2021/03/29

創価学会、中国での活動解禁はいつに? 中国側は「非常に関心があると思う」と佐藤優氏 (1/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

創価学会、中国での活動解禁はいつに? 中国側は「非常に関心があると思う」と佐藤優氏 (1/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

創価学会、中国での活動解禁はいつに? 中国側は「非常に関心があると思う」と佐藤優氏






木村恵子2020.11.19 07:02AERA







対談を行った佐藤優氏と澤田瞳子氏。連載に記された内容の「その後」を展望する話題で大いに盛り上がった(撮影/楠本涼)







池田大作研究 世界宗教への道を追う

佐藤 優

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 佐藤優氏のAERAでの連載を収録した書籍「池田大作研究 世界宗教への道を追う」が出版された。AERA 2020年11月23日号では、同書について佐藤氏と作家の澤田瞳子氏が語り合った。

*  *  *
澤田:本を拝読していて、非常に面白かったことがあります。池田大作氏の機械工学の技術が非常に役立っているというお話。この間、作家の安部龍太郎先生とお話ししたんですが、安部先生、機械工学のご出身なんですよ。なぜその安部さんが歴史小説をやろうとしたかという話になったとき、理系の人間は、結論に至るまでの過程をとても大事にする、と。だから家康が天下を取った話のときには、権力掌握の事実のみを語るのではなく、その過去をさかのぼって原因を分析する。歴史分析に必要な眼差しは、理系の人間の考え方と近いとおっしゃっていました。

佐藤:安部先生の場合、種子島に鉄砲が伝来したことについても、火薬に必要なものは硫黄と硝石と木炭で、硝石さえあれば種子島には硫黄があるから作れる。そうするとあれは、やはり意図的に来たんじゃないかって結び付ける。非常に説得力がありますよね。

澤田:そうなんです。理系の方って、そういうさかのぼり方ができるわけです。池田氏の機械工学の話が出てきたときに、あ、ひょっとしてこれと関係あるのかもしれないと考えたわけです。

佐藤:あると思います。池田氏の中にそういった工学的な発想というのは。

澤田:さきほどの「詰めない」という話も、過去をずっと見てこられた方だったら、そこは詰めないほうがいいだろうなと、そのメリットをよくご存じのはずなんです。

佐藤:それを計算してやってるんじゃなくて何となくそうなってるって、私なんかは思うんですよね。それがやっぱり宗教の強さだと思うんですよ。計算するとダメなんですよ。

澤田:池田大作氏が初代ではないことも大きいのかもしれないと感じました。第3代ということは過去があって、そして未来がある事実を意味するわけですし。




■中国での活動解禁に注目 無視できない影響力生む


佐藤:ある種の上書きで少しずつずらしていくわけですよね。戸田城聖は牧口常三郎を少しずらしてきてるし、池田大作も戸田城聖を少しずらしている。だから、そのズレの中の面白さがあるんです。時系列でテキストを読むと、あれ、変わってきてるじゃないかということがある。さらに時系列を逆にして読むことで、新たな視点が見えるという面白さもある。キリスト教でも、旧約聖書から新約聖書に入っていくと大体つまずいちゃうんですよ。新約から旧約にいかないと。


澤田:そうなんですか。確かに子ども時代、イエス様を教えられてから旧約にいきました。ところで、今、創価学会員の方が、子どもたちに新しく教えるときは、どこからスタートするんですか。


佐藤:それは日々の勤行(ごんぎょう)。親が生活をするということでしょうね。


澤田:なるほど。ちなみに佐藤さんが今、世界宗教の動きで注目していることはありますか。


佐藤:世界宗教に対して力を持っていきそうなのは、やっぱりイスラムでしょうね。ヨーロッパでもアメリカでも、かなりの広がりを持ってきている。今後、アジア、それから中南米なんかでも広がりを持つでしょうね。アフリカでも、イスラムの広がりは非常に強くなっているでしょう。


澤田:ええ。イスラムの広がりは、今の世界情勢とすごく関わっているように見えますが、創価学会の場合、世界情勢に左右されることってあるんでしょうか。


佐藤:これから左右されてくると思いますよ。特に中国との関係において。私は、中国で創価学会の活動が解禁されるのはいつになるのかと思っているんです。そうしたら、あっという間に学会員が増えることになります。そうすると、もう無視できない、さまざまな影響力が生まれます。


澤田:韓国でも今、学会員さんは多いんですよね。


佐藤:多いです。百数十万人規模だと思います。竹島問題とか歴史問題で、決定的にぶつからないバッファとしての役割を、実はかなり果たしているんですよね。


澤田:これから先、海外に出た創価学会が、それぞれの国で政党的な力を持つ日というのは来るんでしょうか。


佐藤:今のところはそういう動きを示していないです。長期的に、そうなる可能性を排除してないと思います。これは各国が置かれた状況で変わってくるでしょう。公明党に相当するような政党というのは、ほかの国ではいまのところはないですよね。でも、創価学会の価値観からすると、信仰即行為で、政治の領域を信仰から除外してはいけないということだから。


澤田:そうなったときに、海外において創価学会が排斥されることも、また起きてきますかね。


佐藤:フランスのような国においては、その可能性があるということですよね。


澤田:そうですね。


佐藤:でも、それ以外の国には逆に、宗教がバックグラウンドにあるような政党っていくらでもありますから。それが一つ増えたんだっていうくらいのことなんでしょう。むしろ創価学会のほうが、その可能性を持っているのに、可能性を使ってないという非常に慎重な感じがしますね。世界の国々の文化や習俗を尊重していて、現地で信仰が根付くよう“土着化”することに時間をかけている。国の政治体制にもよりますが、政治はその後だと思います。


澤田:なるほど。ちなみに一番最初に政党ができるとすればどこでしょう。


佐藤:政党を具体的に作るかどうかはわからないんですけれども、イタリアではかなり力がありますよね。


澤田:イタリアですか。なかなかイタリアと創価学会って結び付かないです。


■体制とぶつからない道探れる宗教に関心がある


佐藤:2015年にイタリア共和国がイタリア創価学会とインテーサ(宗教協約)を結んでいます。いずれにせよ、あり方はその国の文脈によって決めていくっていうことだと思います。だから、今の時点では、まだその時期ではないと思うんですよ。私がいま関心があるのは、やはり中国がいつ外国宗教の解禁をするのか。そのときの外国宗教で念頭に置いているのは、創価学会とカトリックだと思います。中国はそれらとの関係をどうするか、すごく考えているでしょうね。


中国は経済においては資本主義ですからね。そうすると中国共産党は、マルクス主義が持っていたような「人々を解放する」という側面、あるいは毛沢東思想が持っていたその意味における正当性っていうのは、非常に弱くなっているわけですよ。社会の矛盾や問題、あるいは人々の悩みっていうのを、イデオロギーで解決できなくなっています。放置しておくと、昔の太平天国の乱みたいなことが起きる。だから、社会と体制との関係において、ある種折り合いをつける、社会の安定に貢献する宗教は、絶対に必要なんですよね。中国は、宗教が外国の植民地主義の手先になるという危険さを、よくわかっているんです。そこで今、すごく悩んでいると思うんですよ。


澤田:そういう意味で、歴史を学べば学ぶほど、安全な宗教から接触したほうがいいということがわかるわけですね。


佐藤:そういうことです。いま中国のあちこちの大学には、池田思想研究所っていうのが設けられているんです。


澤田:中国にですか。


佐藤:そうです。それは宗教としてではなくて、池田大作氏の思想を研究するというものです。でもその思想は、信仰体系と離れていないわけです。当然のことですよね。日本の中において創価学会は、天皇制とぶつかる形でスタートしたんだけれども、今は与党側に入っている。ということは、体制とぶつからない道を探れるということです。中国においても、「共産党体制とぶつからない形での宗教」を探るということからすると、中国は創価学会に非常に関心があると思うんですよね。


澤田:面白いですね。


佐藤:今後も池田氏と創価学会に関心を持ち続けたいと思っています。


(構成/編集部・木村恵子)


※AERA 2020年11月23日号より抜粋