
不倫 (文春新書 1160) 2018
by 中野 信子 (Author)
3.9 3.9 out of 5 stars (419)
なぜ不倫は減らないのか?
なぜ不倫バッシングは激烈になるのか?
人類進化のミステリーに迫る「愛と背徳の脳科学」
不倫は危険です。
ひとたびバレれば、マスコミやネットで容赦なくバッシングされます。有名人でなくても、社会的信用や家庭を失い、慰謝料など経済的なリスクも多大です。
しかし、これほど失うものが大きいとわかっているはずなのに、なぜ不倫カップルがそこら中にいるのでしょう?
その謎を解くカギは「脳」にあります。
近年の脳科学の劇的な進歩によって、「人類の脳の仕組みは一夫一婦制に向いているわけではない」ということがわかってきました。人類の祖先を含む哺乳類の多くは一夫多妻や乱婚でした。一夫一婦制が人類社内に根づき、「不倫=悪」という倫理観が出来たのは、長い進化の歴史から見るとごく最近のことです。今でも私たち人類の約5割は、「不倫型」の遺伝子を持っているのです。
また、私たちの生活には直接関係ないのに、有名人の不倫が発覚するやいなや「バッシング祭り」が始まるのはいったいなぜなのでしょう?
そこには共同体の「フリーライダー」を検出して社会的制裁を加えたいという人間の本質的な欲望があります。「ズルをしておいしい思いをしている人」に敏感に反応し、そうした人を叩きのめすことが「正義」と信じて、バッシングを繰り広げるのです。また、バッシングには快楽がともなうという仕組みも、脳に備わっているのです。
本書は脳科学における最新の学術論文と科学的エビデンスをもとに、不倫をめぐる謎を解き明かします。興味深い動物実験、今では禁じられた危険な実験、歴史に残る不倫物語なども豊富に盛り込まれ、サイエンスに疎い読者でも飽きさせません。
さらに、「自分は絶対バレない」と信じている人ほど危ない「認知の罠」など、私たちの日常に直結するエピソードもご紹介。美人すぎる脳科学者による刺激的すぎる一冊!
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中野 信子
東京都生まれ。2008年東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課
程修了。東日本国際大学教授、京都芸術大学客員教授。医学博士。脳や心
理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。
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From Japan
- Reviewed in Japan on October 1, 2020以前から「不倫」という言い回しには違和感を抱いていた。「不倫」とは「倫理」の否定形であろう。では「倫理」とは何か。それは「道徳」とは似て非なるものであり、人間関係における善悪をベースとして形成される極めて広範かつ複雑な体系であろう。倫理の規範や根拠を問うことは哲学的な難問であり、世界中の哲学者たちが長い歴史をかけて議論しているものの未だに答えは出ていない。
しかるに「倫理」の否定形「不倫」となると、その範囲は極端に狭まってしまう。それは配偶者以外の異性と肉体関係を持つことであり、それ以上でもそれ以下でもない。倫理について研究する哲学者は多いが、不倫について研究する哲学者はほとんどいない。「倫理」という言葉は哲学の名著にも頻出する最重要単語の一つであるが、「不倫」という単語が最も多く登場するのは週刊誌やスポーツ新聞であろう。この落差は一体何なのか。なぜ男女関係における不義だけが不倫と呼ばれるのか。
こういう反論があるかも知れない。なるほど倫理に反する行為は世の中に山ほどある。しかしそれらの多くは「違法」という形で裁くことができる。罪に問い、刑罰に処すことができる。だが「不倫」は「違法」ではない。裁判所で有罪判決を下し、刑罰に処することはできない。それは法の網には引っかかることのない、極めて微妙かつ個人的な問題なのだ。だからこそ、すなわち法的には無罪だけれども倫理には反するという意味を込めて、「不倫」という言い回しが好んで用いられているのだ。
仮にそうだとしても、いやそうであればなおさら、「不倫」という言い回しには疑問が残る。配偶者というのは法的に契約を交わしたパートナーのことであろう。不倫というのはその契約を無視して、別の相手との感情を優先することであろう。だが倫理とは法ではすくい取れない感情を扱うものではないのか。契約上のパートナーよりも感情的なパートナーを優先することは、法的にはともかく倫理的には正しいのではないか。なぜそれを、それだけを、ことさらに「不倫」と呼ぶのか。
特に違和感を感じるのは、有名人の不倫が発覚したときのマスコミや一般人による苛烈な拒絶反応である。殺人犯に対してすらこれほどではあるまいと思われるくらい、それこそ鬼の首を獲ったような、あるいは親の仇といわんばかりの罵詈雑言には呆気にとられてしまう。
本書の著者は脳科学者だそうである。「不倫遺伝子」や「犯人は脳」などといった記述には白けてしまうが(何の説明にもなっていないと個人的には思う)、不倫を悪と決めつけることなく、むしろ必然的であるとする客観的な視点には好感が持てる。
また不倫そのものだけでなく不倫に対するバッシングのメカニズムにもメスを入れている点にも共感を覚える。恋愛感情に基づく不倫よりも、嫉妬感情に基づく不倫バッシングの方が個人的にははるかに醜く不愉快に思われる。不倫が正しいとまでは言わないが、性と愛を強引に結び付けている結婚という制度に対し、もう少し懐疑の目が向けられてもいいのではないだろうか(もっとも不可避的多数派を占める既婚者の口から、そのような主張が聞かれる可能性はほぼ絶望的に乏しいのであるが)。79 people found this helpfulReportHelpfulTranslate review to English - Reviewed in Japan on February 13, 2020内容難しかった
- Reviewed in Japan on May 31, 2023私自身、不倫経験があったので
なぜ、あの時あんなにもハマってしまったのか、自己分析のために読みました。
不倫した事のある人、された事のある人に読んでいただきたい一冊です。 - Reviewed in Japan on December 16, 2018題名も面白いが、中身も中野先生らしく解釈されとても面白かった。
基本的に中野先生の本が好き。 - Reviewed in Japan on August 15, 2019私自身が最近唱えている一夫多妻制についてのバックグラウンドとしての同意を得た感があります。
脳科学者として哺乳類(サルやネズミ)や人類の歴史やその中に潜むDNAと、作られる脳内物質のタイプによって不倫をしやすいかしやすくないかの分類をしている点が興味深いです。
一匹狼で生きていける狩猟型=不倫型か、安定を求める農耕型=同調型の違いと書いています。ヨーロッパには不倫型が多くアジアには同調型が多いと。
また不倫はDNAだけでなく国や共同体、親や育てられ方、時代や教育、社会背景やトレンドなどの環境によっても大きく影響を受けると述べています。
日本においてなぜ不倫がバッシングされるかについては種々の社会的コストを払わずにただ乗りするフリーライダーがサンクション(制裁行動)を受けているとしています。
江戸時代から近代に至るまで、また戦後の核家族化から恋愛結婚に至るまでの一夫多妻制と一夫一妻制の変容についても述べており、
戦後の恋愛と結婚と生殖を三位一体化してしまったことに問題があるとしています。
先進国特にヨーロッパや北欧では結婚しないで生まれている子供が非常に多いということを示し、最終的には日本の少子化問題を解決するために非摘出子が生きていける社会制度の変革が必要であることや恋愛の多様なあり方を求めています。
皇位継承についてまで踏み込んでおりナーバスな側室の復活の話題についても触れています。
個人的には脳内物質のドーパミンとテストステロン=攻撃性vsオキシトシンとセロトニン=同調性をとても興味深く感じました。
不倫することに悩んだり、バッシングをしてる人たちや、日本の結婚制度や恋愛のあり方等について疑問を持ってる人たちにはぜひ一読をお勧めしたいと思います。
視点が変わり偏った考え方の是正につながるかもしれません。 - Reviewed in Japan on August 17, 2018インターネットの紹介記事をみて購入しました。不倫する理由が論路的で分かりやすく書かれており、まだ熟読できていませんが、人間の性に関する行動の理解に大いに役に立ちそうです。
- Reviewed in Japan on November 20, 2019小説ではなく
何故不倫が起きるのか
その歴史等、脳科学や他の生物の例を挙げる
説明書。
なかなか面白かったです。
あんまり覚えてないけど - Reviewed in Japan on June 23, 2021人が不倫する、またその周辺の心理と脳がどう関係するのか、読みたくて購入しました。
人間は不倫するようにできている、または不倫は不自然な事ではない、という事を説明するのに鳥や動物、進化の話から入り、延々とよくある話が続きます。
で?と言うところで終わりました。
4冊読みましたが、期待外れでした。 - Reviewed in Japan on May 2, 2020大したことはない
- Reviewed in Japan on February 9, 2021不倫を脳科学や遺伝学的に解説してくれ、更に社会学的アプローチからもわかりやすく読めました。
不倫バッシングは日本社会の少子化と結びついているのも、うんそうだったのかという読後感でした。 From Japan
- Reviewed in Japan on February 15, 2020野村さんの本はいつも面白く読んでます。不倫も当人同士が、許容するならいいと思います。実際それで、上手くいってる芸能人もいますよね。ただ、浮気や不倫の1番の罪はモラルではなく、パートナーを傷付けるところにあります。ダイアナの例をあげてましたが、結婚するってわかってから、愛人がいるってわかったらショックだと思います。不倫されて、気にしない人ならこの理論は通りますが、嫌な人がいるってことをわかってない。世間のバッシングは決して妬みではなく、されたら嫌なことがわかる人達が、嫌悪感でバッシングしてると思います。少なくともわたしは、そうです。ちょっと偏った意見の本でしたね。
- Reviewed in Japan on December 20, 2023脳科学の視点で「不倫」という婚外交渉をする生物としての人間を中心として書かれている。
タイトルでどんなんだろうと期待したら大分内容が違っていた。
他生物、他哺乳類と人間の比較、国別、地域別(大まかには人種かな)の傾向などなるほどと思わされるない様なのである。また「不倫」を弾劾して行く世論についてもその仕組みを脳科学より解説すると、これはする方もなくならないし、騒ぐ方もなくならないという。
いわゆる現代の恋愛結婚も思えば近代になって定着したものだもんな。興味があったら一読してみるのもいいと思う。 - Reviewed in Japan on April 28, 2024しかし「不倫はしょうが無いです」という結論。
人間以外の動物の習性の話をされてもなぁ~
倫理観、道徳観が欠落している社会なら、それでもいいのですが。
まともな人は、そうじゃないでしょ。パートナーに浮気されたら気が狂うよ。 - Reviewed in Japan on January 16, 2023★3.6/2023年1冊目/1月1冊目/『不倫』(文春新書/文藝春秋)/中野 信子/P.195/2018年/830円+税 #読書 #読書2023 #読了 #読了2023
「不倫を脳科学で検証する」など副題をつけた方がいい。内容は『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(潮新書、橘玲)と似ている。科学で合理的に説明されるとどうしても満足感が高くなる。「不倫をする人が絶えないのは、(…)私たちが先祖から継承してきた遺伝子が、少しでも効率よく自分達を繁殖させようと」した結果だ。そして、不倫に社会的制裁を加える側も同様。そう思うと少し寛大になれるかも。また、中絶が年間出生件数の約2割を占めるのは驚きだ。婚外子を育てにくい環境を打開することが少子化対策に大きいのは盲点だった。 - Reviewed in Japan on September 18, 2018面白い。よくぞここまで"不倫"を論理的に解明してくれた、と思う。
僕は不倫バッシングにはあまり興味はないが、本書はそれがなぜ起きるのかも論理的に解明説明している。特に、恋愛・結婚・生殖を分けて考える事は合理的。
第5章の以下の記述が特に秀逸。
「たとえ不倫相手の子どもであっても産んでいい育てていいという社会をつくるのが政治の役割」
「不倫をやめられないあなたへ」←叱責されるのかと思ったら、著者は許容している。
「不倫」の定義は何か、どこにも書かれていなかったようなので、是非著者に問うてみたい。肉体関係を持っても配偶者に話せれば不倫ではないし、プラトニックでも二人きりで会ってそれを配偶者に明かせなければ不倫、と僕は考える。
大きな気づき
①少子化対策として一夫一妻制を緩める←フランスがこんな政策を取っている事は初耳。日本では到底無理だろうが。
②「日本性教育協会」があるのか!!
➂セックスの快楽や恋愛のスリルは、生身の異性と代替可能なものがそう遠くない将来に登場するでしょう←ショッキング!!
最後に、著者の中野信子さんもきっと素敵な不倫をしているのだろう、少なくとも不倫願望が強い事は容易に想像できた。 - Reviewed in Japan on July 27, 2018不倫というタイトルと帯の写真にひかれて本書を購入しました・・・冗談ですよ!・・・。
著者の中野信子氏は、脳科学、認知科学が専門ですから、
本書もそういった観点から不倫・・・浮気・・・についていろいろ考察、解説したものになっていて、
興味本位で本書を購入した人は、読み通すのに相当骨が折れるのではないかな、と思います・・・結構お堅い本なのです・・・。
中野氏の結論は、人間に一夫一婦制度は、グローバル・スタンダードでないということで、これまた明快に断定しています。
その理由としては、先天的な、特定遺伝子の働き、後天的に形作られた、その人の愛着スタイル、
周期的、反応的な男女の性ホルモンの働き、さらには、属している社会的な因子が関与しているということだそうです。
また、不倫はなぜたたかれるのかということについては、フリーライダーに対するサンクションではないかということですが、
これはどうなのでしょうか?日本でも少し前までは、お金持ち、政治家などが二号さんを囲うということについて、
今ほどひどいバッシングはなかったように思います。
現在バッシングは、マスコミが煽っているという側面もあるのではないでしょうか?!
- Reviewed in Japan on July 26, 2018本屋で平積みしていたので入手。
amazonの紹介画面でもびっくりさせられますが、帯の中野氏の写真に仰天しましたね(苦笑)
が!当然ですが「不倫のテクニック本」とか「不倫告白本」などではないので、誤解したい人ごめんなさい。
内容は「不倫をしてしまう人の頭の中身」「逆に不倫をする人を攻撃する人の頭の中身」の解説本です。
『 サイコパス (文春新書) 』の関連本と言った方がよい内容ですね。しかし、『サイコパス』がある意味特殊な人種を取り扱っていたのに対し、中野氏の結論では「人間は一夫一妻にむいてない」「どちらかというと不倫が好きな動物」という、まあある程度予想はしてましたが(苦笑)想定していた通りの内容だったのはちょっと残念。
日本人を始め、東アジア人は脳の構造的に不倫をする人を攻撃する傾向が強いという話しは興味深かったです。それは不倫バッシングばかりではなく、他の政治行動にも表れているそうな。
ただ、前作の『サイコパス』を読んだときにも思ったのですが、最終章の提言の内容はかなり無理矢理感が感じられました。サイコパスもそうですが、そこまでして無理して共存する必要がある物かな?と。お互いに無視するとか関わらないという生き方ならあるかも、と考えますが。 - Reviewed in Japan on September 2, 2018「不倫」というテーマに、脳科学者である著者が挑んでいますが、ちょっとテーマが壮大すぎて力不足の感が否めません。
脳科学のほかにも、精神医学、社会学、歴史学など、いろいろな学問のエピソードや成果を紹介しているものの、「…かもしれません」という表現が多すぎます。
紹介されているエピソードについても、最近のエピソードが多いので誰の話をしているのか想像しやすいですが、どの程度学問的に咀嚼して紹介しているのか、少なくとも私には消化不良の点が残りました。
ジャーナリストならこの程度の掘り下げで十分でしょうが、学者の看板を背負っている以上は、もう少し自分の専門分野に寄せた議論が欲しかったです。
もう一つ付け加えると、不倫バッシング・ブームの火付け役(文春砲)である文芸春秋社から出版されたというのが何とも大きな矛盾というか因縁を感じます。 - Reviewed in Japan on September 23, 2018一夫一婦のしがらみから脱却することが、少子化対策にもなるし社会の活性化にもなると、私は前から考えていました。この本を読んで私の考えが間違っていなかったと確信しました。生物学的な観点から不自然な社会システムを作って、人間は自縄自縛になっていると思っています。一夫一婦制だけでなく、仇討の禁止とか、「目には目を歯に歯を」的な刑罰とか、まったく自然なことが今の世の中では実行できません。理不尽な犯罪に巻き込めれて子供を殺されたりした親が、犯人を八つ裂きにしたいという記者会見を何度も見たことがありますが、まったく自然なことで、それができないのはおかしいと以前から思っていました。一夫一婦制もそうです。何も配偶者を嫌いになったわけでもない場合でも、「不倫」は生物学的に当たり前という、科学的な説明に溜飲を下げたのは私だけではないでしょう。アラフォーの中野さん、とっても素敵に思えます。
- Reviewed in Japan on June 5, 2019他の人の研究結果をまとめてくれてるのが気に入らないのかな?
メンサが気に入らないのかな?
印税が入るのが気に入らないのかな?