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人新世(じんしんせい[1]、ひとしんせい[1]、英: Anthropocene[1])とは、人類が地球の地質や生態系に与えた影響に注目して提案されている、地質時代における現代を含む区分である[2]。オゾンホールの研究でノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェンらが2000年にAnthropocene(ギリシャ語に由来し、「人間の新たな時代」の意)を提唱し、国際地質科学連合で2009年に人新世作業部会が設置された[2](後述)。和訳名は人新世のほかに新人世(しんじんせい)[注釈 1]や人類新世[5]がある。人新世の特徴は、地球温暖化などの気候変動、大量絶滅による生物多様性の喪失、人工物質の増大[6]、化石燃料の燃焼や核実験による堆積物の変化などがあり、人類の活動が原因とされる[7]。
人新世という用語は、科学的な文脈で非公式に使用されており、正式な地質年代とするかについて議論が続いている[8]。人新世の開始年代は様々な提案があり、12,000年前の農耕革命を始まりとするものから、1960年代以降という遅い時期を始まりとする意見まで幅がある[9][10]。人新世の最も若い年代、特に第二次世界大戦後は社会経済や地球環境の変動が劇的に増加しており、この時期はグレート・アクセラレーション(大加速)と呼ばれる[注釈 2][12]。
語源・語義[編集]
英語 Anthropocene は、「man、human、人、人間」を意味する古代ギリシア語のアントローポス ἄνθρωπος(ラテン翻字:anthropos)を語源とする英語の接頭辞anthropo- と、「new、novel、新しい、最近」などを意味する古代ギリシア語のカイノス καινός(ラテン翻字:kainos)を語源とする地質学分野の英語接尾辞(地質時代名作成用接尾辞の一つ)-cene で構成される[13]。
層序の学術用語の地質年代の「世」の英語の語尾のカナ表記が「シーン」であることから自然史分野の術語では「アントロポシーン」を用いる[14][15][注釈 3]が、日本語音写形はフランス語風の「アントロポセン」も使われている[注釈 4]。英語にもとづいた発音は「アンソロポシーン」となる[13]。
用語の誕生[編集]
アメリカ合衆国の生態学者ユージン・F・ストーマーが1980年代に "Anthropocene" という用語を造ったと記述されていることが多く、オランダの大気化学者パウル・クルッツェンがそれを独自に再発見して普及したとされている[注釈 5][17]。
人新世が普及するきっかけは、科学者の会議だった。2000年2月23日にクエルナバカで開催された地球圏・生物圏国際協同研究計画(IGBP)の第15回科学委員会会議で、クルッツェンはプレゼンテーションを聞いていた。完新世に関する発言を聞いたクルッツェンは、完新世という語が現在を表現するには不適切ではないかと考えた。完新世は約1万1700年間にわたるが、石器時代と人類の影響が地球規模に及んだ現在では大きく違う。そこで、「完新世という言葉が用いられているが、われわれはもう人新世に入っているのではないか」という趣旨の発言をしたところ、会議は一瞬静まった後に熱心な議論が始まった。クルッツェンに対して、人新世という語の特許を取っているかとたずねる者もいた[注釈 6]。反響の大きさに驚いたクルッツェンは、人新世という語を先に使っていたストーマーがいることを知る。クルッツェンはストーマーに連絡し、2000年5月にIGBPのニュースレターに共著論文を発表した。最初の論文は1ページだったが、2002年にクルッツェンは「人類の地質学」という論文を雑誌『ネイチャー』に発表し、アカデミックな場で次第に広まっていった。クルッツェン自身は人新世を隠喩として解釈している[19]。
根拠となる仮説[編集]
人新世の概念が根拠とする主な仮説は2つあり、グレート・アクセラレーション(大加速[注釈 7])と、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界[注釈 8])である[25]。人類活動が全地球的な環境に与える影響についての仮説は2010年代以降に増え、他に第6の大量絶滅仮説(後述)や、フィードバック効果に関するリスク仮説などがある[26]。
グレート・アクセラレーション[編集]
社会経済システムと地球システムの12の指標が、20世紀後半から急速に上昇傾向にあるという仮説を指す[12]。開始時期については1945年、1950年代など諸説がある[22]。この仮説は2004年から使われている[注釈 9][27]。
- 地球システムの指標:二酸化炭素、亜酸化窒素、メタン、成層圏オゾン、地球の表面温度、海洋酸性化、海洋における漁獲量、エビ養殖、海洋の富栄養化や無酸素化につながる沿岸窒素の増加、熱帯雨林と森林地域の喪失、土地利用の増大、陸上の生物種の推定絶滅率となる[28][12]。
これらの指標は20世紀後半から急速に上昇傾向にあり、地球環境の負の方向への変化を示している。グレート・アクセラレーションの考え方が普及するまでは、地球環境問題は温暖化などの個別の指標の分析にとどまっていた[12]。
グレート・アクセラレーションは、6500万年前の巨大隕石の落下など過去の災害との類似点も比較されている。隕石の落下そのものは地質学的なスケールでは瞬時だが、その影響は長期間におよび大量絶滅も起こした。グレート・アクセラレーションも地質学的スケールでは瞬時に終わるかもしれないが、その影響は長期間にわたって継続する[29]。
プラネタリー・バウンダリー[編集]
人類がもたらした変化が、地球の限界を超えつつあるという警告を含む仮説を指す。地球をシステムとして考えると、恒常性を維持するフィードバックが働いている。しかし、引き返し不能点(ティッピング・ポイント)を超えると、システムは予想がつかない振る舞いをする[30]。この仮説は2009年に発表された[注釈 10]。当初の提唱者は、地球システムを研究するスウェーデンの環境学者ヨハン・ロックストロームと化学者のウィル・ステフェンをはじめとする約20名の研究者だった[注釈 11][32]。
仮説では9つの限界点を指標にしており、機能によって3種類に分けられる[33]。
- 地球的な閾値が明確に定義されたもの:気候変動、成層圏オゾン層の破壊、海洋酸性化[34]。
- 緩やかに変化する地球環境にかかる変数にもとづくもの:土地利用の変化、淡水利用、生物多様性の喪失、窒素とリンの循環。これらは緩やかな限界値とも呼ばれる[34]。
- 人類が作り出した脅威:大気エアロゾルの環境に負荷を与える化学物質、重金属や有機化学物質による生物圏の汚染[34]。
この中で、気候変動、生物多様性の損失、生物地球化学的循環は2009年時点で限界を超えたともいわれている[35]。
人類の影響[編集]
気候[編集]
人類の活動から生じる地質学的兆候の1つは、大気中の二酸化炭素(CO2)含有量の増加である。産業革命前の280ppmから2014年の400ppmに上昇し、過去80万年の中で最多となった[36]。2021年6月時点では417ppmとなっている[37]。この数値は、以前の同様の変化よりもはるかに速く、規模もより大きい[38]。
この増加の大部分は、石炭、石油、天然ガスといった化石燃料の燃焼による。人類による二酸化炭素の排出は、温暖化に影響を与えている。また、二酸化炭素を吸収する森林の伐採も影響しているとされる[注釈 12][39]。排出された二酸化炭素の1/3は海洋に吸収され、海洋酸性化を起こしている[40]。特に北極圏では2倍以上のペースで温暖化が進んでおり、科学者は北極圏が今後さらに加速的に暑くなると指摘した[41]。
二酸化炭素と同じく温室効果ガスであるメタンは2015年時点の排出量の16%を占める[42]。メタンの温室効果は二酸化炭素の25倍あり、温暖化で海底や永久凍土の中にあるメタンが大気中に排出されると温暖化がさらに進む悪循環となる[43]。メタンは15億頭にのぼる家畜のウシからも大量に排出されている[42]。
完新世と人新世を区別する根拠の一つに、気候変動の周期がある。氷期から間氷期のサイクルは10万年、4万年、2万年の周期がある[注釈 13]。氷期から間氷期サイクルの中では急激な気候変動も繰り返されており、「暴れる気候」とも呼ばれる[注釈 14]。完新世は「暴れる気候」がない安定した気候であり、完新世では来年が今年と似ていることを前提とした生活が可能となり、人類が農耕による安定した食糧生産を行う基盤となった[45]。地球表面の30%が氷に覆われた最終氷期の終焉は、暖かな世界へとつながった。人類は更新世にも存在していたが、繁栄したのは完新世からであり、21世紀は地球の歴史上どの時点よりも多くの人類が生息している[46]。しかし、人新世の気候変動によって農耕による安定した食糧生産が失われる可能性がある[45]。
生物多様性[編集]
生物多様性における人類の影響は、人新世の主な属性の1つである[47]。人類の出現による生物の大量絶滅は、第四紀の大量絶滅や完新世の大量絶滅と呼ばれ、地球に5度起きたという大量絶滅の次にあたる「第6の大量絶滅期」とも呼ばれる[注釈 15][49][50]。人類の活動が生物種の絶滅速度を加速させていることに大半の専門家が同意している。2019年時点の報告では、約100万種の動植物が絶滅の危機に瀕しており、生物種絶滅のペースは過去1,000万年の平均と比べて少なくとも数十倍から数百倍とされる[注釈 16][52]。人類の影響がなければ、生物多様性は指数関数的に成長し続けたであろう、と一部の学識者は仮定している[53]。
2010年の調査では、地球の全光合成生物資源の約半分を占める海洋の植物プランクトンは、過去1世紀間に大幅に減少した。1950年からでも、藻類の生物量は恐らく海洋温暖化によって約40%減少したと判明した[54]。海洋酸性化は、サンゴ礁の減少による生物多様性の低下の一因となっている[注釈 17][56]。2015年に公開された研究では、シイノミマイマイ科のハワイマイマイ絶滅[57]を通して、生物多様性の危機は現実であり、1980年時点で存在していた全生物種のうち7%が既に消滅している可能性があるとの結論を導き出した[58][59]。人類による捕食は、他の頂点捕食者を捕まえて食べるなど世界規模の食物網に広範な影響を及ぼし、全世界に分布する歴史上で唯一の「スーパー捕食者」であると指摘された[60]。
2017年5月に『米国科学アカデミー紀要』で発表された研究は、人類によって大量絶滅に類似の生物学的全滅(biological annihilation)が進行中であると発表した。その要因として人口増加と、特に富裕層の過剰消費があると指摘した[63][64]。同アカデミー紀要で2018年5月に発表された別の研究によると、文明の夜明け以来、野生哺乳類の83%が消滅している。現在では地球にいる全哺乳類の生物量の60%を家畜が占めており、人間(36%)と野生哺乳類(4%)がこれに続く[61][65]。生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)がまとめた2019年の生物多様性と生態系サービスに関するグローバル評価報告書によると、動植物種の25%が絶滅の危機に瀕している[66]。
2019年の研究によれば、全ての昆虫種のうち40%が減少しており、数十年で絶滅する可能性がある。特に花粉を媒介するハチやチョウなどの虫や動物の排泄物や死骸を分解する虫、水中に産卵する虫の状況が悪化している[注釈 18]。原因は森林伐採、農地開発、農薬や殺虫剤などの化学物質とされる。昆虫の減少は、それをエサとする全動物の減少、受粉を昆虫に依存する植物の減少、栄養分のリサイクルの減少につながる。顕花植物の75%と、食料供給の1/3にあたる作物の受粉は昆虫に依存している[67]。
生物の分布[編集]
人類の影響による生物分布の永続的な変化は、地質記録で特定可能になるとされている。しばしば当初の予想よりも速い速度で、多くの生物種がかつては寒すぎる地域へと移動するのを研究者達は確認している[68]。気候変化によって発生したものの他に、農業や漁業による影響や、貿易や旅行を通じて外来種が新たな地域に入った影響によっても移動が起きている[51]。
温暖化で生息環境の気温が上昇するため、山岳の動物は同じ気温を求めて10年間あたり12メートルのペースで標高の高い場所に移動している。山岳の周囲が人類によって開発されている場合、生物種が孤立して絶滅する可能性がある[69]。
複数の研究者が、人口増加と人類活動の拡大により、ゾウ、トラ、イノシシなど通常は日中に活動する動物種の多くが夜行性になり、人類との接触を避けていることを発見している[70][71]。人類が存在する地域では、生物種、大陸、環境に関係なく83%の生物が夜行性に移った。人口密度が少ない山岳部でも、林道などがある地域では夜行性となる。こうした変化は食物連鎖への影響が懸念されている[72]。
地形[編集]
人類の活動に起因する排水パターンの変化は、地質構造が侵食されている大陸の大部分で地質学的時間にわたって持続すると想定されている。これにはグレーディングと排水制御により定義される道路や高速道路の経路が含まれる。たとえば、採石や造園による地球表面の形状への直接的な変化も人類の影響を記録するものである。鉱業によって変形した地形は宇宙からも確認できる[74]。
気候変動による極地の氷の融解も人工衛星から確認できる規模となっている[75]。温暖化による海面上昇も地形の変形をもたらす。平均気温上昇が、パリ協定の目標とする産業革命以降の2度を超えれば、南極では氷の融解が加速化して海面上昇が2倍になる可能性がある[76]。北極圏では永久凍土の融解で地盤が変化してインフラストラクチャーに被害が出ており、建築物の沈下によるノリリスク油流出事故も起きた[77]。温暖化のペースが続いた場合、山間部の氷河は21世紀中盤で消滅するという研究結果も出た[78]。
海面上昇は、特に島嶼部の地域にとって危機となる。モルディブやキリバスをはじめとして国土の喪失が続いており、移住計画も進められている[79]、小島嶼国は、気候変動に対応するために小島嶼国連合(AOSIS)を設立した[80]。日本では1メートルの海面上昇で砂浜の90%が消滅し、大阪府堺市、東京都江東区・墨田区・江戸川区・葛飾区などが影響を受けると予想されている[81]。
地質[編集]
時期区分[編集]
地質学の時期区分には「累代」「代」「紀」「世」「期」の階層があり、累代が最大で、期が最小の区分となる[82]。最も新しい「代」にあたる新生代には7つの「世」があり、暁新世、始新世、漸新世、中新世、鮮新世、更新世、完新世となる。人新世は、完新世のどこかの時点より後を分割して[注釈 19]新しい区分にすることになる。地質学的な時期は巨視的時間スケールにあたるが、人類の活動の影響が地質学的に見ても無視できない規模に達していることを示している[注釈 20][84]。堆積物や氷床コアにおける人類活動の気候的、生物学的、地球化学的特徴に関するレポートには、20世紀半ば以降の時代が完新世とは異なる地質時代として認識されるべきだという示唆がある[85]。
堆積学的記録[編集]
森林伐採や道路造成などの活動が、地球表面の至る所で堆積物の流量を高めていると考えられている[51]。人類が動かす堆積物や岩石は、河川・氷河・風雨が動かす量の3倍以上となっている[86]。しかし、河川におけるダム建設では、土砂堆積速度がどの場所でも必ずしも増加するとは限らない。 たとえば、世界中にある三角州の多くはダムによって土砂堆積物が不足しており、成長するどころか海面上昇に追いつかずに沈下しつつある[51][87]。
人類以前に発生したことのない自然プロセスの一例として、カルテマイト層の堆積がある[88]。カルテマイトとは、コンクリート、石灰、モルタル、または洞窟環境外にあるその他の石灰質素材から派生した二次堆積物である[89]。カルテマイトは人工構造物(鉱山やトンネルを含む)の上または下で成長し、鍾乳石、石筍、流華石といった洞窟生成物に似た形状になる[90]。
プラスティックの生産が始まって以来、その破片であるマイクロプラスチックが堆積するようになった。マイクロプラスチックは海底から高山まで拡散しており、数百年間にわたって残ると推定される[注釈 21][91]。堆積速度は1940年代から15年ごとに倍増しており、海底で堆積したマイクロプラスチックの2/3は洗濯などで合成繊維の衣服から抜けた繊維だった。マイクロファイバーはプランクトンの活動の妨げになるほか、誤って食べる原因にもなる[92]。
化石記録[編集]
農業やその他作業による侵食の増加は、堆積物の組成変化および他の場所での堆積速度の増加に反映されるであろう。埋め立て政策のある土地区画では、工学的構造物がゴミや瓦礫とともに埋められて保存される傾向がある。 投棄されたり河川や小川によって運ばれたりしたゴミや瓦礫は、海洋環境の特に沿岸地域に蓄積することになる。 層序に保存されたこうした人工物は「technofossil」[注釈 22]として知られる[51][93]。
生物多様性の変化もまた種の導入と同じく化石記録に反映されることになる。 たとえば家禽のニワトリは、元々は東南アジアの赤色野鶏だが、人類の繁殖と消費を通じて世界で最も一般的な鳥になり、年間600億羽以上が消費されて、その骨は埋立地で化石化していくことになる[94]。したがって、埋立地は「technofossil」を発見するための重要な資源である[95]。
微量元素[編集]
微量元素に関しては、多くの特徴が残されている。1945年から1951年にかけて、放射性降下物は原子爆弾の核実験場周辺で局所的に見られたが、1952年から1980年にかけての水素爆弾実験では炭素14(14C)やプルトニウム239、その他の人工的な放射性核種の数値が世界各地で明確に残り、炭素14は1964年に2倍となった。世界的な放射性核種の最高濃度は1965年で、人新世の始まりとして提案された年代の1つである[96]。地上核実験の減少については「部分的核実験禁止条約」参照。
人類による化石燃料の燃焼により、世界中の最近の堆積物で黒色炭素、無機灰、球状炭素質粒子の濃度が上昇している。 これらの濃度は1950年頃から世界中でほぼ同時に著しく増加している[51]。2019年9月17日には、黒色炭素(ブラックカーボン)の粒子が胎盤の胎児に面している側である「胎児面」から検出されたとの研究論文が科学誌『ネイチャー コミュニケーションズ』で発表された[97]。
人新世を地質時代として認定するかどうかのプロセスは、模式地探しとともに進められている。2020年に世界で11カ所に絞り込む作業が始まり、各地の鍾乳洞のほかオーストラリア沖のグレートバリアリーフ、南極氷床とともに、日本の別府湾(大分県)海底にある年縞が候補になっている。別府湾には酸素が少ないため海底の堆積物が生物の影響を受けにくくい海域があり、愛媛大学や東京大学が水深70メートルの海底から放射性降下物、プラスチック、石炭燃焼灰など9種類のデータを収集・分析[2][98]。
期間の定義[編集]
人新世の開始時期について議論が続いており、1945年の説が有力となっている[99]。他の学者達は人新世の物理層にあるダイアクロナス[注釈 23]な特徴を指摘している。開始と影響は時間経過と共に広がっていくため、単一の瞬間または開始日は特定できないという反論もある[100]。
先史時代[編集]
地球で起きている環境変化の大半が産業革命の直接的な結果と考えられる一方、人新世が約8,000年前の農耕や定住性文化の発展と共に始まったという説がある[注釈 24] [102]。温室効果ガスの排出の影響は産業時代が始まりではなく、古代の農民が穀物を育てるために森林を伐採した時期の8,000年前からだという[注釈 25] [105]。
人新世の開始を農耕の端緒や新石器革命(約12,000年前)と結び付ける説もある。この時代に人類は南極大陸を除く全大陸に散在しており、狩猟採集社会での自給自足を補填するまたは置き換える目的で農業や畜産を発展させた[106]。土地利用、生態系、生物多様性、種の絶滅における人口爆発の影響など、人類に関連した証拠は数多い。人類の影響が生物多様性を大きく変えたか停止させたと複数の科学者が考えている[7]。昔の年代を主張する者達は、地質学的証拠にもとづいて、提案された人新世が現在の14,000-15,000年前に始まった可能性があるとしている。これが「人新世の始まりは何千年も前にさかのぼるべきだ」という他の科学者達の示唆につながっている[107]。
古代[編集]
人新世の出発点として、完新世の最終フェーズであるサブアトランティック期[注釈 26]の開始をあげる説がある[108]。古代の文明においては、数に対する抽象概念、余剰知識の活用による科学(実践的な知識をシステマティックに省察することで生み出される)などの共通点もみられる[109]。
人類の活動による環境の変化は古代から記録されており、建築や造船のための森林伐採は土地の荒廃を招いた。最古の叙事詩ともいわれる『ギルガメシュ叙事詩』におけるレバノンスギの伐採や[注釈 27][111]、古代ギリシアの哲学者プラトンが『クリティアス』に書いた森林伐採による土壌の流失などがある[注釈 28][113]。加えて、採掘などの活動はより広範囲な自然条件の変化を伴った[114]。
ヨーロッパ諸国によるアメリカ大陸の植民地化[編集]
マーク・マスリンとサイモン・ルイスが2015年に『ネイチャー』に発表した論文によれば、ヨーロッパ諸国によるアメリカ大陸の植民地化が進められた時代に地球規模で二酸化炭素濃度の低下が観測されている。原因は、ヨーロッパ人が持ち込んだ病気で先住民の人口が急激に減少して農地を放棄したことにある可能性が高い[115]。1492年から1610年にかけて5000万人の先住民が死亡したとされ、農地が森林に変わって二酸化炭素濃度を低下させた。マスリンとルイスは、この劇的な変化の時期を「Orbis spike」(ラテン語で「世界のスパイク」を意味する)と呼び、人新世の開始となる国際標準模式層断面及び地点(GSSP)と見なすべきであると提案している[116]。マスリンとルイスはまた、ヨーロッパ諸国によるアメリカ大陸の植民地化が世界的な貿易ネットワークと資本主義経済の発展に貢献し、産業革命とグレート・アクセラレーションの始まりに重要な役割を果たした点から、同大陸の植民地化に人新世を関連付けることは理にかなうと主張している[注釈 29][118]。ヨーロッパとアメリカの病気、奴隷貿易、作物の伝播などをめぐる関係は、コロンブス交換とも呼ばれ、「コロンブスの最初の航海を口火として始まった大規模な探検と収奪にともなう、動植物や病原体の大移動」を指す[注釈 30][120][121]。
ヨーロッパ人による植民地化でアメリカ大陸の環境は変化した。北米大陸では1685年には森林破壊の影響による洪水が始まり、18世紀には土壌流失が始まっていた。奴隷の労働力に依存した綿花とタバコの栽培は土壌への負担も大きく、2年から3年で収穫が減ったために農地が移っていき、産業革命以降の表土喪失やダストボウルへとつながってゆく[122]。
産業革命[編集]
地球の大気の証拠に基づく提案として、蒸気機関が普及した産業革命の開始時期である18世紀に設定しようとする案がある[注釈 31][125][126]。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、長期間における温室効果ガスの変化に関連するベースラインとして1750年を採用している[127]。産業革命が世界的な人類の影響の先駆けとなったのは明白であるが[128]、地球の景観の大部分は既に人類の活動によってだいぶ変えられていた[129]。
大気汚染は、産業革命が最も早く進んだイギリスにおいて問題となった。大規模な石炭利用が始まった17世紀には、煤煙による建築物の腐食、肺結核や風邪の増加が記録された。18世紀には炭酸ナトリウムを使うソーダ工業によって酸性雨が降り、工場周辺では農地や森林が枯れた。イギリスでは規制のためにアルカリ法(1863年)が制定され、大気中の二酸化炭素、塩素、硫黄、アンモニアなどを測定する公害観測が始まった[注釈 32][132]。19世紀にはイギリスから排出されたガスが他の地域で酸性雨を降らし、生物に悪影響を及ぼすようになった[注釈 33]。アメリカでは過剰な農地化によって1930年代にダストボウルと呼ばれる砂嵐が起き、8億5000万トンの表土が失われて350万人の農民が農地を放棄した[注釈 34][134]。同様の土壌の荒廃はソビエト連邦時代のウクライナなど世界各地で起きた[135]。
産業革命は、気候変動に影響を与える人類の活動が、不平等のもとで進められた点も明らかにしている。1850年以降の二酸化炭素排出量は、全人口の18.8%にあたる2008年時点の先進国が72.6%を占めている。21世紀初頭の全人口のうち45%にあたる貧困層の人々の排出量は7%であり、最富裕層にあたる7%の人々の排出量は50%となっている[注釈 35][138]。
1940年代以降[編集]
2016年の国際シンポジウム[139]では、グレート・アクセラレーションの開始時期にあたる1950年代を区切りとする意見も示された。この年代は、大気中核実験や安価な原油を利用した工業化による大量生産・大量消費、地球規模の大衆化による人工物質の増大、化学肥料・農薬・品種改良による食糧生産の増大や抗生物質による感染症の予防によって平均余命や人口過多が顕著となる時代にあたる[140]。国を超えた広域汚染として最初に問題とされたのは、酸性雨だった。1972年から初の環境問題の国際会議として国際連合人間環境会議が始まり、ヨーロッパと北米で対策が進んだ[注釈 36][141]。
2015年1月、層序学の観点から人新世を検討する人新世ワーキング・グループ(AWG)のメンバー38人中26人が、提案された新時代の出発点として1945年7月16日に行われた最初の核実験であるトリニティ実験を示唆する論文を発表した[99]。しかし、人類が土壌の改変を始めた時期などを支持する少数派もいる[99]。2019年6月時点で批准プロセスは継続中であり、1945年のトリニティ実験が他の案よりも有力である。2019年5月、AWGは20世紀半ばを開始年代とする票決を行ったが、2021年まで最終決定は行われない模様である[140][142]。トリニティ実験以降の核実験や原子力発電所の事故、産業による化学物質は人類の身体に影響を及ぼし、放射線障害や公害病を引き起こした[注釈 37][143]。
人新世のマーカー[編集]
AWGの報告書『地質年代区分としての人新世 - 科学的エビデンスと最新議論ガイド』(2019年)には、人新世の地層を確認するエビデンスとして、プラスティック、化学物質、放射性物質、絶滅の痕跡、人類活動に起因する地形の変形などがリストにされている[144]。
大気組成のわずかな変化によるマーカーの代替となる[145][146]、マーカーの有用な候補が土壌圏である。土壌圏は、何世紀または何千年も続く特徴を備えた気候と地球化学の歴史情報を保持している[147]ため、人類が地質時代の大きな摂動と同等の影響を地球規模に及ぼしたことの証となる。人類の活動は現在、土壌生成の6番目の因子として確立している[注釈 38][148]。人類の整地・掘削・堤防建設による地形変化、肥料やその他廃棄物による有機物の濃縮、継続的な栽培や過放牧による有機物の枯渇なども起こる。また侵食された素材や汚染物質による間接的な影響もある。人為的土壌とは、繰り返される耕作、肥料の添加、汚染、密閉、または人工物の濃縮など、人類活動の影響を受ける土壌のことである。世界土壌資源照合基準においては、アンスロソルおよびテクノソルとして分類される。それらは人為的影響の証明であり、人新世の信頼できるマーカーとされる。一部の人為起源の土壌は地質学上のゴールデンスパイクと見なされるかもしれず、化石の出土を含む明確な証拠をともなう地層がある[108]。化石燃料のための掘削は、数百万年間は検出可能と思われる穴や空洞も作った[149]。宇宙生物学者のデヴィッド・グリンスプーンは、1969年7月20日のアポロ11号の月面着陸地点を、唯一無二の出来事および人工物であり地質時間スケールを超えて存続するだろうから、人新世のゴールデンスパイクになると提案している[150]。
文化[編集]
人新世という言葉は、人類の活動が地球規模で環境を激変させ、長期的な痕跡を残すという考えを広めることに貢献した[注釈 39]。自然科学から文化への一方向な影響ではなく、相互に影響を与え合う関係にある[152]。気候変動への対策では、自然科学の観点だけで温室効果ガスの削減を訴えても解決せず、政治的・社会的・文化的・情動的な面も考える必要がある。文化や価値の変容をどのように解決するかについては技術的な解決と異なる困難があり、社会科学や人文科学の知見が必要となる[注釈 40][153]。
人新世は、自然科学以外の分野でも普及が進んだ。2016年1月に、日本の国立科学博物館で行われた国際シンポジウムでは、自然史と人類の活動の歴史(特に産業史、技術史、科学史、哲学史、宗教等)の知見で人新世を総体的にとらえることが試みられた[注釈 42]。このシンポジウムでは、人新世は層序学の学術用語としては検討中だが、一般用語として「ルネサンス」などと同じように使われることは妨げられないことが確認された[注釈 43][154]。同年10月にはスコットランドのストラスクライド大学で人新世における法と人権をテーマとしたシンポジウムが開催された[155]。2019年5月にはスウェーデン王立工科大学でポストヒューマニティーズ・ハブ(The Posthumanities Hub)の主宰によるシンポジウムが開催され、芸術家、学者、教育者、市民、活動家、ジャーナリストらが参加し、人新世における思考と行動について対話が行われた。イベントの模様は動画配信された[156]。
日本でも斎藤幸平『人新世の「資本論」』(2020年)が30万部以上売れるなど、経済成長や資本主義からの転換を求める警世論、文明論の一環として使われるようになっている。国際地質科学連合執行理事である北里洋(早稲田大学招聘研究員)は、人新世について「環境破壊への警鐘になるが、(地質時代として)科学的に認められるかは全く別」と指摘している[98]。
学術分野[編集]
人文学界では、学術誌の特集課題[157]、会議[158][159]、専門分野のレポート[160]を通して注目を集めている。2013年には、ベルリンの世界文化会館とマックス・プランク科学史研究所によって人新世カリキュラムが開始された。これは人新世に関する研究・教育・学習のための方法の樹立を目的としており、学際的な共学習・共創の活動を進めている[161]。
人新世の概念が広まることで、既存の学術分野に変化をもたらした。自然科学においては地球システム科学が生まれ、社会科学や人文科学においては環境人文学が生まれた[162]。
- 地球システム科学
地球システム科学は、地球を単一のシステムとしてとらえ、全地球的な環境を研究する。地球システム科学が扱うデータは、現在の地球環境の状況に加えて、長期の過去も含まれる。これにより、人類活動が地球に与える影響を明らかにすることを目的としている[163]。地球システム科学が可能となったのは、地球圏・生物圏国際協同研究計画(IGBP)が1983年に設立され、地球環境の物理的・科学的・生物的要素の分析を続けてきたデータの蓄積の成果がある[注釈 44][164]。
- 環境人文学
環境人文学は、変化する環境と人類の関係を理解し、危機に対応するための学際的な学問である。自然観や環境に対する価値観・倫理観を形成する文化的・哲学的な枠組みを研究し、政策立案や価値観の創造に関わる活動も含まれる[165]。環境人文学の成立にあたっては、1970年代の環境哲学、1980年代の環境史、1990年代のエコクリティシズム、そして人新世の普及による人間観の変化がもとになっている[166][167]。
ポップカルチャー・芸術[編集]
人新世の概念はポップカルチャーや芸術にも影響を与え、環境アートをはじめ人新世に関連のあるアート作品も制作されるようになった[168]。たとえばKelly Jazvacら3名の共同による『プラスティグロメレート』(2013年)という作品のタイトルの意味は、「人が撒き散らかしたゴミ、または石油製品などが海中等の様々な物質とともに熱せられるなどして石のような塊になった物質」を指す[注釈 45] [169]。人新世をテーマとする展覧会として、ニコラ・ブリオーによる台北ビエンナーレの『グレート・アクセラレーション』(2014)、長谷川祐子によるモスクワ国際現代美術ビエンナーレの『雲 ⇆ 森』(2017)なども開催された[170]。音楽ではニック・マルヴェイがコーンウォールの海岸に漂着したプラスチックを素材にして、アナログレコード作品『In The Anthropocene』を制作した。その他にも人新世をタイトルやテーマに冠した作品を発表するミュージシャンがいる[注釈 46][174]。
人新世の概念の普及には映像作品も影響を与えており、『Anthropocene』(2015年)、『Anthropocene: The Human Epoch』(2018年)、『L'homme a mangé la terre』(2019年)などのドキュメンタリーは注目を集めた[175][176][177] 。クリス・ジョーダンはミッドウェイ諸島のアホウドリを撮影し、親鳥からプラスティックを与えられて消化できずに死亡した雛の姿を発表した[178]。ジョーダンはのちにこれを『アホウドリ』(2017年)として映画化した[179]。プラネタリー・バウンダリーの提唱者でもあるヨハン・ロックストロームは、Netflixのドキュメンタリー『地球の限界: 私たちの地球の科学』(2021年)に出演して問題の解決を訴えた[180]。
ドキュメンタリー以外の作品としては、アニメ映画『天気の子』(2019年)がある。この作品は気候変動に見舞われ東京の多くが海没している近未来の世界が舞台となり、登場人物が読む雑誌の誌面に「アントロポセン」と書かれているシーンがある[98][181]。漫画では、産業社会が崩壊し特異な生態系に覆われた地球を舞台にした『風の谷のナウシカ』を人新世に関連づける言及もなされている[182][183]。
研究史[編集]
前史[編集]
1873年には、イタリアの地質学者アントニオ・ストッパーニが地球における人類の力および影響の増大を認めて「人類代 (anthropozoic era)」に言及していた。アメリカの地理学者ジョージ・P・マーシュは『人間と自然 - 人間行為によって改変されたものとしての自然地理学』(1864年)で産業が地形や地質に与える影響を指摘した[184]。
人新世の初期概念は、1938年にソビエト連邦の鉱物学者ウラジーミル・ヴェルナツキーによるノウアスフィアで提案された[注釈 47][185]。ソビエト連邦の科学者は、1960年代には「人新世」という用語を使用して最新の地質時代である第四紀に言及していたようである[186]。
地球を一つのシステムとして考えることは、ヴェルナツキーの他に1950年代の生物学者ユージン・オダムのエコシステム、1980年代のジェームズ・ラヴロックのガイア仮説などもある[187]。人類の製造した化学物質が生態系に与える悪影響は生物学者レイチェル・カーソン『沈黙の春』(1962年)で指摘され、資源の制約と経済活動の関係についてはローマクラブの報告書『成長の限界』(1972年)がある[188]。しかし、1980年代以前の研究は個別研究であり、全地球的なデータには基づいていなかった[187]。
1980年代以降に地球規模で環境問題を研究するプロジェクトが開始された。1980年の世界気候研究計画(WCRP)、1987年のIGBP、1990年の地球環境変化の人間・社会的側面に関する国際研究計画(IHDP)、1991年の生物多様性国際研究プログラム(DIVERSITAS)の4つが主なプロジェクトとなった。これら4つはGECプログラムズと総称され、研究結果が共有された。これによりインフラストラクチャーが整備され、環境の研究が進んだ[注釈 48][189]。
用語の普及[編集]
人新世という用語が広まるにつれて、正式な地質年代として登録する活動も始まった。2008年、ロンドン地質学会の層序学委員会は人新世を地質時代区分の正式な単位にすることを検討し、国際層序委員会(ICS)では第四紀層序学小委員会の人新世ワーキング・グループ(AWG)も設立された[190][125]。委員会の過半数が、この提案にはメリットがあり、さらに検証する必要があると判断した。地質学会から独立したさまざまな科学者のワーキンググループが、地質時間スケールに人新世が正式に受け入れられるか否かを判断するようになった[注釈 49][193]。
2012年にリオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議では、動画作品『ようこそ、人新世へ』がオープニング上映され、国際社会に知られるようになった。2014年には学術誌『人新世レヴュー(The Anthropocene Review)』が創刊され、2015年には国際学術連合会議の国際プロジェクト「フューチャー・アース」プロジェクトが開始されて『人新世マガジン(Anthropocene Magazine)』が定期刊行された[194]。
AWGは2016年4月にオスロで会合を開き、人新世を真の地質時代とする議論を支持する証拠をまとめた[195]。証拠が評価されると、AWGは2016年8月に新しい地質時代として人新世を勧告することを票決した[196]。ICSがこの勧告を承認した場合、この用語を採用する提案は、地質時間スケールの一部として正式採用される前に国際地質科学連合(IUGS)によって批准される必要がある[197]。
2019年6月時点で、ICSとIUGSは人新世を地質時代の公認下位区分としては正式に承認していない[190][198][197]。AWGは、地質時間スケールで人新世を定義するための公式なゴールデンスパイク(GSSP)の提案に向けて2016年4月に票決を行い、その勧告を2016年8月の万国地質学会議に提示した[196]。2019年5月、AWGの会員34人がICSに対して公式提案を行うことに賛成票を投じた[140][199]。
2019年4月、AWGは2016年会合で開始されたプロセスを継続するために、ICSへの正式な提案を票決すると発表した[199]。2019年5月21日、AWGの識者34人のうち29人の会員が2021年までに公式提案がなされることに賛成票を投じた。またAWGは20世紀半ばを開始日とする支持にも29票を投じた。国際標準模式層断面及び地点(GSSP)の候補地が10ヵ所認定されており、うち1ヵ所が最終提案に含まれるよう選択される予定である[140][142]。可能性があるマーカーには、マイクロプラスチック、重金属、熱核兵器の試験によって残った放射性原子核などがある[200]。
議論[編集]
人新世とそれに付随する時間尺度や生態学上の含意は、死と文明の終焉[201]、記憶と保管記録[202]、人文主義的調査の範囲と方法[203]、および「自然の終焉」への感情的反応[204] についての議論を呼んでいる。人新世がもたらすイデオロギーの側面も批判されている[205]。
「人」の定義[編集]
人新世における「人」とは何を指すかという議論がある。人新世では人類の影響が自明とされるが、これが人類による環境操作を正当化する人間中心主義につながることが問題とされる[注釈 50][207]。人新世は、これまで社会科学や人文科学で研究されてきたジェンダー、セクシュアリティ、人種、階級、宗教などを全人類のリスクの観点から見直す機会としても論じられている[208]。
人新世における人間中心主義や価値の一元化に対して、様々な分野から検討がされている。人類学の観点からは、「人」の範囲を拡張するマルチスピーシーズ民族誌がある。これは、人間社会を体内の微生物・ウイルス、食用の生物、ペットを含む複数の生物種のコミュニティとみなすアプローチである[209]。フェミニズムやクィア理論では、人間の身体や異性愛を自明とする観点が批判的に検討されている[注釈 51]。人新世において自然や生物種の存続が重要とされる場合、「未来の世代のために環境を守る」という価値観や、異性愛中心主義が求められる可能性がある。これに対して、人新世を根拠に価値観の一元化をするのではなく、複数の価値観を担保することが重要だと論じている[注釈 52][212]。20世紀末から始まったポスト・ヒューマニズムの学派の中には、人間の完全性や中心性には懐疑的であるため人新世の人間中心主義を批判する論者がいる[注釈 53][214]。社会経済的な観点からは、「人」という括りで全人類に同じ責任を課すことに対する批判もある(後述)。
科学者コミュニティと社会の関係[編集]
人新世の概念は、学術的な議論の積み重ねによって民主的に定まっていったボトムアップ型の経緯を持つ。この点で、国際政治においてトップダウン型に普及したミレニアム開発目標(MDGs)や持続可能な開発目標(SDGs)などの語とは異なる[注釈 54][216]。他方で、科学の方向性が大企業やその影響を受けた政府に左右されると、民主的かつボトムアップ型の性質が影響を受ける可能性がある[217]。
人新世概念の普及に貢献したクルッツェンは、オゾンホールの研究でノーベル化学賞を受賞しており、隠喩の力を熟知していた。たとえば「大気中のオゾン濃度の減少」ではなく「オゾンホール」と呼んだほうが、人々の想像を喚起して環境問題を考えさせる影響は大きい。人新世についても、クルッツェンは人類と自然の関係の隠喩だと語っている[218]。
科学者の研究と、社会に及ぼす影響のギャップが問題とされている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)では地球のエコシステムに関する知見を報告書にまとめたが、一般社会やメディアでは注目を集めず、経済政策に反映されていない。気温上昇を産業革命以降からの1.5度から2度以下に抑えるための二酸化炭素の排出可能量は600から800ギガトンとされ、2016年に排出減少を始めれば25年の猶予があったが、2025年に排出減少を始めた場合は10年の猶予となり遅すぎるという警告も出された[219]。パリ協定では21世紀中に気温上昇を2度未満に抑えることが目標とされているが、パリ協定以降に各国が出した削減目標では、21世紀中に3度上昇すると予想されている[注釈 55][76]。
人新世の社会的起源[編集]
人新世が人類の活動を原因(人為起源)とするならば、それは社会活動の帰結でもあり、社会起源ともいえる。自然科学に重点を置いた人新世の議論は、この世界を形作った資本主義、帝国主義、人種主義などの体系的不平等が考慮されていないという指摘がある。この観点からは人新世は政治・経済的な起源も重要とされる[221]。
地域や生活によってエネルギー消費の不平等が存在し、全ての人間が同じように環境に影響を与えているわけではない。たとえば牧畜生活と都市生活ではエネルギー消費の差が1000倍ともいわれ[222]、2016年時点で世界人口の13%にあたる9億4000万人が電気を利用できない状態である[223]。2019年時点で最も温室効果ガスの排出が多い上位10%の所得層は排出量の50%を占めており、最も温室効果ガスの排出が少ない50%の所得層は排出量の10%にとどまっている。このため富裕国と富裕層により大きな責任があるという指摘がある[224]。
人新世によって全人類が被害をこうむるという表現がなされることがあるが、そうした表現が災害における不平等を隠すという批判がある。2005年のハリケーン・カトリーナにおけるニューオーリンズの黒人社会と白人社会の違い[222]、2011年のタイの洪水における地方政府と中央政府の対立[注釈 56][226]、海面上昇におけるキリバスやバングラデシュとオランダの違いなどが一例である。地域や所得によって気候変動への対策に投入できる費用が異なり、不平等が生じる。こうした状況は「富裕者と特権階級の救命ボート」とも表現される[227]。
技術的な解決策[編集]
人新世の将来に対するアプローチとして、ジオエンジニアリングなどの技術による環境問題の解決という案がある。大きく分けて、太陽光を反射して気候を冷却する太陽放射管理(SRM)と、二酸化炭素の吸収などによるCO2除去(CDR)の2つの方法がある[注釈 57]。ジオエンジニアリングは、急激な気候変動を起こす危険性や軍事利用の懸念からタブー視されていた。その流れを変えたのは、クルッツェンが2006年に発表した論文だった。クルッツェンは冷却効果をもつ硫酸エアロゾルを成層圏に散布する方法を発表し、ジオエンジニアリングの必要性を論じた[注釈 58][231][232]。パリ協定の枠組みでは21世紀中の気温上昇を2度未満に抑える目標には到達しないことが判明しているため、ジオエンジニアリングによる解決が注目されている[注釈 59][230]。
ジオエンジニアリングはいくつかの問題点も指摘されている。(1) 太陽放射管理を止めた場合、温室効果が急激に進む。(2) 太陽放射管理は二酸化炭素濃度を減らさないため海洋酸性化は止まらない。(3) 太陽放射管理によって全球で水循環が減る可能性がある[注釈 60]。(4) 生態系を利用するCO2除去は生態系への悪影響の可能性がある[235]。(5) 素朴な人間中心主義や技術楽観主義である[207]。(6) 人新世の社会的起源に対する視点がなく、産業革命以降の構造的な格差を温存する可能性がある[236]。(7) 地域紛争をまねく可能性がある。たとえば人工降雨を一方的に導入すると、大気中の水分をめぐって「雨を盗んだ」などの非難が起こりうる[237]。
環境保護活動を表面的に告知するが実質は貢献していないものはグリーンウォッシングとも呼ばれており、企業活動に多い。2010年の調査では、グリーンウォッシングが環境改善の最大の阻害要因となっているという結果もある[注釈 61][239]。
時間尺度[編集]
人新世の期間についての議論として、将来に及ぼす影響がある。仮に二酸化炭素の排出ゼロをただちに実現したとしても、それまでの完新世と同じ安定した気候を取り戻すには、数世紀から数十世紀が必要とされる[注釈 62][240]。温度の低下は二酸化炭素濃度よりもペースが遅く、スーザン・ソロモンらの論文によれば、排出をゼロにしても温度低下は1000年で約0.5度のペースとなる[241]。
他方で、時間尺度の観点から人新世を批判する意見もある。地質学的な出来事としては短期間なので、遠い未来の地質学者は数千年という人類文明の存在には気付かないだろうという指摘がある[注釈 63][242]。
類似語[編集]
宇宙生物学者のデヴィッド・グリンスプーンは、人新世をさらに2つの「プロト人新世」(proto-Anthropocene)と「成熟人新世」(mature Anthropocene)に分けている。プロト人新世とは、人類が無自覚なうちに地球を作り変えた時代を指す。成熟人新世とは、人類が持続可能な生活を可能として熟慮しながら地球をコントロールする時代を指すが、まだ始まっていない。グリンスプーンは「テラサピエンス」(Terra Sapiens)や「賢い地球」(Wise Earth)という言葉を使い、技術による地球の管理と人類の管理を提案した[243]。
均質新世(Homogenocene)は、さらに特有の用語であり、生物多様性が減少し、侵入種(作物、家畜)が原因で世界中の生態系が互いに似通ってくる時代を指す。均質新世という用語は、1999年の学術誌『Journal of Insect Conservation』の編集記事「諸外国への動物相の移転:ここが均質新世の出現」で昆虫学者のマイケル・サムウェイズが最初に使用した[注釈 64][246]。
政治経済的な観点からは、人類が選択した資本主義がこの状況を作ったという主張にもとづく資本新世(Capitalocene、キャピタロシーン)という語もある[247][248][249]。資本新世は2009年以降に数人の論者によって独立して使われ始めた[注釈 65]。資本主義的生産様式による不平等を重視しており、資本新世を提案する論者の中には、人新世という語は人間の不平等をカモフラージュしていると批判する者もいる[注釈 66][251]。
また、生物の輸送や殺戮によるモノカルチャー、奴隷や強制労働などを象徴するために植民新世(Plantationocene)という語もある[247]。
出典・脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 第2ドイツテレビ (ZDF) の番組 "ANTHROPOCENE - The Rise of Humans"(制作:ZDF Enterprises〈en〉)[3]のNHKによる和訳タイトルは『新人世 人類の時代に未来を見つめて』[4]。
- ^ たとえば、ロンドン地質学会は1945年をグレート・アクセラレーションとして言及している[11]。
- ^ th の部分だけ、英語発音[θ]ではなくラテン語発音[t]の音写になっている。仮にラテン語古典式発音[antrōpokēnē]を音写するなら「アントローポケーネー」となる。
- ^ 英語発音[ˈænθɹəpəˌsiːn, ˌænˈθɹʌpəˌsiːn]。地質年代の片仮名表記は、International Chronostratigraphic Chart にある単元名の「一般的な英語読みをそのまま片仮名にしたもの」がJISの基本方針である[16]。
- ^ ストーマーは「私が1980年代に "Anthropocene" という語を使い始めたが、パウルが私に連絡するまで全く世に出なかった」と書いている[17]。
- ^ クルッツェンは「誰かが完新世に関して何事かを述べている会議に自分は出席していた。突然これは間違いだと自分は思った。この世界はあまりにも変わってしまっている。そこで私は言ったんだ「違うよ、我々は人新世にいる」とね。私は咄嗟の思い付きでその言葉を作り上げました。誰もがショックを受けていてました。全員が固まってしまったようだった」と述べている[18]。
- ^ 「大加速」[20] や「大加速化」[21]、「人類活動の巨大な加速化」[22]などの日本語訳がある。
- ^ 「地球の限界」[23]や「惑星限界」[24]などの日本語訳がある。
- ^ IGBPが刊行した『グローバル変動と地球システム - 逼迫する地球環境』という書籍から出た仮説となる[27]。
- ^ 『ネイチャー』や『サイエンス』など複数の科学誌に掲載された[31]。
- ^ ロックストロームは水資源のレジリエンスが専門、ステフェンは気候科学や地球科学を専門とする[31]。
- ^ 森林によって88億トンの二酸化炭素が吸収されており、人類が排出する温室効果ガスの1/3にあたる[39]。
- ^ 琵琶湖の湖底のスギ花粉の分析では2万年周期の変動が判明した[44]。
- ^ 最終氷期の急激な温暖化と寒冷化はダンスガード・オシュガーサイクルと呼ばれ、グリーンランド周辺では数十年間に16度の温暖化も起きた[45]。
- ^ 5度の大量絶滅とはオルドビス紀、デボン紀、ペルム紀、三畳紀、白亜紀を指し、ビッグファイブとも呼ぶ[48]。
- ^ 絶滅速度の増加は、少なくとも1500年以降は通常ペースを上回っており、19世紀およびそれ以降に加速していると推測される[51]。
- ^ 海洋酸性化は炭酸カルシウムの形成を妨げるため、貝類やプランクトンの殻、クジラの耳骨なども変形も起こす[55]。
- ^ 2017年までの27年間にドイツの昆虫の生物量は75以上減少し、プエルトリコの熱帯雨林では節足動物全体の生物量が1/10から1/60にまで減っている[67]。
- ^ 後述するような、人新世が1万2000年以上前に始まったという説をとる場合を除く。
- ^ 近年になって新しく認められた区分としては、2020年に決定したチバニアン期がある[83]。
- ^ 海底には、海流によってマイクロプラスチックの集まるホットスポットができる。地中海海底では、1平方メートルあたり最大190万個が層をなす場所もあった[91]。
- ^ まだ定訳は存在しない。直訳するなら「科学技術化石」「テクノ化石」で、科学文明から出たごみ(主に不燃構造物)が地中廃棄されて、地層内で化石同様に形を留めることを言う。
- ^ 堆積岩形成物中における素材が似たような性質ながら、堆積場所によって「その年代が異なる」こと。
- ^ 古気候学者のウィリアム・ラディマンによる。のちにラディマンの研究には、約40万年前の間氷期からのデータによって異論が唱えられた。現在の完新世間氷期が終了するには、さらに16,000年が経過しなければならないことを示唆するもので、そのため初期の人新世仮説は無効とされている[101]。
- ^ 8,000年前、地球には数百万人が存在していたが、それでも基本的には原始的であった[103]。この主張は、人新世の初期年代が人類の本質的な足跡を説明するという主張の根拠となっている[104]。
- ^ 国際層序委員会の公式分類とは別に、完新世を5つに区分けしたAxel BlyttとRutger Sernanderによる研究分類における、最も新しい「2600年前-現在まで」を指す期間。詳細は英語版en:Blytt-Sernander systemとen:Subatlanticを参照。
- ^ ギルガメシュ叙事詩では、英雄ギルガメシュが森の神フンババを殺したために主神エンリルの罰を受ける物語がある。ギルガメシュの目的はレバノンスギだったが、紀元前3000年当時すでに乱伐によって減少しており、ギルガメシュが罰を受けたのは森林を保護する観点によるという解釈もある[110]。
- ^ プラトンは人類が自然の秩序を保持することを肯定し、『国家』や『法律』で植樹や治水の重要性を書いている[112]。
- ^ ヨーロッパはアメリカ大陸とアフリカ大陸への進出によって、鉱物資源や製品の輸出先などの問題を解決した。これによって人口増加と手工業の拡大を続けて、他の地域よりも産業革命がいち早く進行した[117]。
- ^ コロンブス交換という表現は、歴史学者アルフレッド・クロスビーが1972年に最初に使った[119]。
- ^ クルッツェンは人新世の始まりとして産業革命を提案した[123]。ラヴロックは、人新世が1712年のニューコメン蒸気機関の実用化から始まったと提案している[124]。
- ^ 初代アルカリ監視官のロバート・アンガス・スミスは『大気と雨』(1872年)で世界初の「酸性雨」という表現を使った[131]。
- ^ 産業がもたらす環境への悪影響を問題提起した作品として、古くはヘンリック・イプセンの戯曲『民衆の敵』(1882年)がある。ジャーナリズムによる扇動、経済開発に反対する少数派への攻撃など21世紀にも通じる問題が描かれている[133]。
- ^ アメリカ作家ジョン・スタインベックはこの時代に苦難の生活をした農民を中心とした小説『怒りの葡萄』(1939年)を書いた[134]。
- ^ 石炭の利用によって、化石燃料の枯渇に関する研究も始まった。経済学者ウィリアム・ジェボンズは著書『石炭問題』で、石炭の減少による経済の衰退や、ジェボンズのパラドックスと呼ばれる資源利用の増加を論じた。ジェボンズのパラドックスは、現在は資源のリバウンド効果とも呼ばれる[136][137]。
- ^ スウェーデンの土壌学者スヴァンテ・オーデンは、北欧の酸性雨の主な原因はイギリスやドイツからの硫黄酸化物であるという研究を1968年に発表した。カナダとアメリカ北東部の酸性化も著しく、両国は越境大気汚染に関する合意覚書を交換した。1987年には「30%クラブ」と呼ばれる二酸化硫黄の削減協約、1991年には窒素酸化物の削減協約が続いた[141]。
- ^ これらは作品のテーマにもなった。ネバダやユタを舞台に自然・女性・核技術のつながりについて書くテリー・テンペスト・ウィリアムス、水俣病について書いた石牟礼道子らがいる[143]。
- ^ 他の5つの因子は母材、気候、生物、地形、時間となる[148]。
- ^ 英語圏では、人新世をタイトルに含む書籍の出版点数が2016年から2017年に急増し、2019年に70点、2020年に79点となった。内容の多くが社会科学や人文科学となっている。日本で人新世をタイトルに含めた最初の出版物は、2016年発行の雑誌『5 Designing Media Ecology』6号の特集「アンソロポセンの光と影 - 人間と自然の未来」とされる[151]
- ^ たとえば移住や動植物の保護区によって、コミュニティの伝統的な自然利用を変えなければいけない場合がある[153]。
- ^ 「アントロポシーン」は英語での発音からで、地質年代を表す層序の学術用語ならば語尾の発音は通常「~シーン」となる[154]。
- ^ シンポジウム名は「アントロポシーン(人の時代)における博物館 生物圏(バイオスフィア)と技術圏(テクノスフィア)の中の人間史をめざして」だった[注釈 41][15]。
- ^ たとえば「ルネサンス」や「新石器時代」などは文化的な用語であり、開始場所は地域によって異なる。人新世が人類の活動を基準とするならば、地域によって開始時期が異なるという解釈も可能であり、時間的な基準としてよりも文化的に使う方が有用性があるという指摘がある[154]。
- ^ IGBPには中核となる8つのプロジェクトがあり、地球大気化学研究(IGAC)、全地球海流研究(JGOFS)、地球変化と陸域生態系研究(GCTE)、水循環の生物的側面研究(BAHC)、古環境の変遷研究(PAGES)、沿岸域における陸地 - 海洋相互作用研究(LOICZ)、土地利用・被覆変化研究(LUCC)、全地球海洋生態系動態研究(GLOBEC)となる。この他に大規模な国際研究プロジェクトもある[164]。
- ^ 作者はKelly Jazvac, Patricia Cororan, チャールズ・ムーア[169]。
- ^ キャトル・デカピテイションの『The Anthropocene Extinction』(2015年)[171]、蓮沼執太フィルの『ANTHROPOCENE』(2018年)[172]、グライムスの『Miss Anthropocene』(2020年)[173]などがある。
- ^ ヴェルナツキーは1938年に『scientific thought as a geological force(地質学的な力としての科学的思考)』を書いた[185]。
- ^ 研究インフラの内容として、(1) 技術の進展による研究分野の拡大、(2) 人工衛星によるリモートセンシングのデータの大量蓄積、(3) 自然科学と社会科学を架橋した生態系と社会の相関関係についての理論の進展がある[187]。
- ^ 2008年に地質学者のヤン・ザラシーヴィッチは学術誌『GSA Today』で、人新世という時代が今や適切であることを示唆した。ザラシーヴィッチはのちに人新世ワーキング・グループ(AWG)の委員長も務めた[125][191]。米国地質学会は2011年の年次会合のタイトルを「太古代から人新世へ:過去は未来への鍵」と称した[192]。
- ^ 古代ギリシアの哲学者アリストテレスは著作『政治学』で、アンソローポスを「ゾーン・ポリティコン(政治的生物)」と定義した。古代ギリシアで政治に参加できるのは成人男性の市民であり、女性や奴隷は排除されていた[206]。
- ^ 哲学とフェミニズムをテーマとする学術誌『philoSOPHIA』とゲイ・レズビアン・スタディーズやクィア理論をテーマとする学術誌『CLQ』は、ともに2015年に人新世特集を組んだ[210]。
- ^ このために親子関係に限らない類縁関係の普及を提案する論者もいる。性・生殖・再生産の結びつきを自明とする価値観に対する批判でもある[211]。
- ^ 特にアクターネットワーク理論やニュー・マテリアリズムの観点からは人間中心主義への懐疑がある[213]。
- ^ ただし、プラネタリー・バウンダリーなどの仮説は、SDGsの策定に影響を与えたとされる[215]。
- ^ アメリカでは、ドナルド・トランプ政権が科学政策や環境規制の弱体化を行い、パリ協定からの離脱を決定するという出来事も起きた。のちのジョー・バイデン政権は2021年にパリ協定に復帰した[220]。
- ^ バンコクの中心部は洪水の被害が少なかったが、他方で中央政府が地方政府の対応に干渉した地域では洪水の被害が悪化したという研究がある[225]。
- ^ 宮沢賢治の童話『グスコーブドリの伝記』(1932年)は、科学者が人工降雨や火山の噴火などを起こして農民を助ける物語で、気候工学の先駆的な内容となっている[228][229]。
- ^ この方法は成層圏エアロゾル注入(SAI)と呼ばれる[230]。
- ^ クルッツェンは、ステフェンや歴史学者ジョン・マクニールらと共同執筆した論考で、人新世を3つのステージ(1800年から1945年、1945年から2005年、2015年以降)に分け、ステージ3では人類が地球システムを管理することを求めた[233]。
- ^ 成層圏エアロゾル注入によって温暖化を相殺化すると、地表面の正味放射が減少し、水循環を弱める方向に働く[234]。
- ^ グリーンウォッシングの一例として、世界自然保護基金(WWF)による報告がある[238]。
- ^ 大気中の二酸化炭素分子の残留期間は、その多くが数百年にわたり、10%から15%は1万年、7%は10万年にわたると推測されている[240]。
- ^ ピーター・ブランネンの指摘による[242]。
- ^ この用語は2000年に生態学者ジョン・L・カーナットの「均質新世の手引き」と題されたリストで再び使用されており[244]、それはイギリスの歴史学者ジョージ・ウィリアム・コックスによる『Alien species in North America and Hawaii: impacts on natural ecosystems』[245]の批評総括であった。ジャーナリストのチャールズ・C・マンは著書『1493 : 世界を変えた大陸間の「交換」』で、同質新世のメカニズムおよび進行中の結末に関する見通しを述べた[244][244]。
- ^ アルフ・ホーンボルは2009年のスウェーデンのセミナー、ダナ・ハラウェイは2012年の講演、ジェイソン・ムーアは2016年に資本新世を使い始めた[250]。
- ^ 社会学者ジェイソン・ムーアや哲学者スラヴォイ・ジジェクらの批判がこれに含まれる[213]。
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関連文献[編集]
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- エミリー・セキネ 「まずは火山を愛すること - 日本における地質学的親近感の形成」、寺田匡宏、ダニエル・ナイルズ編 『人新世を問う - 環境、人文、アジアの視点』 京都大学学術出版会、2021年。
- ミッシェル・セール、及川馥, 米山親能訳 『自然契約』 法政大学出版局〈叢書ウニベルシタス〉、1994年。(原書 Michel Serres (1990), Le Contrat naturel)
- ロハン・デスーザ 「炭素の森と紛争の河 - 南アジアの歴史叙述から見た人新世」、寺田匡宏、ダニエル・ナイルズ編 『人新世を問う - 環境、人文、アジアの視点』 京都大学学術出版会、2021年。
- デイビッド・ファリアー、東郷えりか訳 『FOOTPRINTS(フットプリント) 未来から見た私たちの痕跡』 東洋経済新報社、2021年。(原書 David Farrier (2020), Footprints: In Search of Future Fossils, Fourth Estate)
- クリストフ・ボヌイユ; ジャン=バティスト・フレソズ、野坂しおり訳 『「人新世とは何か 」―〈地球と人類の時代〉の思想史』 青土社、2018年。(原書 Christophe Bonneuil, Jean-Baptiste Fressoz (2013), L'événement anthropocène : La Terre, l'histoire et nous, Seuil)
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関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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- Methane: A Scientific Journey from Obscurity to Climate Super-Stardom NASA
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