Amazon.co.jp:Customer Reviews: 身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法
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身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法
byべッセル・ヴァン・デア・コーク
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あきさん
5.0 out of 5 starsトラウマ研究の歴史を概観し、最新の治療方法を提案する。
Reviewed in Japan on August 26, 2018
トラウマ研究の第一人者によるその研究の歴史と最新の治療方法を提示する。アメリカで発達した精神医学もその歴史的過程ではなかなかPTSDのことが認知されなかったことがよくわかる。とくに家庭内における虐待がさまざまな社会的なコストを上げていることに注目すべきだ。日本では凶暴な事件やテロが発生すると、狂人として処理することで社会から抹殺してしまう。せいぜい親の育て方に問題があったという程度だろう。家庭内の闇に光をあて、社会的なコストをかけていこうという視点は皆無だ。そこを解明しない限り、社会も国家もひどいしっぺ返しを食うのではないか。
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ジャージー
3.0 out of 5 starsPTSD症状を理解することには役立つが治療法に対する洞察が浅い
Reviewed in Japan on May 6, 2019
この本は全体を通して多くの患者の例をバックグラウンドも含めて一つ一つのテーマについてゆっくりと展開していく
患者一人一人の短い物語からの自然な導入により一般人向けに書かれた読みやすい本である
前半は患者の症状と実験や観察を照らし合わせることで患者の身体や脳に何が起きているかを
具体的な脳の部位について説明を交えて説明している
脳で起きている現象が突きつける事実は強烈でPTSD症状への理解は大幅に向上する
後半は様々な治療とその成功例を書いている
EMDR、ヨガ、IFS、ストラクチャー、ニューロフィードバック、演劇などの治療が症状をどのように改善したかを
成功例を観察しつつ説明している
しかしながらそれぞれの治療法の比較はしておらずただ色々な選択肢を与えているだけなのが不満である
患者にどの治療法が有効であったかを症状と照らし合わせて詳細に記述していれば治療法の理解はより深まるはずである
また治療法は奇天烈で実践が難しいものが多い印象である、それだけPTSDは奇天烈なことをしなければ改善が難しいのも頷けるが
問題なのは奇天烈な治療法が読者を置いてきぼりにするほど成功した場面ばかりで茶番のようにも思えてしまうのと
精神世界のポエムのような筆致になっており脳で実際に起きたことを示すデータが前半とは違いほとんど出てこない
脳科学的な証拠が不足している分治療法の有効性についての説明の説得力が欠けている
残念ながらこの本だけでは説明が簡略化されすぎて実際に治療をすぐ実践できず、筆者のような有能なセラピストの協力が必要であるのだがそのセラピストに出会うのが困難である
奇天烈な治療法は特に熱心なセラピストでないと見向きもされない
とはいえ長年悩まされたPTSDが様々な治療法で劇的に改善する例を見れば
薬ではなく根本的な治療の重要さを知るきっかけや改善の糸口を掴むことはできる
実践するには残念ながらまた別の本を読む必要があるだろう
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あきさん
5.0 out of 5 stars トラウマ研究の歴史を概観し、最新の治療方法を提案する。Reviewed in Japan on August 26, 2018
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トラウマ研究の第一人者によるその研究の歴史と最新の治療方法を提示する。アメリカで発達した精神医学もその歴史的過程ではなかなかPTSDのことが認知されなかったことがよくわかる。とくに家庭内における虐待がさまざまな社会的なコストを上げていることに注目すべきだ。日本では凶暴な事件やテロが発生すると、狂人として処理することで社会から抹殺してしまう。せいぜい親の育て方に問題があったという程度だろう。家庭内の闇に光をあて、社会的なコストをかけていこうという視点は皆無だ。そこを解明しない限り、社会も国家もひどいしっぺ返しを食うのではないか。
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ジャージー
3.0 out of 5 stars PTSD症状を理解することには役立つが治療法に対する洞察が浅いReviewed in Japan on May 6, 2019
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この本は全体を通して多くの患者の例をバックグラウンドも含めて一つ一つのテーマについてゆっくりと展開していく
患者一人一人の短い物語からの自然な導入により一般人向けに書かれた読みやすい本である
前半は患者の症状と実験や観察を照らし合わせることで患者の身体や脳に何が起きているかを
具体的な脳の部位について説明を交えて説明している
脳で起きている現象が突きつける事実は強烈でPTSD症状への理解は大幅に向上する
後半は様々な治療とその成功例を書いている
EMDR、ヨガ、IFS、ストラクチャー、ニューロフィードバック、演劇などの治療が症状をどのように改善したかを
成功例を観察しつつ説明している
しかしながらそれぞれの治療法の比較はしておらずただ色々な選択肢を与えているだけなのが不満である
患者にどの治療法が有効であったかを症状と照らし合わせて詳細に記述していれば治療法の理解はより深まるはずである
また治療法は奇天烈で実践が難しいものが多い印象である、それだけPTSDは奇天烈なことをしなければ改善が難しいのも頷けるが
問題なのは奇天烈な治療法が読者を置いてきぼりにするほど成功した場面ばかりで茶番のようにも思えてしまうのと
精神世界のポエムのような筆致になっており脳で実際に起きたことを示すデータが前半とは違いほとんど出てこない
脳科学的な証拠が不足している分治療法の有効性についての説明の説得力が欠けている
残念ながらこの本だけでは説明が簡略化されすぎて実際に治療をすぐ実践できず、筆者のような有能なセラピストの協力が必要であるのだがそのセラピストに出会うのが困難である
奇天烈な治療法は特に熱心なセラピストでないと見向きもされない
とはいえ長年悩まされたPTSDが様々な治療法で劇的に改善する例を見れば
薬ではなく根本的な治療の重要さを知るきっかけや改善の糸口を掴むことはできる
実践するには残念ながらまた別の本を読む必要があるだろう
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rokujigen
5.0 out of 5 stars 自分のために書かれたと思える本Reviewed in Japan on August 6, 2017
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読み始めてすぐに受けた印象は「自分のことが書かれている」でした。これは私だけではなく、大なり小なりのトラウマをもっている人なら誰もがそう感じるだろうと想います。
付せん紙を貼りながら読み進めたのですが、すぐに止めました。付せん紙だらけになったからです。
トラウマは過去に起きた出来事ではなく、現在ただいま脳内で起きている進行形の現象だということを、文字だけではなく、画像や図で気づかせてくれます。変えることの難しい心や性格の問題ではないということに確信を持たせてくれます。
文中に出てくる多くの被治療者の症状から、それらが自分だけのものではなく普遍的なものであることを知ることができ、そこからトラウマは心ではなく修復可能な脳や体の問題であることを学べます。
脳の配線をし直すためのいくつかの技法(EMDR・ヨガ・演劇・マインドフルネス・ニューロフィードバックなど)も、効果が出る理由と共に詳しく紹介されています。
巻末に紹介されている参考文献もぜひ読んでみたいと思います。
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Amazonカスタマー
5.0 out of 5 stars ネット上にはない情報Reviewed in Japan on May 16, 2019
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ポリヴェーガル理論入門で著者を知り、読んでみました。
そもそも、ポリヴェーガル理論に行き着くまでは、自分がPTSDだと分かっていませんでした。
読んでみると、これまで手探りで進んできた分岐点について、いくつも書いてありました。
PTSDから回復する過程での、回復と思いこみやすい状態、本当の回復として目指す状態など、とても共感しました。
これから先の人々は、私が彷徨いながら数十年の月日をかけた道を科学的根拠とともに歩ける。本当に素晴らしいことです。
私もまだ回復途中。
ずっと良い治療者にも出会えず、本当に辛かったけれど、現実にもようやく理解者に出会えました。
少しずつでもいいので、良くなっていきたいです。
道は短くはないかもしれないけれど、そのためのガイドが手元にある安心感。
たくさんの人に読んでほしい本です。
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Amazon カスタマー
5.0 out of 5 stars トラウマReviewed in Japan on May 19, 2018
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10代のころから30年近くも自分の精神状態に違和感を感じていました。この本を読んで原因がトラウマであったことがわかっただけでも救われました。
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4.0 out of 5 stars 自分で自分をどうにかカウンセリングするきっかけに、内容は素晴らしい、翻訳はやや不安Reviewed in Japan on May 26, 2021
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原著は読んでいないため的外れかもしれないのですが、たとえば「中国製の花瓶」となっている部分は「陶器(or陶磁器)の花瓶」の方が良いのではないかなどと思ったりしてしまいました。chinaは陶器や陶磁器を意味するので。トラウマになった出来事として、家の中の両親の喧嘩があり、掴みかかる父から母が逃れる最中に「とても高価な」「花瓶」が割れ、テレビが壊れる、そんなショッキングなシーンを想起させる重要な場面で、「中国製の」という情報は日本人読者にとって重要ではないために違和感がありました。日本語では産地ではなく素材の情報としてのchina、つまり「とても高価な陶器(or陶磁器)の花瓶」の方がまだ情景や音などを連想しやすいのではと思ったりしました。
このように、たまになぜこう訳したんだろう?などど考えると変に頭にひっかかってしまったり本題から逸れてしまったりするので注意が必要です。
本の内容は、トラウマ研究の専門家による研究の歴史を辿っていくような本です。SSRIについても効かないケースにも触れつつ比較的肯定的に言及されています。また、PTSDの専門家の本なので従軍経験や性的暴行や死別などを想定しがちかもしれませんが、この本ではそれ以外のケースもよく出てきます。そのため、フラッシュバックがあるとかではなくとも、何がトラウマかは分からないけれど日常で自分がトラウマ反応をしているかもしれない、くらいの人でも読んで損は無いです。「深い人間関係を信じられない」「動きや表情が不自然」「辛いはずの場所に戻ってしまう」「過去の失敗に囚われる」などでかまいません。というか私は恥ずかしながら、苦手で逃げたくなるようなことを克服したいという自己啓発レベルの動機でこの本を買いました。当然専門家などではなく、心理学も脳神経の知識もないド素人です。しかし、読むにつれ、他の方のレビューでもありましたが自分のことが語られているように感じ、泣きながら自分で自分の深層のトラウマを掘り起こして扱い方を学ぶ体験をしました。今まで思い出さなかったような、あるいは常に思い出しては囚われていたような、ある日の幼少期や思春期の自分ではどうにもできず逃げられもしなかった出来事がきっかけとなって、自分をいわゆる異常な言動(摂食障害などの依存症や対人関係の問題など)へ向かわせていたことを、脳の働きと共に理解し説明することができました。脳の原始的な情動系に振り回されて人生を棒に振らないように、今ではなく過去の経験のせいで今の自分が不必要にトラウマ反応を起こしていると知ることだけでも、まずは大きな一歩になりました。そして、この本の登場人物たちが試した方法を自分の脳内でやってみただけでも、今まで自分を苦しめていたものに対処できたような感覚や、過去のものとして今と切り離せるようになったような違いを感じました。
そのため、自分で自分を深掘りしながら自分の経験や反応をこの本の内容と結びつけて客観視していくような方法で読むのも、一種のカウンセリングとして機能するのではないかと愚考します。
ただ、トラウマの脳の働きに関してはむしろ「勉強が嫌い」レベルのことも説明できる(学習性無力感など)普遍的な脳の機能としての説明でもあるため、カウンセラー必携の書どころか全人類が知るべきと思うほどですが、反対に、本当に酷いトラウマ反応を持つ人に対応できるまでの内容かは分かりません。
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Mozhaiskij
4.0 out of 5 stars 発達障害とPTSDの共通点Reviewed in Japan on May 3, 2019
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発達障害特にADHDとcomplex PTSDの症状に共通点が多いことは今後の研究課題だろう。
この本で演劇を用いた治療の有効性が述べられているが、発達障害の人が声優とか演劇に興味を持ったりしがちなのは、自己治癒の側面があるのかなと思う。
なお心理療法における偽記憶に関しては、著者の態度はナイーブすぎると思います。
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5.0 out of 5 stars 科学的で専門的な内容がわかりやすく書いてあり、翻訳も良い!!Reviewed in Japan on April 13, 2017
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身体が記録するとは、どういうことか?なんか怪しげなと思いつつ読んだら、脳科学の恩恵を受けた科学的な本だった。ちょっとした国語辞典ぐらいあり、かなり分厚い本だが、読み始めたら意外と進む。内容は、大変専門的だけれども、一般の読者にわかるように書かれていて、とても読みやすい。おそらく原文もわかりやすく書いてあるのだと思うが、翻訳も過不足なくスムーズできれいな日本語になっている。これだけの内容の本を原文では自力で読めないので、きれいに訳してくださり、大変ありがたい。
著者は、患者をシビアに研究対象とする研究者でありつつも、研究のための研究ではなく、徹底して患者から学ぶという立場に立っているところが好感が持てる。治療法の成果については、この本に出てくる事例のようには必ずしもうまくいくとは思わないが、選択肢は多いほうがいい。
この本のおかげで、トラウマについて、不可解だった部分が理解できた。これを読むとトラウマが別の世界の特別な問題ではなく、かなり身近なものであるとわかり、見方が変わった。トラウマから抜け出す方法も紹介されていて、そんな身近なことが?、という方法もあり興味深かった。
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みこものこころ
5.0 out of 5 stars 唯一無二のトラウマ百科事典Reviewed in Japan on August 14, 2021
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トラウマに少しでも関心がある支援者・治療者であれば、本書を読まずに臨床をすることは想像できないほど、トラウマ治療のための記念碑的著作です。本書はアメリカにおけるトラウマ理解に絶大な影響を与えました。英語で書かれたトラウマ関連の書籍を読めば、必ずと言っていいほど本書が引用されています。
トラウマの脳神経科学的解説はもちろん、多種多様な治療法の紹介はpricelessですね。私はこの本で初めてIFS(内的家族システム療法)を知りハマることになりました。
これ読まずしてトラウマ臨床はできない‼︎そう断言できるほど読む価値のある本です。
※トラウマ関連書籍のレビューをたくさんあげてます。よかったら参考にして下さい。
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5.0 out of 5 stars 当事者の苦しみへの温かな思いReviewed in Japan on February 12, 2019
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大変わかりやすく、しかも当事者への熱い思いやりを感じ、引き込まれました。
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From Japan
worker ants
5.0 out of 5 stars 読みやすいのに、深い。Reviewed in Japan on October 11, 2017
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トラウマの仕組みがここまで、客観的に読みやすく語られている本はそうそうないと思います。治療現場最前線の情報が豊富に紹介されており、家族の諸問題で途方に暮れていた私に、前向きに暮らすための一筋の光を照らしてくれました。
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5.0 out of 5 stars 知りたかったこと知れたReviewed in Japan on December 6, 2018
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心と体は確実に繋がっている。
心が体に反映する。治療家の人にも学んでほしいですね。
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こけ
5.0 out of 5 stars 必読の書Reviewed in Japan on April 24, 2018
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面白く深く自由な魂でPTSDに苦しむ人達の援助における手法を探し続けた著者が素敵すぎる。
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Yusuke
5.0 out of 5 stars 良本Reviewed in Japan on May 6, 2021
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医師によるしっかりした調査、研究、経験に基づいた情報が記載されている良本。巷に溢れる精神論の本とは比べ物にならない。少し値段はするが、自身に問題を抱えている人は問題の認識と解決のために、健全な人は問題を抱えている人を理解するために読んでほしい一冊。
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AS
5.0 out of 5 stars トラウマ治療に深く関心のあるかたに是非おすすめしますReviewed in Japan on May 29, 2020
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包装は簡素ですがきれいな状態で届きました。内容は、トラウマインフォームドケアをきちんと学びたいかたやトラウマ治療の現在を知りたいかたにおすすめします。筆者の実体験を織り混ぜながら読みやすく著されていると思います。後半の様々な技法紹介?はややばらついた印象ですが、彼の姿勢は一貫しており、技法をより詳しく知るための門戸としても参考になるのではないでしょうか?
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購入者
5.0 out of 5 stars 大事に読んでいますReviewed in Japan on May 14, 2017
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忙しいのでなかなか読む時間がありませんが、じっくりと読んでいます。30分に一度は感動しています。
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Satoshi
4.0 out of 5 stars 内容が濃くおすすめReviewed in Japan on May 14, 2021
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帯が折れて発送されてきました。
別に売るつもりもなく、本自体はきれいだったので不満はありませんが、ちょっと残念です。
内容はバッチグーです。
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鈴木茂雄
3.0 out of 5 stars た。アメリカ人のための学術書Reviewed in Japan on June 16, 2021
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PTSDについて学術的に書かれてますが、ベトナム戦争を体験してない日本人にはちょっと難解にかんじまし
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leno
5.0 out of 5 stars 脳の過覚醒を鎮める♡Reviewed in Japan on September 1, 2018
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トラウマによって、実際に脳機能にどう違いが出てくるのか、画像診断など、説明されているので、
やっぱり!と症状を認識、納得するのには役立ちます。
そして、コーク先生の真髄な優しい人柄からの口調、取り組み、研究に感動します。
紹介されている手法でも解決しない現実への対処。
私の場合は、大嶋信頼さん著書の、トラウマに対するアプローチが簡単で効果がありました。
幼少時にトラウマを抱えると、愛着問題などから、脳の過覚醒、ホルモン分泌偏り、脳の処理部位の偏りにより、特徴的な遺伝子のオンと、生きづらさを抱えると思います。
それらが払拭された時、今までの人生をなんて無駄に生きて来たんだと、一瞬悲しくなりますが、これからの人生(余命の方が少ない気がしますが)を楽しんで生きていける喜びを初めて感じられました。
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maypacc
5.0 out of 5 stars 広く人間の機能に関心があるすべての人にReviewed in Japan on December 22, 2016
トラウマには選り抜きの治療法はなく、セラピストはさまざまな技法を習得しなければならない(p.346)
多くの患者にあたってきた著者はこの信念から回復への道を多数紹介し、身体に刻み込まれたトラウマからの解放について綴る。
トラウマを負った人は過去に囚われ、現在を存分に生きることができず、新たな経験の活用が難しい。
家族から愛を注がれなかった人は身体の深層レベルにおいて安全と危険を区別できず、自己免疫疾患になりやすいという。
恐怖への対処として脳は一部領域の機能を停止し、"自己"は切り離されてしまい、適切な防御をとれないこともある。
そういった患者たちの脳システムを再形成し「身体と心の所有権」を取り戻していく方法を探るのが治療だと筆者は語る。
レム睡眠時を模した眼球運動、呼吸と感覚に注意を集中するヨガ、薬物療法etc
演劇の「情動を表現し、互いの存在を認め合い、周囲と同調する」要素が効果的というのも目からウロコ。
600ページの大著だが、まどろっこしい表現も脱線もなく、短文で簡潔な記述がリズムよく続いていく。
読みやすさと圧倒的な情報量とを両立させた筆致には感動すら覚える。
【 神経科学 】【 脳科学 】【 心理学 】【 皮膚感覚 】【 性犯罪被害 】【 児童虐待 】【 子育て 】【 マインドフルネス 】【 ヨガ 】
これらの分野の本にあれこれ手を出す前に、まず本書1冊を読むと身につきやすさが上がるのではないか。
膨大な臨床研究に裏打ちされた科学的見地によって見事に統合しており、広範に捉える視野を与えてくれる。
米Amazonでは発売2年で1000件近いレビューがつき、評価は平均★4.8という記録的ベストセラー
その評判に違わぬ大傑作
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三羊
4.0 out of 5 stars 専門家向けではなく一般の方向けですが、専門家であっても読むに値する本だと思いますReviewed in Japan on January 5, 2020
本文がおよそ600ページの分厚い本なので、読むのにちょっと苦労しました。トラウマの治療だけではなく、そもそもトラウマとは何なのかということに関して、脳の研究から得られた知見を使いながら著者なりの考えを述べています。基本的に一般の方向けだと思いますし、治療については詳しい内容が書かれているわけではありませんが、トラウマとは何なのか(どのように捉えればよいのか)ということに関しては、専門家にも学ぶところが多い本だと思います。
個人的に私が興味深く感じたのは以下の点です。
1.「リズムを同調させた単調な動き」の重要性
→待合室で怒っている子どもの前に「うっかり」ボールを落としてキャッチボールに誘うのが効果的な方法だというのは興味深い話だと思う。学校での合唱や体育などの活動の重要性も、こうした視点から考えたことはありませんでした。
2.「身体的な自己認識」の重要性
3.近親姦のサバイバーたちは免疫系が過敏になっている。
→トラウマを持つと、免疫のレベルで変化が生じてる。著者は、「深い次元で」と表現していた。
4.PTSDからの回復の核となるのは自己認識。だから、トラウマのセラピーで最も重要な言葉は、「それに意識を向けてください」と「次にどうなりますか」だ。
→2.とも関連するが、体の感覚に耳を傾けることの重要性は普通のセラピーでももっと強調されてもよいように思う。
5.触れることの重要性
→触れることは危険なことであるため、多くのセラピーで禁忌とされているが、本当にそれでよいのか(特に子どもが相手の場合)再考の余地があると思う。
6.EMDRの児童虐待を受けたグループへの効果は不明確。「どのような種類のセラピーをたった8週間行ったところで、昔のトラウマの長年にわたる影響はめったに解決しきれるものではない」とも記されていた。
7.「そして私は、子供のころに彼女(クライエント)が受けられなかった愛情や優しさを自分が与えることはできないのだと、肝に銘じておく必要があった。セラピスト、教師、あるいは助言者として、幼いころの窮乏の穴を埋めてやろうとしても、自分が不適切な時に不適切に現れた不適切な人物であるという事実を思い知らされるだけだ。セラピーの重点は、ジョーン(クライエント)と私との関係ではなく、彼女と内部のさまざまな部分との関係に置かれることになった」
→本当にその通りだと思うし、こうした治療者としての節度ある態度が著者への信頼感を高めていると思う。
訳文も丁寧で、読みやすいと感じました。
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マゼンタローズ
3.0 out of 5 stars 専門知識を交えたエッセイのようで。。。Reviewed in Japan on May 25, 2019
内容を明確に
図示するか箇条書きにして欲しい。
でないと、
ただトラウマ症状を延々と確認するだけで
ソルーションに行きつかない。
つまり読みながら
「さっさと教えて!!楽しにして!!」
とイライラしてしまう訳です。
心を広く持ち、教養の厚みを増す覚悟?で
読むのにはいい本です。
というか!!
カラダがトラウマを覚えちゃってて
コレだ!!と言い切れるほど
トラウマをを外す?浄化する?克服する?
決め手がないという印象を受けました。。。
どれかで大当たりが出て楽になる。。そんな具合。
しかしその大当たりを当てるにも
日本で取組んでいる専門家が少ない。。
結果、国内では
ナンチャッテ心理カウンセラー・ジプシーと化す。。
米国でセラピーが可能な方は
そちらでしっくりくるものを試すのが
近道かと思います。
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piko
5.0 out of 5 stars 身体はトラウマを記録する....脳・心・体のつながりと回復のための手法Reviewed in Japan on December 26, 2016
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世界的第一人者のベッセル・ヴァン・デア・コークの全米ベストセラーです。あらゆる虐待など恐ろしい体験がトラウマになり長年苦しんで方、支えるその家族にはお勧めの一冊です。私自身も、我が子が保育士から受けた虐待が原因で医師から重いptsdと解離性障害と診断され1級の心身障害者と認定されました。
ですから子供の治療、カウンセリングなど5年以上かけて現在も通院しています。サポートする家族が学ぶことで最も苦しんでいる本人への対応も大きく変わります。カウンセラーの方から治療に役立つ本などを教わり読んだ中でも1番優れていると思います。
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mmimm4
5.0 out of 5 stars 巻末には索引もありますReviewed in Japan on March 5, 2017
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トラウマの記憶を処理するのと、内面の空しさと向き合うのとは、まったく別の問題だ(p.492)
とあるように、この本はとても厳密に多くの要素を分類しています。
科学的に、客観的にと書かれた本ですが
グラフや統計についても「どう作ったか」「どう読み取ったか」が多く描かれているので
数字に翻弄されることなく、分かりやすかったです。
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豚テキ美味いw
5.0 out of 5 stars 『虚偽記憶論争』に興味があった方、トラウマなど存在しないとか思わされてる方は是非Reviewed in Japan on November 4, 2016
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本の内容は他のレビュワー様が書かれているとおり文句のつけどころがない。精神科医や当事者としてはこれを読まないと始まらないと断言できる良書である。
近年、科学と医学の進歩とは逆行したトラウマなど存在しないという主張を流布するようなおかしな人たちが一部にいるが、その人たちの主張が如何に歪められた愚かなものであるかこれを読めば解るであろう。
特に私は、以前90年代のトラウマの虚偽記憶論争に興味を持っておられた方に本書、特に第11章、第12章を読んでみていただきたい。
第12章P.317「認知科学者のなかには、そのような現象が存在することや、想起したトラウマ記憶が正確でありうることを断固否定した人がいる」と著し、引用元としてエリザベス・ロフタスの著書にされているが、これはなんたる痛烈な皮肉でしょう!!!
冷静でありながら、淡々と糞味噌のコテンパンに叩きのめすかのごとく記述をされており本当に痛快です!!!
おかげで長年の溜飲が下がりました。
著者はロフタスをはじめ認知科学者の主張の元になっている実験室や保護された環境で行う虚偽記憶の植え付けと、実際のトラウマ体験の記憶の違いを冷静に分析し説明し、虚偽記憶論争に関しては終止符を打たれる形になっている。
要するに、論争当時に争点になっていた外傷性記憶の遅延想起のメカニズムや外傷体験時における脳での記憶処理が通常の時とは違う
ことが科学的に証明されたのです。
これには神経科学、脳科学の裏付けがある以上、反論など出来るはずがない。
その部分には著者の静かでも強い怒りを感じられる。
ですから、以前に興味を持っておられた 人は、本書を読めば不可逆かつ最終的な結論が出ますし、心の底から納得させてもらえます。
日本には論争後何年もたってからわざわざロフタスの著書を引用し、『心的外傷と回復』の著者ジュディス・ハーマンさんを個人攻撃するような内容の電波本を書いた電波芸人が以前いたと思いますが、本当に傷つき苦しんでいる人たちに対する誤解を無くすためにも、そういった輩には消え失せて欲しいと心から願うしだいです。
最後になりますが、長年各種の精神疾患の診断を下されて通院をされて来られた方、過去に直視し難い経験をお持ちの方は是非図書館などで借りてでも読んでみてください。必ずや良い方向に向かって行くことが出来るようになるはず。
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edge walker
TOP 500 REVIEWER
4.0 out of 5 stars トラウマを治療するReviewed in Japan on October 3, 2020
著者は米国の精神科医ヴァン・デア・コーク氏です。
本書は著者の30年にも及ぶ臨床経験から構築した、トラウマからの回復法をまとめたものです。
MRIを使って脳を透視してショックによる脳組織変化のメカニズムを解き明かし、薬物療法の限界についても言及していました。
良いと思えるものは何でも取り入れながら臨床で試行錯誤し、EMDR、ニューロフィードバック、内的家族システム療法、PBSP療法、ヨーガ、演劇などのさまざまな治療法とその効果が紹介されていました。
具体的な症例を元に語られていて興味深く読みました。
奥深い内容なので、このレビューも再読しながらリライトしていこうと思います。
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bear3
5.0 out of 5 stars 愛を礎にReviewed in Japan on June 13, 2021
1990年代、大学生で精神科医療に関心を持って見ていた。私自身が、トラウマ持ちだったからだが、ソーシャルワークの実習を重ねる中で、コーク氏と同じような感想を持ち、弱さ故いたたまれなかった記憶がある。精神科医療の中で人間理解が難しかった故の処遇だったとは思うが、良心的な医療機関であっても精神分析的な手法で丁寧に面談するまでがやっとだった時代。差別的な場面は多々あった。
コーク氏の本作は、生命への愛が深く、諦めず研究し続けてきた成果だというのがよくわかり、感動なくては読み進められない。
題名通り、トラウマ体験は、頭にも身体にも記憶される、それは過酷な記憶自体が内分泌系にも影響を与えるということで、最初は怒りなどのマイナスの感情であっても、情動の混乱が生じ、縺れてややこしくなり、やがてそこに拘り止まらざるを得なくなっている状態、と理解した。
様々なアプローチの方法が考案されてきたが、治療に携わる者は、もう安全だと引っ張り出してやるしかない、ということだと。
こうやってみると、トラウマの状態が世の中からまだまだなくなりそうにないのだから、人間理解においてはまだまだやるべきことが沢山あるのだろうと思う。愛を礎に。
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良い本きっとアルアル
5.0 out of 5 stars 目から鱗ですReviewed in Japan on December 31, 2016
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精神科医が読めば、医院の評判が一気に高まることは間違いないだろうし、自分の性格に悩む人が読めば光明が照らされる、心に異常のある人が読むか少なくともその治療を受ければ劇的に改善される例が頻発している。
そしてビジネスのマインドセットで悩む人が読めばいろんな成功法のカウンセリングやコーチングのベースの理論がわかるのでわずか3800円で10万~100万円のセッションを受けるのと同じ効果をセルフトレーニングする方法が自分で尤もふさわしいやり方を知ることができる。
一言で言うとアメリカ最先端の精神医学を一般向けに書かれたもので、全て過去の薬物治療などよりも遥かに効果のあるセラピーなどをも含む物理的化学的実践的治療法。
精神医学を50年以上真摯に患者に向き合い実績をあげてきた著者が書いた本。
戦争,虐待等で異常をきたした心は時を経て、あるいは薬物治療などで一時的に改善したように見えても脳を含む体に痕跡として残っている。(人は脳と身体があるのでなく脳も体の一部として存在している)
当初他の医学からは怪しげに肩身狭く存在した精神医学も今や厳密な研究とデータで裏付けされ、
ありとあらゆる有意な実績がある方法がまとめられている。
しかし一般の人にもずいぶん役に立つに立つ。
EMDR,EFT,IMS,ヨーガ,シェイクスピアの演劇を通して殺人者や被害者の心理面を追体験し解放していくなど、ノーベル賞受賞の手法も。(各略字はネットで調べてみてください)
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正義の味方
5.0 out of 5 stars 600ページを超える大作だが、トラウマ研究の世界最先端の本!Reviewed in Japan on July 17, 2017
私の経験から言える事は、フラッシュバックで繰り返し思い出す
→消えない記憶→結果として凍結された記憶となる。
・トラウマが研究され出したのは、ベトナム戦争の帰還兵のフラッシュバックから。
・治療に投薬は有効だが、患者は減っていない事から、対症療法でしかない。
・1990年代初期の脳画像法技術のお陰で、トラウマの影響を視覚的に見られるようになった。
・トラウマは、脳卒中のような身体的損傷と部分的に重なると視覚的に証明された。
・トラウマもPTSDも統合失調症も、脳の働きを低下させる。(解離)
・虐待や性的虐待や事故などさまざまな物が、トラウマとなる。
・薬物療法他の治療法の効果がなかった患者でも、ヨーガでPTSD症状が軽減する場合がある。
・戦争でトラウマを負い、PTSDを発症した人は、戦後40年経っても記憶が不変だった。
・薬物療法も暴露療法も、効果があるのはまれで、害の方が大きい。
・トラウマ性ストレスで、人間は現在をうまく生きられなくなる。
・PTSD患者は、交感神経と副交感神経が同調していない。
・トラウマからの回復には、過去の記憶と共存する術を身につける事が必要だ。
・トラウマを負った子供は、学習技能が下がる。
・アルファ・シータ・トレーニングが生み出す朦朧状態では、トラウマを引き起こした
出来事が安全に再体験される。
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千紫万紅
5.0 out of 5 stars 包み込まれるような読後感Reviewed in Japan on January 20, 2019
衝撃的な本でした。
およそトラウマと無縁の人間はいないと思われますが、
自分自身がここまで抉られるとは思ってもみませんでした。
忘れていたはずのあれやこれやが容赦なく頭に浮かび、
しばし茫然、深い傷は静かに忘れ去られても、
決してなくせるものではないんだなと痛感しています。
形而上学的な人間観などは軽々と跳躍し、目に見える形で人の在り様に対する考察が展開されています。
フロイトがそうであったように、ヴァン・デア・コークの理論は、精神科医の臨床知を超えて、
人間諸科学全般に影響を及ぼすのではないでしょうか。
ガザニガ、ラマチャンドラ、ダマシオの知見と通底する理論です。
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From Japan
ジュリーク
1.0 out of 5 stars 難しすぎReviewed in Japan on May 13, 2018
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私には難しすぎて、面白くなさすぎて読めませんでした。
専門の方には面白いし最後まで読みきるのでしょうが。
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Amazonカスタマー
#1 HALL OF FAMETOP 50 REVIEWER
5.0 out of 5 stars トラウマを見極め、回復するにはReviewed in Japan on January 30, 2018
この本の目的はトラウマがどのような状態にあって、それをどのように治療すればよいかを追いかけている。
一つは神経科学を、もう一つはEMDR、ヨガ、ニューロフィードバックなど数多くの治療法を合わせたものがあるという。
トラウマは脳と心に体にその痕跡を残すと考えられ、それらを回復させるためにはトップダウンと呼ばれるマインド
フルネスやヨガなど、ボトムアップという呼吸や体の動きをを介した二つの調節法があるという。
このようなやり方で治療を行い、回復した事例と併せてここでは紹介いている。
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なんちゃって、お遍路くん
TOP 100 REVIEWERVINE VOICE
5.0 out of 5 stars 手ばなしでお勧めできる一冊です。Reviewed in Japan on January 20, 2017
読み手の理解を助けるために各章ごとに簡単な事例を載せるという良い意味での冗長さを備えて、
「無駄」のない構成です。本文600ページの本で、あきないで読み通せる本の中の1冊。『改訂新版_
家族・支援者のためのうつ・自殺予防マニュアル(河出書房新社)』、『自殺の危機とカウンセリング
(金剛出版)』とあわせて、私にとっては惨事介入のバイブルになりました。
トラウマというとPTSDにつながっていきますが、もちろん急性ストレス障害にも適用できますし、
一般のカウンセリングにも応用できる本です。それは、ここ(P134)を抜き出すとわかっていただける
と思います。
....私たちは脅威を感じた時にはいつも、本能的に第一の段階である「社会的関与」に向かう。身の周り
の人々に声をかけ、助けや支援、慰めを求めるのだ。だが、誰にも助けてもらえなかったり、危機が差
し迫っていたりすると、生体は生存のためのより原始的な方法に立ち戻る。「闘争/逃走」だ。私たちは
攻撃者を撃退するか、あるいは安全な場所へ逃げる。だが、それもうまくいかないとき、つまり、逃げ
出せなかったり、押さえつけられたり、閉じ込められたりしたときには、エネルギーの消耗をできるか
ぎり少なくし、自らを守ろうとする。その場合、私たちは「凍結」あるいは「虚脱」の状態に陥る。...
この3つの状態は、それぞれ「腹側迷走神経複合体」、「交感神経」、「背側迷走神経複合体」と対応
することをサルの表情の写真とともに載せてくれているところも理解を進めてくれます。いままでは、
「リハビリテーションのための神経生物学入門(協同医書出版社)」と合わせて読んでいた内容をまとめ
てくれています。
認知行動療法はクモに対するような不合理な恐れについては有効であるものの、トラウマを負った人、
とりわけ児童虐待を受けたことのある人には、あまり成果を挙げていない...など、トラウマに対する心理
療法だけの限界も教えてくれます。
「人は、耳を傾けてもらっている、理解してもらっていると感じると、生理作用が変わる。複雑な感情
を明確に表現できて、気持ちを認めてもらうと、大脳辺縁系が活性化し、「腑に落ちる」瞬間が訪れる。
それとは対照的に、沈黙と無理解に突き当たると、心が挫ける」という第14章「言葉-奇跡と暴虐」に続く、
第15章「過去を手放す-EMDR」、第16章「自分の体の中に棲むことをまなぶ-ヨーガ」、第17章「断片を
つなぎ合わせる-「セルフ(自分そのもの)」によるリーダーシップ」、第18章「穴を埋める-ストラクチ
ャーを作る」、第19章「脳を配線し直す-ニューロフィードバック」、第20章「自分の声を見つける-リズ
ムの共有と演劇」は、それぞれにそれぞれの事例を挙げながら、有効な対処方法を具体的に語ってくれま
す。
脳や神経系のバックグラウンドをもった対処方法の解説には説得力があるし、「語り」の心理療法だけ
ではない多彩なアプローチを安易なハウツー的な紹介にとどめていないところが「すごい!」と思わせて
くれるところです。
カウンセラーの方には、手ばなしでお勧めできる一冊です。
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パッチだよ
5.0 out of 5 stars 発達トラウマ障害DTDの治療と研究の記念碑的な著作であるReviewed in Japan on September 24, 2017
翻訳には目を通していないが,小学校で対応が困る子どもや,名古屋大生殺人事件の「犯人」とされた女子大生や,津久井やまゆり園の事件の犯人を理解するのに,この本は非常に役立つと考えます。
原著に関する私の感想は以下の通りです。
発達トラウマ障害DTDの名づけの親にして,30年以上発達トラウマ障害DTDの子どもから大人まで,治療しながら,学びながら,研究した記念碑的傑作である。
それは,1つ先輩のジュディス・ハーマンJudith Hermanも,2015年に出した Trauma and Recoveryの増補版の中で,「記念碑的疫学研究」と太鼓判を押しているほどだ。疫学とは,ある病気がどれだけ流行病かを研究する分野である。発達トラウマ障害DTDがパンデミックであるから,「記念碑的≪疫学≫研究」なのである。
私は,2年かけて7割ほどを精読したところであるが,エリック・エリクソンや関根正雄のような,本物の臨床家・学者だけが放つことのできる「光」を感じる著作である。
実際に,発達トラウマ障害DTDの子どもたちのサイコセラピーをしている者には,非常に役立つ実践解説書になっているだけではない。発達トラウマ障害DTDの子どもに関わる,親,保育士,小学校などの教員,児童養護施設職員,それから,ぜひとも,発達トラウマ障害DTDのことを知らない,圧倒的多数の児童精神科医の皆さんに読んでほしい著作である。September 24, 2017記
併せて,「発達トラウマ障害」エンペディア(発達トラウマ障害 - Enpedia)も,読んでほしい。 March 14, 2019 追記。
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渡邊伸一
4.0 out of 5 stars トラウマの記憶と治療Reviewed in Japan on December 27, 2017
レイプや児童虐待によりトラウマが身体に取り付いてしまった人たちの治療、回復に向けた試みを概観できる。
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Oh-ah
4.0 out of 5 stars 優れた治療書だと思いますReviewed in Japan on December 8, 2017
本書はptsdについての革新的な治療法や、多くの症例と神経学的な知見を盛り込んだ力作です。
良い本ではありますが、論理の飛躍、あるいは弛緩、一面的、バイアスがかっている、反論が反論になってない、引用が意味不明などの問題も垣間見られます。
垣間見られますと書きましたが、注意深く読んでみるとこのようなことはどの章にもあります。
例えば、複雑性ptsdやフロイトの引用、偽記憶(過誤記憶)、DSMへの批判などがそれに当たります。
また、自身の経験を専門領域から飛び出して、精神科一般に敷衍しようとする傾向が見られることも頂けないことだと思います。
何故ならptsdと、例えば統合失調症は全く違っているからです。
それらを同一平面で考えると、例えば薬物療法を蔑ろにすることによって治療の機会が奪われた結果、妄想の悪化によって取り返しのつかない状況に陥る可能性があるからです。
これらは現実に十分ありうることだからこそ、筆者が好まない、いわゆる「普通の」精神科医たちは、病気を単にコミュニケーションの問題だと捉えることを慎むのです。
もちろん筆者の意見が間違ってるとも思いません。だからこそ「一面的」と書いたのです。
脳やこころについて知るにはまだまだ限界が多く、かつ脳やこころ自体が複雑であるため、精神科の領域では何が正しくて何が間違っているのか、簡単に二分できない部分が多くあります。
もう一つ例を挙げます。
偽記憶についてです。
筆者は偽記憶が新聞などの記事で書かれるようになったのを「「弱み」に不寛容な社会の反動」としていますが、その経緯については触れていません。
ptsdとは人を救うためにつくられた病名です。
この病気が広く認知されたことにより、患者への支援がしやすくなりました。
そこでptsdの「原因」に対する対人的な裁判が行われるようになると、実際にはそのような行為がなかったことが明らかになるという判例が次々に現れます。
被告からすればこれはたまったものではありません。実際にはなかったことで訴えられ、たとえ勝訴したとしても社会的には罰を受けているような状態だからです。
やがてこのような人々が集まり、自身をptsdだとする人々を逆に訴えるということが始まります。
そこで記憶が真実か否かという論争が始まったのです。
この論争は世界中に広まり、一時期は過熱しましたが現在では沈静しています。
双方は既に(自分たちの勝利で)決着はついたとしているものの、客観的・科学的には決着が着いたとは言い難い状況です。
上で述べたように、裁判では事実がどうだったのかが重大な焦点になります。そこで精神科医の中でも司法に精通している方達は、中立性や客観性を強く求められます。「ptsdの患者がいた場合、その原因となる虐待やレイプなどが、偽記憶のこともあればそうでないこともある。」というのがその権威らの基本的な見解です(※)。必ずしもある/ないという二元論に昇華できる話ではないのです。
(筆者が引用していない以下の論文に、偽記憶を植え付けられた人の中でptsdの様な症状が出たことが報告されています。
これは筆者の主張とは真っ向から対立しますが、この様な論文や意見があることは事実です。
・Deryn Strange,Melanie K.T. Takarangi:
False memories for missing aspects of traumatic events Science Direct Vol141, Issue 3, p322-326,2012
また、・Loftus, E:
The reality of repressed memories.
American Psychologist Vol. 48, p.518-537 ,1993
(※)Gutheil TG, Simon RI:
Clinically based risk management principles for recovered memory cases.
Psychiatric Services 48:1403-1407, 1997
なども参考になると思います)
さらに偽記憶の中にも虚言や金目当てのでっち上げなどが加わると、話はさらに混迷を深めていきます。
ただし筆者は治療の専門家です。
診察室と法廷は次元の異なる場所です。
それ故筆者は治療においては「患者を全面的に信頼する」としています。
虐待が真実かそうでないかは、治療に関係ないということです。本当にそうでしょうか。
セラピストが善意でやったにせよ、過誤記憶が植え付けられることはあります。またptsdではあるものの、原因となった人物を誤って認識してしまった場合も考えられるでしょう。
そのような場合対象の人物との関係は崩壊します。
つまり大抵は家族との関係が崩壊するはずです。
これはセラピーにまつわる重大な「副作用」です。
このことからもわかるように心理療法に副作用がないというのは全くの嘘っぱちであり、飲むのをやめれば回復する薬の副作用より重大であるとも言えます。
このような認知(過誤記憶だった場合に、治療の結果として不必要な対人関係の悪化がもたらされること)がされないのは、単に臨床にそのような視点を持ち込んでいないからです。
筆者は「患者のみが教科書」というのを信念としているようですが、一見すると素晴らしいその態度は、このように「見えてないものは存在しない」という態度に繋がり得ます。
現実は複雑です。
以上ですが、それでも筆者が間違ってるとは必ずしも言えません。
筆者が虐待の防止や悲惨さを訴えるために科学的な厳密さを犠牲にしているとも考えられますし、一つの意見としてなら十分すぎるほど許容できます。
つまり賢くなるべきは筆者ではなく我々読者です。
本書は優れた治療書ですが、何が真実かを知りたいのなら、必ず反対意見の本を読む、引用された参考文献を読むなどを行うか、あるいは(永久に)判断を保留にすべきでしょう。
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女性
5.0 out of 5 stars 辞書のように分厚い本。Reviewed in Japan on February 9, 2021
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辞書のように分厚い本。徐々に読んでいく感じ。
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[書評]『身体はトラウマを記録する』
べッセル・ヴァン・デア・コーク 著 柴田裕之 訳
西 浩孝 編集者
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2016122200004.html
2017年01月10日
本|神保町の匠
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トラウマは人間がいかなる存在であるかを教える
ある女性が水の入ったコップをひっくり返した。それを見て近くにいた男性が立ち上がり、ティッシュの箱をもって「拭いてあげよう」と声をかけた。すると彼女は、またたく間に強烈なパニックに陥った。なぜか。それは幼少期に、女性の父親が彼女をレイプしたあとによく言った言葉だったからだ。これがトラウマ体験の「フラッシュバック」と呼ばれるものである。
『身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法』(べッセル・ヴァン・デア・コーク 著 柴田裕之 訳 紀伊國屋書店)
『身体はトラウマを記録する——脳・心・体のつながりと回復のための手法』(べッセル・ヴァン・デア・コーク 著 柴田裕之 訳 紀伊國屋書店) 定価:本体3800円+税
拡大『身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法』(べッセル・ヴァン・デア・コーク 著 柴田裕之 訳 紀伊國屋書店) 定価:本体3800円+税
トラウマをもつ人にとって、世の中はトリガー(トラウマを思い出させるもの)に満ちている。当たり障りのない状況でさえ、大惨事の前触れのように知覚されてしまう。
そして、このような経験は、現代においてはなんら特殊なものではない。ある研究によると、アメリカ人の5人に1人が子どものときに性的虐待を受け、4人に1人が体に痕(あと)が残るほど親に殴打され、3組に1組のカップルの間で身体的暴力が発生するという。さらに、4人に1人がアルコール依存症の親族のいる家庭で育ち、8人に1人が母親が殴打されるのを目撃している。
すなわちトラウマは、「私たちにも、家族にも、友人にも、近所の人にも降りかかる」。もはやトラウマを戦争帰還兵やテロの犠牲者、あるいは悲惨な事故の生存者だけの問題と捉えることはできない。「私たちの社会は今、トラウマを強く意識する時代を迎えようとしている」。
本書は、人がトラウマ体験にどう対処し、その体験をどう生き延び、どう回復するかを、豊富な臨床経験と研究により克明に語っているが、まず驚かされるのは、トラウマが人間の脳の働きをそれ以前の状態と異なるものに変えてしまうということだ。
たとえば、フラッシュバックが引き起こされたときの脳の画像を観察すると、情動をつかさどる大脳辺縁系と視覚野が活性化する一方で、言語中枢(ブローカ野)の活動がいちじるしく減少していることがわかる。ブローカ野の活動停止は、しばしば脳卒中患者に見られるが、言い換えれば、トラウマの影響は、脳卒中のような身体的損傷と必ずしも違わないということになる。本書が「身体はトラウマを記録する」というゆえんだ。しかし、それにしても、これは慄然とすべきことではないだろうか。
つまり、「トラウマ後」を生きる者は、世界をこれまでとは異なる神経系で経験する。彼らのエネルギーは、人生における自発的なかかわりを犠牲にして、内部の混乱を鎮めることに注がれるようになる。耐えがたい生理的反応に対する主導権を維持しようとすると、筋肉痛や慢性疲労、その他の自己免疫疾患など、多種多様な身体症状を引き起こしうる。今や彼らの敵は、加害者ではなく、自分の身体的感覚なのだ。
トラウマ患者が過去へと引き戻され続けているかぎり、セラピーには効果がない。第一に必要なのは、脳の組織がかつての働きを取り戻すように支援し、患者がみずからの内部感覚や情動の主導権の獲得の仕方を学ぶことである。
このための手法として、自分に手紙を書くという自由筆記法、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)、ヨーガ、内的家族システム療法(多重人格に対する統合療法)、PBSP療法(簡潔に説明できないが一種のグループ精神療法であり、これにはとりわけ興味をそそられた)、ニューロフィードバック(電極を用いた脳反応の正常化)、演劇や声劇などが取り上げられているが、本書が伝えるその効果には目をみはらざるをえない。
いずれの手法でも、患者たちは自分の身体的感覚の主導権を掌握することに成功すると、過去と現在とを区別し「今」を生きることができるようになった。そして重要なのは、そのときにはつねに、安心、信頼、愛情が確保されていたということである。
起こってしまったことを、なかったことにはできない。だが、対処できるものはある。それは、トラウマが体と心と魂に残した痕跡だ、と著者はいう。「トラウマに対処するというのは、損なわれたものに取り組むことだけではなく、どのように生き延びたかを思い出すことでもある」。
本書を読んで思うのは、ある意味では、トラウマほど人間がいかなる存在であるかを教えてくれるものはないかもしれない、ということだ。「トラウマは私たちの脆さや、人間に対する人間の残酷さを絶えず突きつけてくるが、それと同時に、私たちの途方もないレジリエンス[回復力]も見せつけてくれる」。
人間は、それがどんなに深いものであっても、みずからの傷を癒やし、新しい一歩を力強く踏み出すことができる。ただ、そのときには、情動に同調してくれる他者という存在が不可欠なのである。これ以上、人間的なことがあるだろうか。
*ここで紹介した本は、三省堂書店神保町本店4階で展示・販売しています。
*「神保町の匠」のバックナンバーはこちらで。
*三省堂書店×WEBRONZA 「神保町の匠」とは?
年間8万点近く出る新刊のうち何を読めばいいのか。日々、本の街・神保町に出没し、会えば侃侃諤諤、飲めば喧々囂々。実際に本をつくり、書き、読んできた「匠」たちが、本文のみならず、装幀、まえがき、あとがきから、図版の入れ方、小見出しのつけ方までをチェック。面白い本、タメになる本、感動させる本、考えさせる本を毎週2冊紹介します。目利きがイチオシで推薦し、料理する、鮮度抜群の読書案内。
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筆者
西 浩孝
西 浩孝(にし・ひろたか) 編集者
1982年、富山県生まれ。現在、長崎市在住。2016年9月まで大月書店編集部に勤務。これまで編集した本に、藤井貞和『言葉と戦争』、宮地尚子『傷を愛せるか』、アモス・オズ『わたしたちが正しい場所に花は咲かない』、代島治彦『ミニシアター巡礼』、鎌田遵『ドキュメント アメリカ先住民―あらたな歴史をきざむ民―』、NHK取材班『あれからの日々を数えて―東日本大震災・一年の記録―』、青木深『めぐりあうものたちの群像―戦後日本の米軍基地と音楽1945-1958―』など。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
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