳥肌が立ったし、同時にすごく興奮してワクワクした。きっとこれも前兆であり、私の人生の大きな流れの一つなんだろうなと思った。だから、これから私はこの生き方を実践したいし、必要な人に伝えていきたいと思っている。







やりたいことだけ、やれる範囲でやることができるお弁当屋さん。





毎日、農場で採れた野菜を使って作ってくださった家庭料理は最高においしかった。





里山の原風景。山の間に広がる田んぼの緑が美しい。





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麻友湯(まゆゆ)




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