2019/01/16

文明は農業で動く | 吉田太郎 |本 | 通販 | Amazon



文明は農業で動く | 吉田太郎 |本 | 通販 | Amazon



商品の説明

内容紹介

メソポタミア文明が塩害で滅び、古代ギリシアが土壌浸食で衰退したように、
文明の中心地は農法によって動く。
化学肥料と農薬に依存する農法がなければ世界の食料自給率は35%だ。
石油枯渇とともに人類飢餓は避けられない。
だが、アステカ、インカ、スリランカと世界各地の古代文明が多くの人々を養えたのはなぜなのか。
複雑系の科学は、生態系に適応した古代農法が、近代農業以上に洗練され生産性も高かったことを解き明かす。
そして、いまその復活が辺境の地から始まっている。
それは、未来の文明存続と食料確保への大きな鍵となることだろう。

内容(「BOOK」データベースより)

機械、化学肥料や農薬、高収量品種がなかった時代、文明の礎となる膨大な余剰食料生産はなぜ可能だったのか。現在は辺境に埋もれている古代文明を支えた農法を発掘し、その謎を解いていくと、世界の食料生産の未来が見えてくる。商品の説明をすべて表示する

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登録情報

単行本(ソフトカバー): 304ページ
出版社: 築地書館 (2011/4/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4806714208
ISBN-13: 978-4806714200
発売日: 2011/4/9
梱包サイズ: 18.8 x 13 x 2.6 cm
おすすめ度: 5つ星のうち 5.0 1 件のカスタマーレビュー
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トップレビュー

naichi

5つ星のうち5.0優雅なる没落2011年5月16日
形式: 単行本(ソフトカバー)

食の安全を巡るニュースが、巷を賑わせている。それもそのはず、いかなる文明であれ、その基礎には農業がある。生産性の高い農業なくして、大量の人口は養えないのである。ところでその農業、昨今の実態は「石油で動く工業」であるとまで言われている。化学肥料も農薬も原料は石油、収穫作業のコンバインも、収穫後の機会乾燥も石油で動く。このまま進むと2012年を境に石油生産はピークに達し、その先は近代農業を維持するだけの余地は残されていないという説もあるそうだ。

歴史的に石油遮断を経験した主な国は、三つである。ソ連の崩壊で輸入石油が途絶し、国民の餓死にまで及んだ北朝鮮。ほかならぬ太平洋戦争時の大日本帝国。そしてカリブ海に浮かぶキューバである。この中でキューバだけが、社会的連帯と伝統知識の保全により、危機を乗り切ることができた。これはピークオイル以降の世界では、開発途上国の方が有利になる可能性が高いということを意味している。そこで今、世界の目は辺境と古代の農法に注がれはじめているという。スムーズな没落へのヒントは、過去に眠っているのだ。

◆本書の目次
プロローグ 辺境農業探索へのいざない
'1 バック・トゥ・ザ・フューチャー
'2 未来への遺産 − マヤ、アステカ、アマゾン、インカ
'3 曼荼羅というコスモロジー インド・スリランカ
'4 太古からのイノベーター
エピローグ 行く川の流れは絶えずして

地球最大の肺と言われるアマゾンの熱帯雨林。ここに奇跡の土と言われるテラ・プラタという土がある。先住民によって継承されてきたこの土は、驚くほど豊かで肥沃さを保ち、農業に不向きなはずの熱帯でも豊かな収穫を保証する。その鍵は、植物や有機廃物を低温で不完全燃焼させた炭や木片にある。微生物の数や種類が他の土よりはるかに多く、収量を驚くほど増やすことが出来るそうだ。

このような例は、スリランカにも見られる。スリランカのケクラマ農法と呼ばれる伝統農法は雑草を残すことがポイントである。これにより洪水のダメージに強くなるほか、多様な動物や昆虫からなる生態系のバランスも蘇らすことができるという。興味深いのは、この知識の継承を、仏教の「慈愛」と結び付けることで行ってきたということなのだ。

バリの農村におけるコミュニティ間の調整方法も面白い。バリでは水田や灌漑用水のいたるとこに「水の寺院」と呼ばれる宗教的機能が設置され、僧侶たちが話し合いながら作付時期を調整してきた。これによって水の配分を最適化し、害虫発生も抑えることができたという。これをモデル化し、プログラムでシミュレーションしたところ、自分達の隣とその隣まで関心を払うように条件設定すると、最高収量がもたらされる結果が出たそうである。まさに、アダム・スミスの「神の見えざる手」だ。しかし、この設定をグローバルな視野を持ち行動するように変更すると、カオス状態になって崩壊してしまったそうである。この結果もまた、意味深である。

著者のスタンスは、単純に過去を礼賛しているというわけではない。伝統知識もまた、インベーションや、アントレプレナ精神によって改善が積み重ねられたものである。しかし、近代農業との一番の違いは「生産性」と「安定性」を天秤にかけたときに、安定性や持続性が重視されるというところにあるのだ。

このあたり、農業だけに閉じた話とは、とても思えない。自分の身の回り一つとっても、本当にクラウド一直線で良いのだろうかなど、考えさせられる点が多い。いずれにしても、今年の夏は暑そうだ。
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文明は農業で動く(歴史を変える古代農法の謎)吉田太郎著・・・より
2013-05-08 21:57:01 | 日記

ミシュテイカは「雲の人々の地」という意味を持ち、古代メキシコ文明が反映していた土地である。だが、、今は世界でも最も土壌侵食が深刻で、土地の83%がすでも農業が出来ないほど疲弊している。

「メキシコの多くの農村は、木材や薪、水資源が欠乏しています。私の生まれ育った土地も創で、私の家族や村人の多くはあらゆる苦難を経験してきました。中でも農村住民を一番苦しめていたのは、土地浸食で土地が不毛化していたことなのです。そこで、1950年代から近代農業化に向けた動きが始まったのです」

 政府は、化学肥料や農薬によるトウモロコシのモノカルチャーを推進してきた。だが、それがもたらしたのは、惨憺たる結果だった。推奨される高収量品種を栽培してはみたものの、地元の風土条件に適さないために収量が落ち、化学肥料や農薬大は跳ね上がり収入は激減した。化学肥料の過剰施肥で土壌は酸性化し地下水が汚染されれば、農薬散布で魚や川エビ等の食料昆虫も消えていく。

 更に1994年に北米自由貿易協定(NAFTA)が実施されると、国境関税がなくなり、米国の補助金つき輸出農産物の大攻勢で国産の半値のトウモロコシがなだれ込む。トウモロコシ価格は、45%も下落して生産コストを割り込む。政府からの補助金がカットされ、農民達は、化学肥料や農薬はおろか、種子を買う資金すら失う。
残されたのは荒地だけだった。

 メキシコといえば、緑の革命の発祥の地である。近代農業は成果を上げたのではなかったのか。
「以前は政府はよく支援してくれたものでした。今は州政府も連邦政府も何もしてくれません。それがグローバリゼーションがもたらした結果なのです。緑の革命もグローバリゼーションの一部です。誰がその技術を作っているのでしょう、多国籍企業です。モンサント、バイエル、ノバルティス・・連中はいたるところにいます。初めは情報がありませんでしたから、技術を取り入れました。ですが、今となっては、多国籍企業の製品で農村は救われるどころか、私らの土地、私らの家族は台無しにされたのです」

 原産地であるにもかかわらず、トウモロコシも自給できない。輸入量が12倍となり、25%以上が外国さんとなり、栄養的にもバランスが取れていた豊かな伝統食は、米国からの輸入トウモロコシはジャンクフードに変わった。そして、米国は、モンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシを用いるよう政府に圧力を掛け、トウモロコシの在来品種を汚染していく。


ずっとずっと以前のメキシコの実情でした・・・・2013年の日本の実情はどうでしょうか?トウモロコシは主食ではない日本ですが大半が米国からの輸入です。更に日本の在来種はもうほどんとありません・・・種は全てがF1種です・・・二度と復活しないでしょうね。
NAFTAではないですが、TPPが舞っています・・・10年後の日本はいったいどんなものを食べて過ごすのでしょうか?  それは目の前に来ています。まだ我々現存し、子供達は遺伝子組み換え食品を食べさせられて、また、ポストで完全味付けされたポストハーベストで味付けされた米や小麦や豆を毎日食べることになるのでしょうね。
それを選ぶのは我々です、貴方・貴女達です・・・何とかなりませんかね・・何とかしませんかね・・何とかしましょうよ。  未来の日本人のために!貴女の子孫達です。

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あき
古代農法とか伝統農法とか呼ばれる、石油に依存する近代農業以前の農法に焦点を当てて解説している本ではあるが、図面が乏しく文章だけで説明しているのが大半のため、いまいちビジュアル的に理解しづらい。 古代農法の意共通しているのは、リスク回避指向で収穫の安定性を重視。近代の生産性重視とは違うというところは理解した。

ナイスコメント(0)2015/09/23



土岐晴嵐
古代文明と違い、現在は石油が無ければ私たちが食べる量の食糧を作れなくなっているという事、これから先世界人口が増えていった場合の食糧を考えると未来について考えさせられた。
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